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──────メテヲさん視点──────
その後、血に塗られたベールは光となって消えた。その後、お父様の武器、正義の剣を引き継いだ。…あの、よく分からない黒い剣の存在を彼らは知らないようだった。こいつらは、メテヲよりもずっと生きてて、メテヲよりもお父様の近くにいたくせに、こんなことも知らないのか、と内心彼らを蔑む。その後は何事もなくメテヲはイヴィジェル家の当主を正式に引き継いだ。
けれど、世界はメテヲを非日常から離してくれないらしい。その日の夜、メテヲは夢を見た。
夢、だと気づいたのはその空間の違和感だった。ただ、白い空間だった。壁も、床も、天井も見えない。影は存在しない、光だけがあり、それは明るすぎず、暗すぎずを保っていた。こんな空間をつくれるものはメテヲの頭、つまり夢くらいのものだろう。それ以外にも夢、と推測できるものもあったがそこは割愛させてもらおう。メテヲは、その空間で膝まづいていた。床がないくせに、どこでそんな動きができるんだ、とというツッコミは夢には通じず。メテヲは、辺りを見渡す。どうして立ち上がらないのか。それは金縛りのように体が動かない、と言うしかない。夢なのに不自由なんてどうなってんだよ、とまたしてもツッコミを入れたいが、そこは呑み込んでやる。ただ、この膝まづく姿勢は最悪だ。メテヲは誰にも仕える気なんてもうない。それが、神だとしても。そう思ってはいるが、意思が効かない体にはそれが伝わることなんてなく、その動きを止めることはできなかった。
そして、1部、光が強く輝き出す。メテヲの目の前に青色と黄色の光が灯り、強く輝き始めた。先程まで語るまでのない光の明るさだったため、突然のフラッシュじみたものに驚いてしまう。そして、その光は勝手に話し始める。
「あなたの使命を伝えに来ました。」
「ここまでの試練を突破してくれてありがとう。」
「…はぁ?」
突然始まったねぎらい。意図が見えない。夢は、メテヲに何を思ってこんな夢を見せているのか。バカバカしくて聞いてられない。誰が夢は深層心理を表している、と言ったのか。やはり、あれは迷信だったのか。そう思っていても、その光は勝手に話し始める。
「そうね。まずは私たちの正体について言うべきじゃないかしら?」
黄色の光が明るく、弾んだ声でそう話す。話しかけられた青い光はしばらく沈黙した後、ゆっくりと、けれど冷静の色を帯びた声で話し始める。
「…それもそうか。私は、初代最高神《ロスト》」
「同じく初代の最高神《オブテイン》よ〜。」
「初代…最高神。まるで最高神が複数いる、みたいな話し方だね。」
メテヲはメテヲが知っているなけなしの神についての情報を思い出す。と、言っても情報統制が取られ、これが正しい、と言われたものしか知らないから、間違っている可能性もあるが。神は最高神2名を中心として、火、水、風、土──────様々なものを司る神が何百、何千体といる、というものだ。そこから下に、イヴィジェル家、精霊。その下に天使と悪魔がおり、これらの中から神を除いた種族を上位種族、と呼ばれるものだ。…ま、これはあくまで死後の話であり、地上はまた別、と聞いている。死後がこれであるなら、神界もまた、別の定義があるのだろう。もっとも、メテヲは神を何回かしか見たことが無いわけだが。そんなことを考えながら改めて初代最高神、と名乗る彼ら(彼女ら?)に視線を向ける。その光は変形に変形を重ね、人型っぽくなっていく。メテヲの姿を模した形になろうとしているのだろうか?そんな疑問を抱えているが、それとは裏腹にその神々は話を勝手に進めてしまう。
「なぜ、私達自ら、この未来のあなたたちにメッセージを残しているのか。それは、この時代の最高神の暴走を食い止めるためよ。」
