それはクリスマスイブ、2週間前のことだった。この日は珍しく桃瀬の家でマジメに勉強をしていた。ダイニングテーブルを挟んで目の前にいる桃瀬は、スマホを弄りながら勉強を見てくれる。
小説家の小田桐先生は夜中まで執筆を頑張ったらしく、自室でお昼寝中。
Zzz・・o(__*)。。oO(熟睡中)
仕事が休みだから来いと桃瀬に言われなかったら、今頃タケシ先生の家のリビングで小田桐先生と同じく昼寝をしていたと思われる。
(´・ωゞ)ネムイ
「おい、ここの部分間違ってるぞ」
「あ、ホントだ」
「こういうケアレスミスが積み重なると、大きな失点になるからな。確実に文章を読み解いて、潰していくのがコツだ」
さすがは、元家庭教師をやっていただけある。しかもタケシ先生より優しく教えてもらえるから、マジであり難い(-人-) 南無南無・・
「なぁ周防にあげるクリスマスプレゼントは、用意してあるのか?」
「勿論用意してるよ。何てったって、初めてのクリスマスなんだからさ」
勉強の手を止めてニッコリ微笑んだら、目の前で意味深な笑みを浮かべた。
「太郎のクセに張り切っちゃって、コノヤロ! 何をあげるんだ?」
右手に拳を作って、頭をグリグリしてくる。
「タケシ先生が子どもを診察しているときの、微笑ましい様子を描いてみたんだ。勉強の息抜きにもなって、一石二鳥さ」
「へぇ見事に被ったな。俺も涼一の絵を描いてるんだ」
桃瀬の言葉に、一瞬だけ顔が引きつってしまった。破壊力満載のあのイラストをプレゼントされる、小田桐先生の気持ちを考えるとかなぁり複雑である。
「まだ色を塗ってる途中なんだけどさ」
ウキウキしながら、それを見せてきた。
「( ̄⊥ ̄ノ)ノウッ!」
「この絵に合わせてよ、サンタのコスプレ買おうと思って、ネットで色々見てるんだ。ちなみにこんなのあったぞ、周防にいいんじゃないか?」
さっきから弄っていたスマホの画面を、俺に見せてくれる。そこにあったのは――
「ナース服……何故か天使の羽までついてる」
「ほらほら、想像してみ。これを周防が身にまとってる姿」
「や……ちょっ、待って。小田桐先生なら分かるけど、タケシ先生がこんなの着ても、ちょっと――」
線が細くてパッと見が女の人に見える小田桐先生なら、何を着ても似合うと思う。だけどタケシ先生は、まんま美男子。白衣は似合うけどナース服は、ねえぇ……
「高校時代に一度だけアイツ、女装したことがあるんだ。病欠した、俺の代わりだったけど」
「へえ……」
「セーラー服着て、三つ編みしてさ。普段みんなからオトンの周防って言われてたんだけど、そのときばかりは周防の変わりように、おったまげたって大騒ぎになったらしい。俺はあとから写真で、それを見ただけだったから」
オトンの周防っていうのもどうかと思うのに、セーラー服着て髪型が三つ編みって、どんだけ――
「確かに涼一と比べたら女子力は劣るだろうけど、セクシーさは間違いなく周防が上だと思うぞ」
くっくっくと含み笑いしながら言ってくれる桃瀬に、だんだんそれを着たところが、見たくなってしまった。
「あのさ、それって今、注文したら、クリスマスイブまでには間に合うのか?」
「おう、大丈夫だ。何なら涼一のと一緒に注文してやるぞ」
こうしてサプライズ過ぎる、クリスマスプレゼントが展開されたのである(;^ω^)
この後のことは周防目線でお送りしますので、お楽しみに!
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