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「ん〜っ……」
ぐっと伸びをする。
現在時刻 23:37
「今日もすっごい残業したなぁ……」
当然だが外はもう真っ暗で、車通りすら少ない。終電に間に合うかな、なんて考えながら立ち上がる。
(今日で何連勤だっけ……?)
連勤記録すら分からないほどぼんやりとした頭でふらふらと駅までの道を歩く。
(明日なんかあったっけ……?)
視界が時折ぼんやりと霞む。
(昼から収録、だっけ……)
確かそうだった、と自分を信じる。スマホのカレンダーを見ればいい話ではあるのだが、正直、画面を見るのすら億劫だった。
♡♡♡♡♡
〜♪(電車が着く時の音楽)
「はぁ……ギリ間に合った……」
電車に乗り込む。
終電というのもあって、人は少ない。座席も空いている。いつもは座らないのだが、今日はそれに甘えて座った。
(……いつもなら座ると寝ちゃいそうなんだけど、今日はそんな気がしないな……)
車窓から夜の街を見る。地上の星空。
(なんでだろう……)
生憎、その美しさを愛でるほどの余裕は無かったが。
♡♡♡♡♡
『次は〇〇駅、〇〇駅。降り口は左側です。開くドアに、ご注意ください』
(もう降りるの……?)
そう考えても家の最寄り駅はこの駅であるのは変わらない。ノロノロと立ち上がり、ドア付近に行く。
タタンタタン、タタンタタン……
プシュー
空気圧が解放される音が聞こえ、列車がだんだんと減速していく。
(ああ……また歩かなきゃ……)
ドアが開き、またフラフラと歩き出した。
♡♡♡♡♡
(あーもう……なんか頭も痛いし、最悪……)
人通りも車通りも無い夜道をただひとり、ぼんやりとしつつフラフラと歩く。足音がヤケに大きく響く。
カツカツカツ……
(……家、こんな遠かったっけ……?)
「……はは……」
乾いた笑いはどこにも届かず、宵の空気の中に溶けて消えた。