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危険度の高いエネミーからの襲撃を受けて負傷。入院期間2週間。退院から4日。
自宅の天井を見つめる星導。
1ヶ月の自宅療養言い渡された。
大変だろうと思っていた四肢欠損生活は想像より退屈で大変なのは一緒に過ごす人達の方だった。
退院後、ディティカの4人は揃って星導の家に泊まる運びとなった。
3日間の自宅療養を言い渡された伊波とカゲツ。2人は3日間、星導の世話を焼くだけ焼いて帰っていった。
風呂もトイレも食事も1人では出来ない星導に面倒だという表情を一度も見せず文句も言わず甲斐甲斐しく世話してくれた。
「カゲツとライは自分のために休む時間作った方いいよ」
「だってそうしたらお前どうするん?」
「俺いるよ」
「や、小柳はゆっくりしてて」
「2週間も休みなんだから平気」
「本当に平気?」
「疲れたら言うよ」
「そうしてくれよ」
2週間の自宅療養を言い渡された小柳は引き続き星導の家に泊まることになった。
どうせやる事もないから、と星導の世話をしてくれている。介護疲れのようになってしまわないか星導と伊波とカゲツは心配したが、無理な時は言うと言った小柳を信用することにした。
罪悪感が星導の首を絞める。怪我の治りが早かった小柳が2週間も自宅療養するように言われたのは自分のせいだから。
謝りたいけれども謝れない。彼に当時を思い出させるようなことは今は極力したくない。
それに、謝っても彼を困らせるだろうから。
星導は天井からキッチンの方へと目線を移す。
キッチンに立つ小柳。オリエンスから差し入れでもらったレトルト食品が棚に並んでいる。
彼は冷蔵庫を開け、タッパーに入った赤城の手料理を手にとる。
レンチンで温める。温め完了のピー、という電子音。レンジを開ければふわりと食欲を唆る匂いが広がる。
「ウェンの唐揚げ食べよ」
「うん」
「はぁ、美味しかった」
「ね」
俺に食べさせつつ、自分の食事を終えた小柳は息をついて俺を見る。
「なぁ、星導」
「ん? 」
「……そろそろ聞いていいか」
「何を?」
「……何であの時、自分の腕切りを落としたのか」
避けていた話題を彼から切り出してきた。
入院中に一度話した経緯。
怪力エネミーに人知を超える力で腕を鷲掴みにされ、一瞬にして腕が駄目になったと悟ったあの時、脳が下した最善の判断は切り落とすことだった。
「あれは切るしかなかったんだよ。周りにも被害が広がる一方で俺だけエネミーに掴まれてあの場にとどまっているわけにはいかなかったから」
正直に答えれば小柳の顔が暗くなる。真剣な、鋭く澄んだガラスのような青い目が星導をとらえる。
「それが最善、だったのかな」
「そう。最善だった」
「本当にそうだったのかな」
「……俺が行くしかなかったでしょ」
「……確かにな。怪力エネミーに対して肉弾戦仕掛けるなら星導だろうな。負傷しても再生能力があるから……でも」
途中で小柳は額を押さえた。俯いて必死に手を押し当て呻く。
「大丈夫…?」
「う、ん」
下を向いたまま小柳は返事をする。
思わぬタイミングでそのスイッチを押してしまったらしい。やってしまった。
相棒の異変を察知したのか小柳のオトモが彼の膝上に乗って、鼻先を頬に近づける。
大丈夫だよ、と小声で彼が声をかけるとオトモは足元に降りていった。
「多少の犠牲はしょうがないよ。それに俺のは再生するし……ダメになってもその期間面倒見てくれる同期がいるし」
安心させるように言えば小柳は目を伏せた。