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「正直、やりたいこととか欲しいものとかそういうのはいつあっても何を考えていてもいいと思う。」自分より小さい子供にいきなりこんなことを言うのだから俺は何かあったのかと悪い想像を膨らませてしまった…。昔からの悪い癖だった。「どういうこと?」まだ7歳という年なのにもかかわらず少女は聞いた。「それを今日は教えてあげようと思ったんだよ」少女の頭をかき撫でイタズラっぽく笑ったかと思うと止めるまもなく話が始まった。
俺はそこそこ学力も良くお金も人よりは多く小遣いをもらっていたと思う。だが俺は捨てられた。捨て子だったんだ。今の時代足りないものは色々ある。知力、推察力、経済力、技術力、コミュ力。だがその多くは後からでも付け加えることのできる付け焼き刃だと俺は思っていた。生まれ持った才能には勝てないと勝手に思い込んでいた。その思い込みで何度も失敗した。それからは自分の才能に磨きをかけるようになった。優れた刃には優れた手入れが必要だ。それからは失敗しない訳では無いが前よりかは幾分マシな生活を送れている。無駄なものに金を使わず自身の徳や利益を生みそうな物にのみ金を使ってきた。今日も今日とで道先の町にいるシュリメルドと商談をする予定が入っている。そのために2000金貨(日本円でいう20万円)という大出費をしたのだ。この商談が失敗すれば俺はたちまち地下労働か商業組合の管理局の人間に地獄の果てまで取り立てられる生活になる。だがそんな想定ばかりしていては何にもできなくなってしまう。どんな商売も危険に満ちている、と。そんな考えに囚われていては商人は到底務まらない。だから迷うわないように仮説を立て過ぎないように自分なりにルールを決めておくといい。とにかく今回の商売は比較的安全だ何せ2000金貨より高く売れば損はしない。それだけのことだった。「ハヤセル!久しぶりだな!?」「おぉシュリメル、お前こそ元気そうじゃん」「今日は泊まっていくのか?」「あぁそうするつもり」「それは良かった」「何で?」「いや…その…そう!最近近くの森でクマがよく出るらしくてな?お前いつも森とか川辺で野宿してるだろ?」「うん」「だから今日泊まるんだったら安心だなぁと思っただけだよ」少し怪しいと思いながら俺はシュリメルの家へ案内された。「随分大きな家だな。前はこんなに大きくなかったじゃないか」「へへな〜に商談が少しばかりうまくいっただけさ」「それは誇れることだよ」少しばかりうまくいっただけとは到底思えない広さだわらしべ長者てきなことが起こったのかと想像を膨らませていると「なぁハヤセル」「何?」「俺もお前と一緒に旅をしながら商人をしたい」「ん?」「そんなに驚くなよ」いきなりそんなことを言い出すのだから驚くに決まっているだろうに。その男は悪戯っぽい笑いながら言ってきた。そこで俺は「仕方がないからこの2000金貨分の皮防具一式を3000金貨で買うこととお前の扱っている小麦2000金貨分を俺にただで渡すこと。これが条件だ」「冗談じゃない!せめて1000金貨分だ」「いや1800」「1300!」「じゃぁ1500でどうだ?」「まぁそれなら…」「こっちは人っ子一人分の命を預かるんだぞ?これくらい安いもんだ」「お前がその気なら少しは安心できるな」「そうなら良かったね」そう言って俺は部屋に入った