テラーノベル
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海外ツアーの話が正式に決まった日の夜。スタジオの照明が落ちて、機材の片付けも終わったあと、最後まで残っていたのは〇〇と、もと、ひろ、りょかの4人だけだった。
「……で、〇〇も一緒に行くんだよね?」
りょかが何気なく聞いたその一言に、〇〇は少しだけ言葉を選んでから頷いた。
「うん。視察もあるし、向こうのスタッフさんとの打ち合わせもあるから。3日間だけだけど」
その瞬間、空気が一瞬だけ止まった。
「3日“だけ”って言うけどさ」
もとが苦笑いしながら〇〇を見る。
「3日“も”だよ、俺らからしたら」
ひろは黙ったまま、〇〇の持っているスケジュール帳をちらっと見て、ふっと小さく息を吐いた。
「……向こうで体調崩すなよ」
その一言が、もう答えだった。
〇〇がいない3日間。
それを想像しただけで、3人とも顔には出さないけど、めちゃくちゃ不安だった。
出発当日。
空港まで送る車の中は、いつもより少しだけ静かだった。
「忘れ物ない?」
〇〇が確認するように言うと、ひろが即答する。
「〇〇が忘れ物」
「ちょっと」
思わず笑ってツッコむ〇〇に、ひろはいつもの無表情で続けた。
「冗談。……でも半分本気」
チェックインを済ませて、いよいよ別れの時間が近づく。
もとは〇〇の前に立って、少し屈んで目線を合わせた。
「向こう行っても、ちゃんと連絡して。
俺ら、意外と繊細だから」
「知ってるよ」
〇〇が笑うと、りょかが横から割り込んでくる。
「毎日ね。朝と夜。
それと、寝る前に“今日も無事でした”って」
「それ多くない?」
「多くない」
即答だった。
最後に、ひろが〇〇の頭にそっと手を置く。
「……いってらっしゃい。
絶対帰ってこいよ、俺らの〇〇」
その“俺らの”って言葉に、〇〇の胸が少しだけきゅっとなる。
「うん。行ってきます」
そう言って振り返った〇〇の背中を、3人は保安検査場のギリギリまで見送った。
〇〇が日本を発って、1日目の夜。
3人は家で、それぞれスマホを手にしていた。
「……まだ既読つかない」
りょかがぽつりと呟く。
「時差あるって言ってたでしょ」
もとが言いながらも、自分も画面を何度も更新している。
ひろはベッドに仰向けになり、天井を見つめたまま。
「静かすぎる」
「それな」
いつもなら、〇〇の足音とか、資料をめくる音とか、電話での低い声とか。
当たり前にあった“音”が、全部消えていた。
――ピコン。
同時に3人のスマホが震える。
《無事ホテル着きました!時差ぼけやばいけど元気!》
「……」
3人は一瞬だけ無言になってから、
「よかった……」 「やっときた」 「遅い」
と、ほぼ同時に呟いた。
それぞれが返信を打つ。
もとは長文。
ひろは短文だけど要点だけ。
りょかはスタンプ多め。
送信し終わったあと、りょかが小さく笑った。
「さ、これで今日は眠れる」
「ほんとそれ」
2日目。
リハーサル中も、3人はどこか集中しきれていなかった。
「そこ、テンポ走ってる」
ひろの指摘に、もとが舌打ちする。
「〇〇いたら、今の一発で止められてるよな」
「うん。で、冷静に“もう一回いきましょう”って」
「それ」
3人は顔を見合わせて、苦笑いする。
休憩中、りょかがスマホを見せる。
「さっき来た」
《今日は打ち合わせ多くてヘトヘト〜。でも3人の曲、移動中ずっと聴いてた》
その一文だけで、3人の表情が一気に緩む。
「……向こうでも俺らのこと考えてるんだな」
もとがぼそっと言う。
「当たり前でしょ」
りょかは少し誇らしそうだった。
3日目の夜。
帰国前、〇〇からのビデオ通話。
画面に映った〇〇は、少し疲れてるけど、ちゃんと笑っていた。
「ただいま、じゃないけど」
「その顔見るだけで十分」
ひろが静かに言う。
「もうすぐ帰るからね」
〇〇がそう言うと、3人とも一瞬だけ黙った。
もとが言う。
「……早く帰ってきて。
正直、仕事はできるけどさ」
りょかが続ける。
「家が、家じゃない」
最後に、ひろ。
「〇〇がいないと、完成しない」
その言葉に、〇〇の目が少し潤む。
「……もう。
そんなこと言われたら、急いで帰るしかないじゃん」
通話が終わったあと、3人は自然と同じ方向を見た。
〇〇がいつも座るソファ。
「明日だな」
「明日」
「……明日」
その夜は、久しぶりにちゃんと眠れた。
帰国当日。
玄関のドアが開く音。
「ただいまー……」
その声が聞こえた瞬間、3人は一斉に立ち上がった。
「おかえり」 「おかえり」 「……おかえり」
〇〇は驚きながらも、ふっと力を抜いて笑う。
「なに、揃って」
もとは〇〇の荷物を受け取り、
りょかは自然に手を引いて、
ひろはそっと背中に手を添えた。
「おかえり。
もうどこにも行くなとは言わないけど」
もとが言う。
「帰ってくる場所は、ここだから」
〇〇は何も言えず、ただ3人に囲まれたまま、静かに頷いた。
海外に行っても、
離れても、
確かめ合うみたいに、想いは深くなっていた。
――それが、4人の日常だった。
ゆいちゃん!ありがと!
