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俺は生まれつき未来が視える特別な力を持っている。相手に触れたら頭に流れ込むように未来の映像が流れてきて、自分と相手の今後の映像が見えてしまう。
――だからこそ、人と触れるのが怖い。
触ってしまったら未来の自分たちの姿が見えてしまう、その映像がいつのものかわからない。ずっと仲良くしている様子?それとも喧嘩して仲違いしている様子?もしかして絶交してしまってる様子?今が仲良くてもそんな未来が見えてしまったらどう接すればいいかわからなくなってしまう。
だから俺は友達を作らない。人と別れを迎えることに怯えてしまっていたらどうしようもないのはわかっているが、あるはずもない未来を想像して怯えるのではなく、この先必ず起きてしまう未来が起こるのを怯えて待ち続けるのが嫌で、疲れてしまったから友達なんてものはいらない。
「…ふぅ…っ」
昔っから仲良かった友達も高校に上がった段階で疎遠になってしまって、交友関係は1からのリセット。それが丁度いいなんて思ってしまった。学校で話すのは先生だけ、帰ってから話をするのも家族とコンビニ店員だけ。高校に上がってから人と話すなんてそれ以外の人としか話してこなかった。
「新学期始まって早々、急だが転入生だ、入ってきてくれるか?」
本当に急の転入生。でもそんなの俺には関係ないから、とは思いつつも誰かが人前で自己紹介してるのに別のことをしていたら失礼になるから仕方がなく、黒板の方へ目を向ける。
「今日、転校してきました内藤ないこです。よろしくお願いします。」
ぺこりと綺麗にお辞儀して、先生に言われた席へ足を運ばせる転入生。…あれ、こっちに向かってきてる…?つか、俺の隣前まで空き席なんてなかったよな…?
「よろしくね」
「…っす」
俺の隣に座ることになったんか。
…都合が悪い。隣の席となると事故で手が重なって…とか起こり得る。そんなんになってしまった場合、たとえ仲良くなかったとしてもその先の未来は視えてしまうかもしれない。それがどんな未来なのかわからない、残酷かもしれない。
もしそんな未来が視えてしまったとしたら恐ろしくて、トラウマになってしまう。…もうあんな残酷な映像は視たくない。
「名前なんて言うん?」
「…いふ。よろしくするつもりはないから」
またクラスメイトからの痛い視線。別にあまり気にはしていないけれど、注目が浴びることが苦手な俺はあまりこの空気感が得意でない。
「いふ、いふかぁ……ふふっ、まろって呼んでもいい?」
「…げ、お前までまろって言うん…?」
「好きにしろ。…つか俺、よろしくするつもりないって言ったよな!?」
なんて言って返すとまぁまぁ、って適当に返されてそのままHRは終わってしまった。全く、俺には合わないような明るくて陽気で…なんというか本当に話しづらい人が隣の席になってしまったなぁ。
ないこがこの学校に転入してきてはや1ヶ月。最初は仲良くするつもりなんてなかった、他の人と同じで最初だけはグイグイ来る感じで日が経てば経つほど俺なんて存在を忘れていく。そんなやつだろうと思っていた。
それなのに、ないこはグイグイ来るのをやめなかった。しかもコイツはなんか掴めないやつで、めちゃくちゃグイグイ来るタイプなのに過度なボディータッチは避けてる。なんというか…触らないように気をつけてる、みたいな。
だからこそ、コイツなら少しだけ。少しだけなら話してやってもいいかなって思った。それからは結構話すようになって、昼は一緒に食べたりするようになった。
「まろー! 放課後さカフェ行かん?」
「えぇよ、どこに行くか決めといて」
