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高校一年生の夏休み、よく絡んでいる男子三人からの誘いで海に行く。
学校からも家からもさほど遠くはない夕日ヶ浦と言う海だ。海に着くと、水着姿の人と海が視界に入り込んできた。
ただ、嫌なことが一つあった。親の転勤で中学二年生から京都に引っ越してきた俺は、京都と東京の差についていけなかった。
『なんでこの京都にあんたみたいな品性の欠片もあらへん人間来るんやろうな。
…… 早う出ていけや』
『あんたの京都弁は共通語と混ざっとってイライラするんやで?
俺嫌やわぁ。
こんなんと一緒にせんといて。』
だから、中学校ではいじめを受けた。他にも、俺に気に入らない事があったんだろう。
そのせいで、腕にたくさんの傷跡がある。
凸凹してる傷や、茶色になっている傷がある。
半袖を着ると見えてしまうそれが、俺が水泳や海などの行事を好きになれない理由だ。泳ぐことよりも腕の傷が見えてしまうことの方がまずい。長袖を着ていても、腕まくりはできない。
「お前、さっきから変だけど大丈夫か。」友達の声でやっと現実に帰ってきた。
「ああ、ちょっと……思い出してて。」
今日会う三人組は俺の中で最も情頼できる人たちだ。
この人達なら、さっき考えていたことを打ち明けても何も言わないだろう。
何か嫌なことを考えていることが分かったのだろう。
「そっか。体調悪くなったら言えよ。」
そう言ってバイクを降りて砂浜に歩いていった。
「伊織と千隼は?」
海に向かっている拓実に言った。
「いおりんとハヤはバイク持ってないから歩くらしいよ。そろそろ来るかも。」
太陽の光に照らされている拓実の目がちらちらしている。
いつの間にか座っていた拓実の方へ歩いていって、隣に腰掛けた。
「すげー暗い顔してるよ、お前。考えてたことってさ、中学のこと?」明るい顔に反して、拓実から出る言葉は彼なりの優しい言葉ばかりだ。
「あっ、いおりんとハヤだ。おーい」空を仰ぐように、大きく腕を翻している。
そして、伊織と千隼の二人が呼ばれたことに応えるように走ってくる。
「遅れてごめーんね?」千隼がふざけて俺達に 言った。
それに続けて拓実が許せないかもぉ〜♡と言っている。
「さて、どうする?まずはスイカ割りをする……あとは、僕はかき氷も食べたいし……」ついさっきまでふざけていた千隼の思案する横顔はクールだが、脳内では夏限定のフレーバーが弾けている。
拓実がボールを指先でくるくると操りながら言った。
「俺はビーチバレーとスイカ割りができれば良いかなー…あとはおまかせな感じ」
それまで、三人の意見を聞いていた藤宮伊織が口角をわずかに上げ、夏の午前の気だるさを払うように微笑んだ。
「それじゃあとりあえずビーチバレーをするのが一番良いんじゃない?その後にスイカ割りして、かき氷を食べればみんなの条件がかなって良いと思うよ。」
大柄な見た目に反して、喧嘩にならないように人をまとめたりするのが得意な伊織の発言で今日のプランが即決した。