「…今代の最高神は、オブテインを吸収し、完璧になろうとしている。…けど、それは禁忌。止めないといけない。」
「ふーん。神は完璧じゃないと思ってたけど、初代様直々に仰ってくれるなんてね。神を完璧だという天使が聞いたら気絶するんじゃない?」
そう、皮肉を言ったつもりだが、その返しは出てこない。本当に、メッセージのようで、一方的なものらしい。つまり、口答えはしても無意味だ。メテヲは黙って聞くことにする。
「私たちが止めようと思ってたのだけれど…。時空干渉もまた、禁忌にしてしまったのよ〜。時空に干渉したら、私たちでもどうなるか分からない。ほんの些細な言動、行動、仕草で未来が全てひっくり返ってしまうもの。」
「…だから、この時代を生きる、あなたたちへのお願い。安心して。あなた一人だけにやらせるつもりはない。」
「死後や、地上にも、私たちの力の一部を受け継いだ、選ばれた子達がいるわ。その子たちと協力して、今の最高神、ロストを食い止めて欲しいのよ。…あなたの、周りとは規格外の強さと、時空への干渉を少しだけ許したのはそのためなのよ。」
「…神の暗殺を神が頼むなんて…。おかしな状況だね。ま、なんでか分からないけど、メテヲ、神嫌いだし引き受けてもいいけど───」
そこまで言いかけて止まる。さっき、神は周りとは規格外の強さ、と言っていた。つまり、戦闘のセンスと才能はこの人達が与えた、ということだろう。お父様は、それに食いついてきたが、それはメテヲへの試練、という理由と長年生きてきた経験、ということで納得出来る。けど、メテヲの力に食いついてきたのはお父様だけではない。
───ぐさおだ。メテヲの妹である、ぐさお。メテヲよりも10離れた妹もまた、メテヲとの模擬戦で目まぐるしい攻防の末にメテヲは勝っている。けれど、ぐさおにはメテヲへの試練としての役割も、実践の経験もない。そこから言えるのは、ぐさおもまた、神の暗殺計画の一端を担っているのでは?ということ。
メテヲの中で火がついた。
「…待って。それ、ぐさおも選ばれたものってこと?そうなるなら、メテヲは絶対にやらないし、ぐさおにもやらせない。ぐさおはまだ、子供なんだ。そんな危険なことやらせられない。舐めてるの?」
メテヲがそう噛み付けば、光は1回強く光ると、話し始める。───きっと、この質問に答えるようのものに切り替わったのだろう。
「ぐさおもまた、選ばれたもの。けど、ぐさおにも力がある。オブテインが《天秤》の力を授けた。彼女が死ぬことは無い。…選ばれたものとして、戦えば、の話。」
「…脅しじゃん。」
つまり、選ばれたものとして戦わなければ…他の要因を用いて殺す、ということだろう。もしくは、授けた天秤という力に抗える選ばれた者がいて、そいつに殺されるように仕向けられてる、とか…。けど、この神は言った。死ぬことは無い、と。けど、けど。死ぬ以上に辛いことがあったら?精神的に死んでしまったら?メテヲは、どうすればいいの…?
「安心して頂戴。あなたたちが血よりも深い絆で結ばれていることは知っているの。だから、あなたたちはお互いに支えられる。お互いに守りあえる。あなた達なら、大丈夫よ。」
まるで、メテヲの葛藤を先回りしたような答え。神は完璧じゃない。けど、限りなく完璧なのだと、メテヲは理解する。メテヲの心は決まった。
「それを、メテヲは引き受けよう。」
「「──────契約完了」」
そう言って、その光はメテヲの体内に入り込む。一瞬、心臓にチクリと痛みが走るが、それ以降体に異常はなかった。…と、言うか。夢で痛みを感じるってどういう原理?
そんなことを思いながら、この夢は幕を閉じた。
ここで切ります!今日は投稿間に合いました!良かった!朝少し書いておいたのが勝利の秘訣!それと、これから授業が始まるらしい。無理すぎる明後日小テストとか嫌だァ!
それでは!おつはるー!
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