「りょーかい!え、てか今度さ古着屋行きたいんだけど付き合ってくれん?」
「…えぇよ、大会も終わったし土日なら空いとるよ」
話すようになったとはいえ、俺から距離を詰めるようなことはしなかった。…いや、できなかった。コイツとなら仲良くしても大丈夫そうだな、って思っているのに心の何処かでまた、残酷な未来が視えてしまうんじゃないかって思ってしまう。
せっかく仲良くしてくれるような人と巡り会えたのに、いつか…なんて考えてしまうと仲良くなればなるほど辛くてしょうがなくなる。
「…まろは優しいよね、俺なんかに付き合ってくれて」
「なに、急に。」
「んー、前の学校ではあんっっまり仲良くできる友達いなかったからこんなに長続きして嬉しいな〜!って思って!」
二カッと笑うないこ。…なんだかいつも笑っているないこの笑顔とは違うような笑みに見えて、これが心の底から笑えているように見えて。なんだか、彼のことがもう少し気になったような瞬間だった。
「…あっそ」
***
あれから変わらずなにもないまま、夏休みがやってきた。
「まろ、課題終わんねぇ、てか数学ワーク何ページまで?」
「んーっと…ここまで、じゃね?単元の区切りついてるのここやし」
今日は久しぶりにないこと会ってカフェで勉強会です。
夏休みに入ってから2週間。あと2週間あるという区切りで一旦2人で会うことにした。まぁ、一応友達だしないこから連絡来たときは会うかどうか悩んだけれど結局会うことにした。
――そして、今日。触れてみようと思った。
本当は触れないで、このままずっと…っていうのも何回か考えはした。けれどやっぱり、やっぱり別れが怖いから。だったら別れを知って、疎遠するのがいい、って決めた。
「まろ?俺飲みもんもっかい買ってくるけどなんかいる?」
「あー、大丈夫。まだココア残ってるし、ないこの分だけでえぇよ。」
「その間に大事なところマークしとくな」
「まじ?助かる…!ありがと!」
そう言って、ないこはレジの方へ行ってしまった。いつ触れてみようか、やっぱり怖くて、踏み出すのには勇気がいる。そしてなにより、未来が視えてしまったことの恐怖より、今ないこに拒絶されることに対する恐怖心だってある。
これまで触れられてこなかったのはないこ側にも触れられたくない事情があったのじゃないか、そんなことばかり考えてしまう。前のトラウマと臆病な性格が混ざりあって踏み込めなくなってしまっているだけなのはわかっているのに、わかっているけれど…
「…はぁ〜っ」
「おうおう、ため息どうした、おうおう」
帰ってきたないこに俺はおかえりも言ってあげれなかった。挨拶どころか、勉強どころじゃなかった、ないこに会ったらこうなるっていうのはなんとなくわかっていた。
「俺…ないこが怖い…」
「は?俺何もしてねぇだろ!怖がる要素どこ!?」
「ぜんぶ…」
「はぁぁぁぁっ!?」
こうやってふざけ倒しているのになにか、変なことをしてしまったら避けられてしまいそう。そんな裏のあるないこが俺は怖い。
「…っ」
「おら!」
「んんっ…!?」
…なんか裏のあるないことの今後の未来、気になってきた。…だから頬をムギュムギュと掴んでみた。…んだけど、…あれ?未来が視えない。なんだこれ、ノイズがかかっていて音も映像もなにも視えないし聴こえない。
「ちょ…なにすんだよ!力加減考えろって!いてぇわ!!」
「あ、…すまん」
なんで、コイツとの未来が視えないんだ?こんなこと今までなかったのに、なんでだろう。これがどういう意味なのかもわからない。いい意味なのか、悪い意味なのか。視えないことがどういうふうに転がるのかわからない。…残酷な未来が視えるよりも残酷だ。
「つか、ないこの頬柔らかいな。」
