テラーノベル
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20
あまね🍡💠
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エデンからの脅迫メールが届いて一日――。
東洋未来ホールディングス本社。
社長室では、社長、副社長、政府関係者、能力犯罪総合対策本部の隊員による極秘会議が行われていた。
社長は疲れ切った表情で口を開く。
「本当に……家族は守れるんですか。」
政府関係者は静かに頷く。
「警備は最大限強化しています。」
「テロ組織の要求に応じるわけにはいきません。」
社長は拳を握る。
「ですが、もし家族に何かあったら……。」
御堂が静かに言った。
「私たちが必ず守ります。」
「だから、テロリストには屈しないでください。」
社長は小さく頷いた。
「……分かりました。」
「ですが、時間を稼ぐためにも、一度だけ返信させてください。」
「交渉するふりをします。」
御堂は静かに了承した。
「構いません。」
「その間に、こちらも準備を進めます。」
───
能力犯罪総合対策本部。
隊員が古い資料を持って駆け込んできた。
「隊長!」
「過去の能力反対組織について資料が見つかりました!」
御堂は資料を受け取る。
表紙には、
『ZERO』
と書かれていた。
ページをめくる。
そこには代表者の名前。
蓬莱 良樹(ほうらい よしき)
御堂は目を細める。
「蓬莱良樹……。」
「能力社会に反対していた組織か。」
隊員が頷く。
「十年前に活動を停止しています。」
御堂は資料を閉じた。
「……偶然とは思えんな。」
───
その頃。
イコル・ヤーレン博士は一人、研究室を後にしていた。
白衣を脱ぎ、古びたコートを羽織る。
「これは私が始めた世界だ。」
「ならば……。」
「終わらせるのも私の役目だ。」
博士は静かに歩き始めた。
その瞳には迷いがなかった。
───
人気のないビルの屋上。
グラビティが双眼鏡を覗く。
その視線の先には東洋未来ホールディングス本社。
「社長が政府関係者と接触した。」
ノイズがイヤホンに触れる。
「政府内部の通信も傍受しています。」
「対応は想定通りです。」
ゲイルが笑う。
「全部、監視されてるとも知らずにな。」
スティールは短く答えた。
「写真も動画も十分だ。」
遠く離れた場所。
ヴォイアントは静かにその報告を聞いていた。
「予定通り進めろ。」
「恐怖は、少しずつ植え付ける。」
───
学校帰り。
湊は一人の青年と肩がぶつかった。
「あっ……すみません!」
青年は慌てて頭を下げる。
その拍子に財布が地面へ落ちた。
「あ、財布。」
湊は拾い上げて差し出す。
「ありがとうございます。」
青年は何度も頭を下げ、その場を去っていった。
湊はその背中を見つめる。
「……変わった人だったな。」
───
その夜。
青年はエデンが指定した場所へ足を運んでいた。
廃工場。
そこにはグラビティ、ゲイル、スティール、ノイズが立っている。
青年は緊張した表情で言った。
「動画を見て来ました。」
グラビティが静かに尋ねる。
「能力は。」
青年は俯いた。
「……分かりません。」
その場が静まり返る。
ヴォイアントの声が通信機から聞こえた。
『分からない?』
「はい。」
「能力はあるらしいんですが……。」
「何の能力なのか誰にも分からないんです。」
ヴォイアントは静かに問いかける。
『自分や周りに、何か変わった出来事はなかったか。』
青年は少し考えた。
「気のせいかもしれませんが……。」
「体育のマラソンで、いつも最下位だった友達を必死に応援したら、一位でゴールしたことがあります。」
「あと、好きな野球チームを応援しに行くと、周りのみんなの応援もいつも以上に熱くなる気がして……。」
その言葉を聞いたヴォイアントは静かに笑った。
『……なるほど。』
『スティール。』
「はい。」
『彼に応援してもらえ。』
スティールは青年の前へ立つ。
青年は戸惑いながらも声を上げた。
「が、頑張ってください!」
「あなたなら勝てます!」
その瞬間。
スティールの身体が軽くなる。
「……。」
腕が鋼へ変わる。
足も鋼化する。
さらに――。
全身が鋼に包まれた。
ゲイルが目を見開く。
「おい……!」
「全身鋼化だと!?」
スティールも驚きを隠せなかった。
「いつもより……長く維持できる。」
二十秒。
三十秒。
普段なら数秒しか維持できない全身鋼化が続いている。
ヴォイアントは確信したように言った。
『君の能力は、鼓舞。』
『仲間を鼓舞し、能力や身体能力を引き上げる力だ。』
青年は目を見開く。
「鼓舞……。」
『今日から君のコードネームは――』
一拍置く。
『ブレイブ。』
青年はその名を小さく繰り返した。
「ブレイブ……。」
ヴォイアントは静かに告げる。
『勇気は、人から人へ伝わる。』
『お前の能力も同じだ。』
『ようこそ、エデンへ。』
ブレイブはゆっくりと頷いた。
「……よろしくお願いします。」
その頃。
東洋未来ホールディングス社長のスマートフォンへ、一通のメールが届く。
添付されていたのは三枚の写真。
学校から帰る娘。
買い物をする妻。
自宅前で遊ぶ息子。
本文には、たった一行だけ。
『ご家族は、今日も元気です。』
社長の顔から血の気が引いた。
第41話へ続く
コメント
1件
第40話読み終えたわ…! ブレイブの能力「鼓舞」、めっちゃ良い設定だね。他人の能力を引き上げるって、脳筋じゃない強さって感じで刺さる🔥 全身鋼化を維持できるようになるシーンは熱かった。エデン側の動きも着々と進んでて、社長のとこに家族の写真が届くラストもゾッとした…。湊とぶつかった青年がまさかブレイブだったっていう伏線も綺麗。続きが気になる…!