テラーノベル
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Hiloto side
目が覚めると腕の中に温もりを感じて、寝ぼけ眼で目をやると、規則的な寝息を立てている元貴がいた。無意識に抱きしめて寝ていたのかと起きて早々恥ずかしくなった。
元貴を起こさないように腕を離し、身体を起こす。
無防備な寝顔に、Tシャツから覗く俺の跡。全てが昨日の情事を彷彿とさせるようで、俺の身体が熱くなりかける。
部屋の時間が穏やかに流れていて、カーテンの隙間から差す強すぎない陽射しが、元貴の白い肌を照らしている。
服を整えて荷物をまとめながら、また逢いたいなぁ、なんて思ったり。でも、そんな気持ちは俺の中だけで留めておく。
…これ以上身体を重ねたら元貴の全部欲しくなっちゃいそうで、昨日言ってた「もう一回」なんかじゃ足りなくなりそうで。
もう幾度となく他人と身体を重ねてきた俺には、そんな感情はとっくに失ってると思ってたけど。
気付かないフリをして、お別れしよう。
だから、最後に「ばいばい」って書いたのに。部屋を出る直前、何か胸が苦しくて痛くなった。
あの夜が明けて、俺は今までの日常に戻って。働きに出て、家路に着き、一人で眠る。
前までと何ら変わらないが、唯一変わったことと言えばマッチングアプリで人と会うのを辞めたこと。どうも元貴以外から届くメッセージに、返信する気は起きなかった。
元貴と会った翌日、「昨日はありがとう」とメッセージが届いていた。だが何と返信すればいいのか考えていたら一日が終わっていて、そのまま送るタイミングを逃し返信を諦めた。
これじゃ元貴に既読スルーしてると思われる…。俺ってこんなにヘタレだったのか。
「はー……、どうしよ…」
自宅マンションに一人。部屋に溜息が虚しく響いた。
Motoki side
ホテルを出た後。眩しい陽射しが容赦無く降り注ぐ中、平日の昼間だと言うのに人通りが多い繁華街を抜ける。自宅であるアパートに着くと、倒れるように中へ入った。
自分で言うのも何だが家は比較的綺麗な方だ。綺麗と言うより、奇妙と言った方が正しいかもしれない。
届いたばかりで箱を開けてすらいない商品、前から愛用していて大切に保管してある物、空き箱も整頓してあるのは、ある意味奇妙な光景とも言える。
この前出来心で買っちゃったピストンも、まだ開封してないし…正直場所を取っているだけで邪魔。
僕だって何時までも大人用玩具に頼るのも辞めたいが、何も手を施さなければ欲は溜まっていく一方なのだから仕方がない。
…早くそういう相手、見つければいい話だし。
フラフラとした足つきでソファに寝転がり、スマホを取り出す。あのマッチングアプリの、昨日以来動きが無いメッセージ画面を開く。お礼を言うことが出来なかったので、一言【昨日はありがとう】と送っておいた。
そのままスマホの画面を閉じて、うつ伏せになって寝る。ソファに顔を埋めながら、僕の頭には滉斗さんが浮かぶ。
…もう、逢えないのだろうか。
そりゃそうだよね、滉斗さんのプロフにも『ワンナイト専門』って書いてあるし。僕との関係は昨日で全部終わってる。
だから『ばいばい』って言うのも普通のことで。…でも僕にとっては信じたくないほど嫌で。
もう滉斗さんのことは忘れろってことだよね。
終わらないで、欲しかったな。全部
滉斗さんとマッチングしてDMで話した時から、僕はずっと滉斗さんに惹かれてた。昨日ようやく逢えて、想像以上に滉斗さんがカッコよくてビックリしたけど。
そしてあの見た目ですごく紳士的で、エスコートしてくれたり常に僕を気遣って。そういうのをさりげなくこなす。
あんなの、好きにならない訳が無かった。
滉斗さんが触れる度に、全身が痺れるみたいに熱くなって、
滉斗さんの紡ぐ言葉一つ一つに胸が高鳴って、
夢を見てるようだったけど、滉斗さんの全てが身体に染み付いてて。
また逢いたいだなんて馬鹿な思考に至っている僕は、本当に愚かだ。
既読だけ付けてメッセージの返信は来ないまま、一週間が過ぎた。
いや切な😭😭😭すれ違いすぎだろうが早くくっつけよ😭😭
10万いいねー!!この前8万だったよ早すぎますありがとうございます🙏🏻
コメント
15件
早く正直になってくれ頼む 二人が再会して意思疎通♡♡♡してくださいお願い
また、逢えると良いなぁ…
いやもうさっさとくっつけちゃいましょう。好きなんだろ。告れよ😭😭😭😭 10万えぐ。おめでとうございまっする🫶🫶🫶