「んむっ…そう言いながら何回もツンツンするな!」
1度視た映像は強く願わない限りは二度と視えない。けれどこれまでのはやっぱり別れが怖くてグルグル胃が痛むような感じがして忘れられなかったけれど、ないことのはノイズばかりでそれはそれで変な感覚だけれど普通に話していると忘れてしまう。
だから人生で初めてだ。こんなふうになにも考えずに人に触れるようになったのは。
「……」
「…? ないこ?どうしたん?」
「ぁ…、なんもない!勉強の続き!しよ!」
「はーい」
俺は昔っから人の背景が色付いて視える特殊な眼を持っている。だからこそこの人が今どういう感情なのか、みたいなのがわかるから人の気持ちを伺って行動するのが得意だった。
だからこそ、こんなにも読めない人がいるとはって初めて会ったときはびっくりした。し、どうすればいいかわからなかった。
「…いふ。よろしくするつもりはないから」
いふと名乗る青髪の男。目がキリッとしていて、なんだか吸い込まれるような瞳をしている。そんな彼の背景は色が渦巻いているように見える。赤に青に茶色、紫に黒。そして白色。
俺の中では赤は怒り、青は悲しみ、茶色は諦め、紫は警戒に不安、黒は絶望に嫌悪、そして白は空っぽな感情として意識していた。だからこそこんなにも矛盾で溢れかえっている背景色はなかった。
「いふ、いふかぁ……ふふっ、まろって呼んでもいい?」
だから俺はこの男をもっと知りたいと思った。この男が考えていること、この男の感情。すべてを知って、攻略してみたいと思った。
一歩ずつでいい、一歩ずつ攻略ルートを踏んで。この男のことをしれたらって。…まぁ、まずはこの紫、警戒心を解くためにも馴れ馴れしすぎず話しかけてみるとしよう。
***
俺がこの男を攻略しようと興味を持ち始めてから1週間の段階で進展は早速現れた。
彼の背景の色に黄色が追加されていた。この負のオーラを纏いまくったこの男に期待の黄色があるなんて、俺はそう思った。
「まろー昼飯食お!」
「教室で、自席で食ってるから好きにせぇ」
「ほんま!?やったぁ!まろのお弁当の中身気になってたんだよね〜!」
前までは嫌だ、なんて拒絶ばかりだったのに今日初めて、一緒に昼飯を食べていい許可をもらえた。些細なことなのに100万円当たったかのように嬉しい。つい口角が緩むのがわかる。
「まろはさ、なんでいつも1人なの?お前実は面白いのにさ」
「別に、つかお前もなんで俺だけにつるんでくるわけ?お前こそ他のやつと話せばえぇやん」
「んー?」
別に、他の奴らの背景の色が…うん、欲にまみれた色で…というかみんな薄ピンクで恐ろしいんだよ。俺ってばモテ期〜!…みたいな呑気なこと言える性格が良かった。だからこそこんなにも色がごちゃまぜの人は目立つ。薄ピンクだらけの人の中にいるごちゃまぜな色。目がチカチカしてしょうがないんだけどな。普段は特殊なメガネを掛けてやり過ごしてるけど。
「俺はまろがいいんだよ、広く浅くより狭く深くタイプだから」
「へぇ…そうなんや」
「反応うっす!?もうちょっと喜べよ!お前は!」
「はいはい…」
「絶対わかってないよな!?」
***
そして夏休み。久しぶりに会ってカフェで勉強会。久しぶりのまろは背がまた伸びていてまた一段と俺を見下されている感覚。そして相変わらずの混沌とした色。見る度に目が疲れる。頭の色も青色だしさぁ…カラフルだなコイツ。意味は全然そんな明るいもんじゃねぇけど
「おら!」
「んんっ…!?」
そんな呑気なことを考えていたら急に俺の頬を掴まれた。こいつ…警戒してたんじゃないのか…?じゃあこの紫はなに、いつもより深い深い紫はなに…?警戒じゃないなら……不安?なんでこんなにもまろは不安な気持ちを抱えているの…?
