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テラーノベルの小説コンテスト 第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで
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身に纏った制服の首元が

まるで私の首を絞めているように感じるのは

気の所為でしょうか




私は今日も自ら監獄教室へと足を踏み入れようとする。



囚人学生其れを裁く者教師

行き交う場所だ



君たちも学生だったとき、否今学生という名で過ごしていて

此の檻の様な場所は窮屈に感じただろう



私も勿論其の一人である。




そして窮屈な場所から脱出しようと


藻掻いて


足掻いて


苦しんで


諦めた


其の内の独りである



ほんの少し息苦しい生き狂しいとか


テストで見たくもない点を取ったとか


体育の授業が嫌で仕方がないとか


家でゆっくり眠りたいとか


下らない理由が此処迄の人間を育てた。



遅刻してきたからスクールバッグを持つ不思議な女子高生を見る目が増えた。



彼等も高生の筈なのに、

友達を見るよりずっと暗く冷たかった



其れでも私は頑張ってきた理由がある



親友という名のモチベーションが私の頑張りたい理由



「 おはよ、! 」



其の3文字で意識を取り戻した。

















嗚呼また夢だ。


視界に入った時計の長い針は1を指していた


深夜の1時ではなく、昼の13時。


とっくのとうに学校は始まっていて無断欠席をして5日が過ぎた


欠席をしたのはもう何日目か見当がつかない







私には頑張ろうと言ってくれる親友も


手を差し伸べる青年も


励まし助け合える仲間もいない



檻に入ってみれば‘孤立’という言葉がお似合いだった



そんな事なら妄想に溺れていたかった。


そんな事なら高校に行こうと受験なんてしなければよかった。



私に残された思考は学校へ行こうというよりも

学校を辞めてどうするか


其れを考えるだけでも充分億劫だ








最早流れる涙は

生理的に流れているのか、泣き喚きたくて流れているのかなんて知りたくない



毎日鏡で見る泣き腫れた目は学校へと足を引かせる。



約5分ほどぼうっとして、スマートフォンを起動させた


通知には友達からのメッセージが数件届いている。



『 キョウモコナイノ? 』

『 ドウシタノ? 』

『 ナヤンデイルナラソウダンニノルヨ! 』

『 イツデモタヨッテネ! 』

『 アシタマッテルヨ! 』

『 ワタシタチトモダチデショ? 』



入学して早々作らなくてはいけまいとして出来た友人


社交辞令をたっぷりと注がれ食欲を失せるには充分すぎる。



ゆっくりと既読を付けて、其のメッセージ相応の社交辞令を

私からもたっぷりと届けてやった


『 ダイジョウブダヨ! 』と。



心底気持ち悪いと思う

其れでもそうでなければ余りにもカワイソウがすぎる。













花は1年も経たず散る


海月は感情も無く熔ける




そんな物に成りたい


死にたいを目的とするよりも

人生に疲れたから辞めたいという方が正解だろうか。


人生ハードモードゲームを辞めるには頭の出来が悪い私が行き着くとすれば

ゲームオーバー以外無かった



阿呆らしい


馬鹿みたい











腹を空かせてコンビニ飯を求めた。


其の帰り道に私が居た


実際は私が居たのではなく、

私の事が理解できるのでは無いかと思うヒトが居たのだ。




「 ねえ貴方、社会不適合者? 」




我ながら糞みたいな話しかけ方だ。


陰キャを隠した結果が変人とか

笑えない屑野郎



私なら、こんな奴に話し掛けられたら走って逃げると思う


其れでも相手も私の雰囲気を察知したらしく、

唾を飲む音が聞こえた。




「 そうですけど、もしかして貴方ですか? 」




嗚呼一緒だ


糞みたいな世界を嫌った同志


言わずとも解る。だって私がそうだから




「 一緒だよ。世界が此の世で1番嫌い 」




目を伏せた


目蓋の裏には数えられた幸せと、

数え切れない億劫が存在した。


此の世が嫌いな癖に此の世で1番という言葉を使うのは可笑しかった?


余りにも人と話せなくて脳迄働かない


億劫が私を、私達を縛る以上此の世界なんて要らない




「 折角だからさ私達友だちになろっか 」




意味も無い提案


其れでも少し共有してみたかった


あの子に陰口を言う女子のように、彼女とは2人で世界の陰口を言いたい。




「 もちろん大歓迎です 」




彼女は笑みを魅せた。


歯を出して笑わない程度の儚く美しい笑み


息をするのを止められているような気分。



優しく肯定して、優しく否定する世界に似ても似つかないような笑顔は


私を酷く安心させた。




「 でも一つだけ宜しいですか?

何かに何方かが困って生き苦しくなったら

一緒に死んであげますし、一緒に死んで欲しいのです 」




赤信号を皆で渡れば恐くないように


三途の川も2人で渡れば恐くないね



貴方の考えと共に頭蓋骨の髄迄愛したい。


こんな思考、もちろんイエスとしか言えないじゃないか


脳が震えるような感覚になり、首を縦に振った




「 私、ヒトを見る目あるんですけど

貴方は此れ以上に無いくらい愛せそうです 」




私もだよ


其れを言う迄もなく伝わった気がする



愛して愛されて愛し合って




「 世界を全力で嫌う代わりに貴方を愛してあげるよ 」




全てを否定して

1人を受け入れて




「 もう学校辞めよっかな 」




頬を伝うモノを無視して

身を寄せ合って




「 私も毒親の居る実家地獄から逃げます  」



此処から逃げて

美味しい酸素を探して




「 2人で息をしやすい生きやすい場所に行こうか?あるか分かんないけど 笑 」




風を受けながら歩を進めて

小指を絡ませて




「 はい、全部約束です 」




そして想いを馳せた
















風は2人の少女の髪が靡かせた


其れはまるで美しく儚く消えゆくようだった


其の少女達は何時か

此の世界から逃げる事を夢見て













世 界 を 生 け る 少 女戦 士た ち


貴 女 適 合 者






















fin.














この作品はいかがでしたか?

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コメント

5

ユーザー

ねえええ!!!! 久しぶりに投稿したと思ったら死ぬほど神すぎる投稿なんて許さないよ😾😾 頭蓋骨の髄まで愛してって言葉からの脳が揺れるってとこほんと無理すぎきれいすぎて泣けそう 息苦しいを生き狂しいっていう表現新しくてすき🥹🥹

ユーザー

まって、まって、天才すぎる、ほんとに最高すぎた。言葉に表せ無さすぎる。 全ての文全ての文字全部全部綺麗すぎた。 これ以上にないくらい最高すぎた。

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