夜中の2時過ぎ。
家の中は静かで、エアコンの音だけが一定のリズムで鳴っていた。
……なのに。
〇〇は、布団の中で目を開いたまま、天井を見つめていた。
(……お腹すいた)
最初は気のせいだと思った。
さっき夕飯もちゃんと食べたし、夜中に食べるのは良くないって、あの3人に何度も言われてる。
——特に。
「夜中のコンビニは禁止ね」 「何かあったらどうする」 「危ないから絶対だめ」
って、もと・ひろ・りょかの三重包囲網。
(……でも無理)
お腹が、空腹を主張しすぎている。
静かに起き上がって、スマホを見る。
LINEは静か。3人とも寝てる。
(ちょっとだけなら……)
そーっと、音を立てないようにパーカーを羽織って、鍵を持つ。
心臓がドクドクする。
(怒られるよなぁ……)
分かってる。
でも、それでも。
——コンビニの明かりが、やけに優しく見えた。
数分後。
コンビニの中で、〇〇はカゴを持って立っていた。
おにぎり、ホットスナック、甘いパン。
気づいたらカゴはそれなりに埋まっている。
「……食べすぎ?」
って小さく笑いながらも、
レジを通して袋を受け取ると、ちょっと幸せだった。
(早く帰ろ)
そう思ってドアを開けた、その瞬間。
「……〇〇?」
低くて、聞き慣れすぎた声。
「え」
振り向いた先にいたのは、もと。
しかも、後ろには。
「……やっぱり」 「ほらね、出てくると思った」
ひろとりょか。
——終わった。
「な、なんで……」
〇〇が固まっていると、もとが一歩近づいてくる。
「なんでって顔してるけどさ」
声は怒ってるはずなのに、どこか安堵が混ざっていた。
「位置情報、切り忘れてたよ」
「……あ」
りょかが苦笑いする。
「お腹すくと思った。
さっき寝る前、〇〇ずっとゴロゴロしてたもん」
ひろは袋の中をちらっと見て、ため息をついた。
「……夜中に一人で来るなって、言ったよな」
〇〇は俯いて、小さく言う。
「……ごめんなさい」
沈黙。
でも、想像してた“怖い怒り”は来なかった。
もとは大きく息を吐いて、〇〇の頭に手を置いた。
「怒ってるのは事実だけどさ」
ぽん、ぽん、と優しく撫でる。
「無事でよかったって気持ちの方が、正直勝ってる」
りょかが続く。
「もし何かあったらって考えたらさ、
お腹すいたとかどうでもよくなるんだよ」
ひろは少し照れたように視線を逸らしながら言った。
「……帰るぞ。
一人で抱え込むな」
家に戻ると、3人は〇〇をソファに座らせた。
「で」
もとが腕を組む。
「お腹、どれくらい空いてたの」
〇〇は正直に言う。
「……限界」
「でしょうね」
りょかは袋を受け取って、テーブルに並べる。
「夜中だから量は調整ね。
俺らも一緒に食べる」
「え?」
ひろが淡々と言う。
「一人だけ食べさせると、また同じことする」
「……監視?」
「愛情」
即答だった。
4人で並んで、静かに夜食を食べる。
〇〇はほっとして、自然と肩の力が抜けていた。
「……ごめんね」
もう一度言うと、もとが笑う。
「次からはさ」
〇〇の頬を軽くつついて。
「お腹すいたら、起こしな。
コンビニ行くより、俺らの方が安全」
りょかがうんうん頷く。
「深夜対応マネージャー付きだから」
ひろは静かに言った。
「〇〇は、守られる側でいい」
その言葉に、胸がじんわり熱くなる。
〇〇は小さく笑って言った。
「……じゃあ、次から起こす」
「よし」 「約束」 「絶対」
3人は同時にそう言って、
〇〇をソファの真ん中に引き寄せた。
夜中のコンビニは禁止。
でも、夜中に甘やかされるのは——許可済みだった。
ゆなちゃんもありがと!!
どんどんどんどんくださーーい!
コメント
2件
えぐすぎ!一緒に食べるのかわよ😙リクエスト!2つある!1つ目は〇〇ちゃんが自分の部屋の掃除をしていてコスプレがあって(コスプレは任せる!)試しに着ていたらミセスが帰ってきてもうぬぐのが大変だからみせすに見せた時の反応?で!2つ目はこれは始まってからリブートが今日から始まるからミセス3人と〇〇ちゃんと見ていて〇〇ちゃんが、りょつ演技うますぎ!とか褒めて2人が嫉妬しちゃうのが見たい!長文ごめん