「先生はこの辺に住んでるの?」
「あぁ、近くのマンションに住んでるよ」
「実家は遠いの?」
「うーん、そうだな。帰れないほどじゃないけど」
「へぇー、そうなんだ。恋人は?恋人いる?」
「フフッ、いないよ」
先生は机に向かい仕事をしながら答えてくれる
俺はベットに転がり先生の横顔を見ながら質問攻めしていた
あれから事あるごとに保健室に入り浸っている
好きな人の事はなんでも知りたいし、一緒に居たかった
「先生は男の人とは付き合える?」
「んー、その時にならないと分からないけど、偏見は無いよ」
「じゃあ年下は?」
「‥‥‥‥」
手が止まりチラッとこちらを見た
「え‥‥年下ダメ?」
「法に触れなければな」
「ホウニフレル?」
「そうだ」
「ふーん‥‥でも先生ってなんでも答えてくれるね」
「ローレンが聞いてくるからだろ?」
「それにいつ来ても帰れって言わないし」
「言わないよ。ここは保健室だからな」
「でも前の先生は何もないなら教室戻れって言ったよ?」
「傷つくのは体だけじゃないからな。しんどいなら休めば良いし、辛さなんて人それぞれなんだから俺が決める事じゃないからな。まぁ‥‥お前は違うように見えるが」
「でも俺にも言わないんだ」
「言わないよ」
「変わってんね、先生って」
「いや、普通だろ?」
学校の決められたレールから外れてる俺を否定しない
居心地が良い保健室
ますます俺は先生が好きになっていった
先生に会いに学校へ来ているうちに、授業を受ける事も億劫ではなくなり、俺は普通に学校に行くようになっていた
だが、懸念点が一つある
保健室前の廊下
中からは女子達の声‥‥
その前の休み時間は男子達が怪我したとかで居座ってたし
俺は休み時間が終わるのを待ち、みんなが教室に入るのを待った
静かに扉を開け中を確認する
あれ?
生徒どころか先生までも居ない
いつ出ていったっけ?
中に入りベットに腰掛けた
先生も居ないし帰ろう
カタン‥‥
何かを置いたかぶつかった音?
俺は部屋を歩き音の出所を探る
壁際に置いてあったパーティション
それが壁からわずかに離されて置いてある
隙間を覗くとそこには扉があった
ドアノブに手をかけゆっくりと開く
「‥‥先生?」
「うわっ!‥‥ビックリした‥‥」
手には電子タバコとコーヒー
中はコーヒーと柑橘系の香りに包まれていた
「お前どうして‥‥」
「ここ‥‥なに?」
中に入り辺りを見回す
6畳くらいの縦長のスペースにベットと棚
あとは先生が座っている椅子と小さなテーブル
「昔はただ倉庫にしてたみたいだが、俺が片付けて使えるようにしたんだ。そこにあるベットはまだ使えるみたいだから予備に置いてあるだけ」
「へぇ、良いじゃん。先生のそれベイプ?」
「そうだよ。職員室行くの面倒くさいし、人多いの苦手だし」
「そうなんだ」
「誰にも言うなよ?」
「じゃあ俺にもここつかわせて?」
「ダメだ。もう入るなよ」
ダメって言われるとますますこの小部屋が魅力的に見えてしまう
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コメント
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なんでも答えてくれる小柳先生優しい~