休憩中のカルドとオーターが話をしていた。
「オーターの瞳って綺麗だよね。」
「綺麗・・・ですか?その様な事、初めて言われました。」
「そうなんだ。」
「はい。よく変わっているとは言われますが、綺麗だと言われたのは初めてです。」
「そう。」
スル。
カルドがオーターの頬に触れ、目元をなぞりながら瞳を覗き込む。
「あの、カルド?近いです。」
「ほら、光の加減で金色に光っていてとても綺麗だ。そうまるで・・・僕の好きな蜂蜜の色だ。」
「!?」
ゾクッ。
低い声で言いながら、いつもは閉じられているカルドの糸目が開き、隠れていたその瞳がオーターを捕らえた。そのカルドの瞳は例えるなら獲物を狙う肉食獣のそれで。
本能的に危険を察知したオーターが、咄嗟にカルドを突き飛ばした。
ドン!
「オーター?」
「あ、すみません。」
傷ついた様な声を上げるカルドに、ハッと我に返りオーターが謝る。
その様子を見て、カルドがフフッと笑いながら続ける。
「いや。僕の方こそ急に触ったりしてごめんね。でも本当に綺麗だから、ついね。」
そう言うカルドはいつもの糸目に戻っていた。
「・・・・。」
「さて、僕は仕事に戻るよ。じゃあまた。」
「はい。また。」
クルッ。
コツコツコツ。
踵を返しカルドが去っていく。カルドが去った後、オーターは自分の体をギュッと抱きしめた。
(何だ?あの時、一瞬、ほんの一瞬、カルドが怖いと感じた。)
ーーー
コツコツコツコツ。
カルドが靴の音を響かせながら歩き、先程のオーターを思い返していた。
自分を突き飛ばした時に見た、下がった眉に怯えを含んだ瞳を。
(ふぅ。少しやり過ぎてしまったかな。でも、怯えているオーターも新鮮で可愛かったな。)
その自分の思考にカルドは立ち止まり、クッ、クッと笑った。
(いけないな、こんな事思っては。もっと慎重に紳士的に接しないと。でなければ、彼は手に入らない。ねぇ、)
ーーオーター?
心の中で投げかけるカルドの糸目は、また開かれていてその瞳は『慎重』『紳士的』という言葉とは真逆の獲物を狙う肉食獣のそれだった。
コメント
2件
早速のコメントありがとうございます!カルドの獣感と企んでる感じが伝わったようで良かったです。オーターはこの後どうなってしまうのかは・・・ご想像にお任せします(笑)・・・・読み切りのつもりでしたが、もしかしたら続きを書くかもです。
獣みたいなカルドさんも好きです! 企んでいるの様子がすごく良き良きです。オーターさんはこの後どうなったんでしょう…想像するだけで口角が上がってしまいます