その後の勉強会はなんだか俺は普通に接することができなかった。
せっかくまろについてようやく一歩知れたと思ったのにまた知らないことが増えた。俺に初めて触れてからずっとずっと増えていくその紫色と青色はなんなの。なにをそんなに不安がってるの?なにをそんなに悲しがってるの…?俺にはわからないよ、全部、全部。
そして俺は、俺はたった1つ。まろを救い出したいって、攻略するだけじゃなくて、この男を救ってあげたいって思った。余計なお世話だって言われてもいいから。
時は経ち定期テストが終わったあたり。夏休み中に勉強した成果はしっかりと出たらしくて、かなり問題は解けた方だと思う。もともと地頭がいい方で勉強しなくとも授業でやっていたことを覚えていたが故に高得点は取れていたのだがやはり勉強をすると結果もかなり変わってきて、いい方向へ、そして模範解答のみに限らずの記述式が書けるから勉強はやっぱりしといて損はないなと思える。
「…まろぉっ、聞いてよこの前告られたんだけどどうすればいい?」
「いや知らねぇよ、つか自慢?はぁぁぁぁ…うざいわ」
まろとの進展はかなりある方だと思う。色が鮮やかな色で染まり始めている。前までは黒色とか茶色とか白色とかなんか色を汚く見せていた色が薄れかかっていて、緑に黄色、少しだけだけどオレンジ色も顔を出していた。
…コイツが俺以外と関わっているところを見たことないから、少しだけだけど俺と関わったことによってコイツに安心、希望、喜び。なんて感情が湧き出ていると考えると嬉しくなる。あぁ、今まろを救えてるみたいな感覚に陥る。
「自慢つーか、愚痴?」
「その女かわいそ、こんなやつを好きになってしまって」
「酷い言い草!」
好きになられたって、恋愛に興味がない俺には断る以外の選択肢がない。それなのに、返事は後ででいいからとか面倒くさいような、今後の未来に先延ばしにされるような言い方。腹立つし不愉快。自分で終わってる性格をしているのには自覚があるが、だって事実だもん。しょうがないじゃーん。
「お前は、告られたことないわけ?お前ならどうすんの?」
「告られたことねぇしわかんねぇよ…、嫌味か?」
「え、お前ないの?意外!小学んときとかモテそ〜なのに?」
「この冷酷がモテだすのは中学、高校ん時くらいからやろ…、冷酷すぎてモテへんけどな」
ふっと諦めたように笑うまろの横顔を見つめながら俺はどうすればいいかわからなくなる。青色が少しだけ強くなった。なんか、コイツ…意外と分かりやすい?表情と感情がリンクしているというか、親密になればコイツの感情。この眼がなくともわかるのでは…?でもそれは…なんか嫌だな、俺だけの特権みたいなのが誰にでも、みたいになって。
「だいじょーぶだよ、俺がそばにいる」
「は?…何急に。」
「非モテないふまろさんのそばにこのモテモテないこ様が側に居てあげる宣言してやったよ!」
「お前なんか居なくてもえぇわ」
…あらら、顔が赤いですこと。恋愛的にじゃないからピンク色にはなっていないけれど顔が真っ赤で、それこそ背景の色と勘違いするレベルで赤いからわかりやすい。
「冗談めかして言ってるけどさ、結構本気だよ?俺。」
「本気ですか?」
「本気ですよ」
「本気でしたか…」
「本気なんですわ…」
こんな意味のない会話だってまろとならなぜだかわかんないけど楽しく感じる。こういうの友達って感じがしていいよね、くだらないことで笑い合える。それはまろも一緒なのかな、初めてまろの笑顔が見れた。嬉しい。こうやってずっとまろが俺の傍で笑ってくれていたらいいのにな。
「まろが笑ってる顔、初めて見た。」
「え、…笑ってた?」
「うん、お花みたいに綺麗だった」
「…例え下手か」
…あれ、なんか心臓が痛い。…なんだこれ。ドクンドクンして止まらない、体中が熱くなる感じがする。なに、これ…わかんない。
わかんないけど、今、俺…絶対背景の色ピンクだ…
続く…
限界きたので一旦きります😭
もしかしたら続き上がらなかったらすみません本当…1ヶ月経っても続き更新されなかったらコメントでもして怒鳴り散らかしてください…頑張って書きますけど…もしかしたら本当に上がんない可能性あります…;;
コメント
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まろ&ないこの二人、最高すぎる…!!😭💕✨ 未来が見えるまろと、感情の色が見えるないこ。能力の対比がもうエモすぎるし、ないこがまろの頬に触れた時に未来が「ノイズだらけ」になったの、めっちゃ気になる…!お互いを少しずつ知っていく距離感がじれったくてキュンとするよ♡最後のないこの「俺、絶対背景の色ピンクだ…」で声出たわ…!次の展開が待ちきれないよ〜😭🔥 続き、気長に待ってるからね!無理しないで書いてくれるだけで嬉しいよ⋆♡