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その力は、今までの過酷な体験でのぎりぎりの、生きるための努力によるもの。そのお陰で私は、きっと明日も明後日も生きていけるのだ。それと……呉林のため……。
そして……今頃、中村・上村は何をしているのだろう?
「赤羽さん。怖い? 私はすごく怖いわ。戦なんて死んでもおかしくないはず。今までは不思議な感じる力やみんなのお陰で、死の恐怖があまり無かったけれど……」
動物の匂いがする毛皮の継ぎ接ぎの毛布に包まった。横になっている呉林はこちらにか細い口調で話した。枕はない。
横になっている私と霧画は少し考えるが、
「大丈夫さ。ただ単の夢のことさ。きっと、いや……必ず何とかなるさ」
私はカルダへの怒りで、平静に言ってのける。
私はこのリアル過ぎる恐ろしい夢の世界でも、やはり夢は夢と考えられるところがあると思う。
「そうよ真理。これは夢よ」
霧画は優しく言う。
霧画が私の考えを読んだ。
「姉さん。私じゃどうしても無理だったから。この戦いは私たちが勝てるかどうか何か感じる?」
「残念だけど、私も何も感じないわ。どうしても何も感じられないのよ。今でも心は空虚で、そこから何も生み出せえない。でも、一つだけ何かとても強く感じることがあるの。それは言語化できないけど……」
霧画は少し間を開けて、
「……空が見えるの」
「え、空。それって、蒼穹の戦士が関係しているの?」
「……違うわ?駄目、解らないわ……」
「なんだ……」
私は自信が揺らぐことは無いが、緊張しているのにどんよりとした奇妙な眠気を感じた。
「何か変よ!」
呉林は上半身だけ起き上がったが、すぐに横になる。
三人は眠った。
ルゥーダーとカルダは祭壇で、その禍々しい頭蓋骨でできた杯を飲む。
「しっかりと、わしの呪いが効くぞ。小娘どもよりわしの力の方が上なのは当然じゃ……。日本人か……。まさにこれまでにない生贄。一番残酷な儀式の準備をしなくてはな。これで、わしは完全に世界を統べる。未来永劫の全てのものがわしの手中に……」
ルゥーダーの意識の中、いや、外の私は生まれて初めての抑えようのない怒りと同時に戦慄を覚える。
次の日。戦いの車輪は何千人もの犠牲者を磨り潰すために動き出した。
「赤羽さん。おはよう」
私は呉林の優しい声に目を開ける。