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明け方に目を覚ますと、私を抱く彼の温もりを感じた……。
「……せんせぇ…」呼んで、「……一臣さん…」言い直す。
「……ぅん…」
聞こえているのかいないのか、微かな声が返って、
「……好き」
その胸に抱きつくと、
「……ん…私も、です…」
応えた彼に、腕の中に抱え込まれた。
「……起きてるんですか?」
訊いてみるけれど、返事は戻らなくて、
まだ眠っているんだ……と、クスッと笑みがこぼれた。
「……政宗先生が言っていたように、私も、こんなに人を愛したことも、愛を感じたこともないです……」
寝ているからと告白したはずの言葉に、
「ありがとう……」
と、言われて、
「……えっ?」と、その顔を見つめた。
瞼を開いた彼に、
「いつから、起きてたんですか?」
そう尋ねてみると、
「……うとうとしながら、聞いていました……最初から」
返った答えに、赤面させられてしまう。
「起きてたんなら、そう言ってください……」
ちょっとだけ唇を尖らせると、
「そうしたら、あなたのあんな告白を、聞けなかったでしょう?」
さっき眠っている彼に私がこぼしたのと同じような笑みが、クスリと浮かべられた。
「……もう、」
「怒らないで……」ちゅっと頬にキスをされると、拗ねたような気持ちもあっという間に吹き飛んでしまう。
「怒ってなんて……ただ少し、いじわるだなって思っただけで……」
ぼそぼそと口にする私に、彼はふっ…と小さく笑って、
「前にも言ったように、意地悪をしたくなるくらいに、あなたが可愛くて、仕方がないんです」
私の髪を手の平で優しく撫で下ろした──。