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#独占欲
#ワンナイトラブ
#溺愛
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「どこ行ってたの?」
帰宅すると
純也が起床していた
普段話し掛けてこない純也が
帰宅した私に声を掛けてくる
最近は私の行先にご執心
自己関心を満たすだけの問いが虚しい
「お母さんの仕送りとか買い物とかだよ」
買って来た食材をキッチンに下ろしながら
互いに目も合わせず会話する
「昨日はどこ行ってたの?」
「……」
一瞬
何故昨日のことを聞くのかいぶかしんだ
でも
考えてみれば昨日は先に就寝したので顔を合わせていない
純也が起床する前に外出したので丸一日会っていない
私の行先にご執心な純也の単なる欲求だろう
そう結論付け
直ぐに疑心は晴れた
「会社だよ、ここのところ忙しいの」
「それにしても毎週末だぜ、そんなに?」
「多忙な時期なの、前にも言ったけど」
「新設された部署で新たな職責、やる事山積みなの」
純也はどうして変わってしまったのだろうか
以前は私に全く関心を示さなかったのに
自身が仕事に出れないやっかみ?
時間が有り余って手持無沙汰?
そう言えば
未だに純也は自身の今の境遇を話してない
未だに何があったかを私に告げない
私は私で
以前の純也以上に
純也に全く関心が無くなってしまった
それ以上に重要なことが山積み
それどころではない
しかし
離婚をする上で純也を避けて通れない
向かい合わなければならない
かつて愛した人との最後のケジメをつける為に
それが
私にとって
避けては通れない
離婚をする上での最難関
「純也こそ昨日どこ行ってたの?」
純也を
避けていてはダメ
純也と
向かい合わなければならない
気まずくても話し合わなくちゃ
最後くらいは
真面目に
真摯に
向き合うべきだ
それが
一時とはいえ
かつて純也を愛した私の責任
「お前がそんなこと聞くの珍しいな」
「遊びに行ってただけだよ、いつものことだろ」
それはそう
純也と会話を続けると
何故か空気がギスギスする
あまりにも長い間
たいした会話もしてこなかったせいか
必要最小限以上の会話をすると
何故か会話に角が立つ
穏便に話したくても
上手く行かない
こんな関係になる前を思い返してみても
どうすれば良いのか分からない
「最近帰宅早いけど何かあった?」
会話を紡ごうとするあまり
離婚話を切り出そうとするあまり
あまりにストレートに聞いてしまった
私はその答えを知っている
もう少し配慮しようと試みたが
純也から逃げずに
純也と向き合う
その思いが強すぎたのか
少々思い悩んだが良い聞き方が浮かばず
思わず流れで直球を投げてしまった
「……別に」
「色々あんだよ」
純也は
私と向き合ってくれなかった
話を濁すばかりで
妻である私に
自身の置かれている状況を
一体何があったのかを
話してくれることはなかった
分かっていたこと
分かっていたけど
悲しかった
今の純也の言葉が
今の純也の対応が
今の私たちの関係性を
まざまざと物語っていた
そんな純也を見て
踏ん切りがついた
鼓動が高鳴る
唇が震える
私は変わった
もう弱かった以前の自分じゃない
未来のために
産まれてくる子供たちのために
運命を
変えなければいけない
言わなければならない
そして——
「純也……」
「私たち……もう終わりにしない?」
ギスギスした空気感が一変
私の一言に
沈黙が流れる
「……」
私の一言が
あまりに予想外だったのか
これまで何も言わずただ許容してきた私が
これまで何も言えず弱かった私が
こんな話を切り出すとは思わなかったのか
純也の表情は
言葉に詰まるというよりも
言葉失っているように見えた
「同期の子でね、鈴木さんて子がいるの」
「純也も知ってるんじゃない?」
純也は無言のまま
表情も変えずに俯いていた
「鈴木さん、色々あって今謹慎中なんだって」
ポツリ
ポツリと
話を紡ぐ私を
無表情で固まったまま
言葉を発さない純也
私が知る由もないと思っていたことを語ったからなのか
離婚を切り出したことがショックだったのか
今
純也は
何を思い
何を考えているのだろう
その答えは
私が知る由もないと思っていた
予想外のことだった