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桜の花びらが散り始めた頃、入学式も終わり、俺の高校生生活は幕を開けていた。新しいクラスにも少しずつ馴染めていった。そんなある日のこと。教室に向かっているところに、俺目掛けて駆けつけた人がいた。
「ねぇねぇ!そこの君!バスケ部入らない?!」
俺に勢いよく言って来た人は、上履きの色を見る限り、先輩だと言うことがわかった。
「いや、入りませんよ…」
「えー、でも、君身長高いじゃん!活躍できるって!」
自分で言うのもあれだが、俺は他のやつよりかは身長は高い方だと思う。180センチあるし。それに比べて、俺の前に立っている先輩は、俺よりも断然背が低かった。
「えー、めんどくさい」
俺がそう適当に言い放つと先輩は少し残念そうな顔をしながら、
「んー、そっかぁ。まぁ気が向いたらいつでも来て!今日の放課後も練習してるから!」
そう言って、俺に部活紹介のプリントを渡して来た。昨日先生から配られたばっかりなのに。
めんどくさいと思いつつも俺は練習を見に行った。別に行かなくてもいいと思っていたが、なんだかあんな顔をされてしまったら、気が引けなくなってしまう。体育館には、ボールが跳ねる音と、靴が擦れる音が響きわたる。俺以外にも見に来ている生徒はおり、大半が女子だった。「〇〇先輩〜♡」などなど、ここはライブ会場じゃないんだぞ。それはさておき、朝俺に声をかけて来た先輩を探す。確か、髪染めてたよな。頑張って特徴を思い出し、探していると後ろから声が聞こえてきた。
「あれ?来てくれたの!?」
聞き覚えのある声がした。まさに朝声をかけて来たやつだった。
「もしかして、興味湧いてきたー?」
少しニヤニヤしながら聞いてくる先輩に俺は、少し変な気分になった。
「いや、別に。てか練習はいいの?」
少し冷たかったかな。そんなことを考えていると、先輩は
「んー、俺3年でさー。さっきまで面談してたんだよねー。」
君も去年受験生だったからわかるでしょと俺に呑気に言ってくる。3年なのにあまり年上感がないな、と頭の中は失礼な言葉しか思い浮かばない。
「てか、自己紹介したなかったね。俺はうみにゃ!君は?」
「えっ。あー、DD…」
急な自己紹介に少し戸惑った。マイペースだなこの人。
「DDね!よろしく!」
ニコニコと笑いながら、言ってくる。なんだかその笑顔に圧倒されてしまったような気がした。
「でさでさ、来月引退試合あるから来てよ!」
また、この人のペースに流される。
「まぁ時間空いてたら…」
適当に流しておくかと思ったが、
「よしっ!じゃぁはい!」
うみにゃは俺に小指を出してきた。
「えっと?」
俺が困惑していると、うみにゃは
「指切りでしょ!」
と、言って半ば強制的に俺の小指を出させた。「指切りげんまん〜…」とルンルンに歌っているうみにゃを俺は少し面白いなと思いながら見ていた。
「はいっ!じゃぁ忘れないように!」
そう俺に言って、うみにゃは練習へと向かった。体育館から見える桜はもう、半分が緑色へと変化していた。そろそろ春も終わるな、そう思った。