テラーノベル
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2025/12/18
リクエストありがとうございます🙌
今回結構長いです
※大怪我じゃねえですが瀕死にしたので許してください※
※普通に見てみたいので体調不良も書く予定でございます※
sm視点
「ふぅ…」
少し冷たい空気が肺を満たす。
木々のすきまからこぼれる橙の光は、日が沈むことを教えてくれる。
くぅん…
「よしよし」
ふせられたオオカミの頭を優しく撫でる。
満足気に目を細めた。
ここらには、夕暮れにしか咲かない花があるらしい。
ちょうどポーションの材料を切らしていたし、採集ついでに見てみようと、2匹とともに待っていた。
家からそこまで離れていないし、花を採集したらすぐに戻るから、と、他の3人は来ていない。
「……あ、あれか?」
駆け寄る。小さい黄色の花が一面に咲いていた。
一輪を優しく撫でて、静かに観察する。
「へえ…」
袋に数輪ほど入れる。リュックからランタンを取り外して火をつけた。
モンスターが湧く前に帰らなければ……
ウ”ウ”ウ”…
「なに…っ!?」
オオカミが唸りだし、俺は辺りを見渡す。
まだ日が出ているから、ゾンビやスケルトンは湧いていないはず…
フゥン?
「…!」
振り返る。
人間がいた。紫のローブと、黒のとんがった帽子を被った…
「ウィッチ…!」
ガウッ!!
一匹が魔女に飛びかかる。
魔女は躊躇うことなく一匹にポーションを投げつけた。
ワン!
吠えるオオカミ一匹に促されるように、俺は逃げる。
だが、それは叶わない。目の前の背の高い草がガサガサと音を立てた。
フゥン
「もう1人…っ」
避ける間もなく、俺はポーションをくらった。
足が重くて上手く動かせない…
「はぁ…っ、くそっ…」
もう一匹が魔女に飛びつく。
だが魔女は俺しか見えていないようだった。
俺の顔にポーションが投げつけられる。
「っ…ぁ”…!」
全身が痛む、呼吸が乱れて視界がうねった。
毒だ。
それもかなり強い、普通の魔女は持ち得ないほどの…
「ぁ”…!く、るし…っ」
痛み、苦しみ、頭がうまく回らない。
身体が震える、何も見えない。立っているのかもわからなかった。
ワン!ワン!!
「ぁ…」
もふもふしてる、撫でた。それは俺に寄り添う。
(あったかい…)
心地よい熱が、俺の意識を溶かした。
sh視点
py「お母さん遅いですね」
「…あぁ。」
分針は、彼が帰ってくると言っていた数字の反対側を指している。
「……」
胸がざわめいている。まるで、出会った時と同じような……
ワン!ワンワン!!
「…!」
声が聞こえた瞬間、俺は窓を一気に開け放った。
一匹のオオカミがこっちに走ってくる。
「なんだ!どうした……っ、お前…!」
ウィッチの帽子をくわえたそのオオカミがつけているのは、紫色の首輪。
「Akira!ピヤノ!手当の道具と解毒剤準備しろ!!」
狩り用のケープをまとい、腕にクロスボウを装着する。
py「っ…はい!」
Ak「気を付けてねパパ!」
「おう!」
そのまま窓から外に飛び出る。
日が沈みかけている。早くしなければ、スマイルが…
「スマイルのとこまで連れてって!」
ワン!!
オオカミがまた走り出す。俺も懸命にその背を追った。
ウィッチの帽子、きっと彼はウィッチに襲われたんだ。2匹いるうちの1匹がここにいるということは、もう1匹はスマイルのそばにいるはずだ。もしくは……
最悪の事態もあり得る事を考えないといけない。
オオォォ……ン……
ワン!ワン!
「遠吠え…!」
声のする方へ走る。息が上がって肺が痛いが、そんなことも忘れるくらい、俺は必死に姿を探した。
「スマイルー!!!」
オオォォ…ン…
「どこだ…!」
ワン!
ケープの裾を引っ張られる。
ついてこいと言われているみたいだ。
「そっちか!」
駆け足で見渡す。
橙の木漏れ日が、かすかにその姿を照らした。
ワンワン!ワン!!
「スマイル…!!」
一匹の白いオオカミの背にしがみつくように眠るスマイルを見つける。
「スマイル!」
身体を揺する。かなり体温が低いが、最悪の事態にはまだ至っていないらしかった。
だが、それはもう秒を読んでいるようで。
sm「かは…っ…」
咳とともにこぼれ出た、真っ赤な彼の生命。
「っ!!」
腰のポーチからスマイルが調合した解毒薬を取り出し、自分の口内に少しだけ流し込んだ。
そのまま俺は彼の青白い唇に口付けし、口内の薬をゆっくりと彼の喉に流し入れる。
即効性の解毒薬だ、彼は得意げにそう言っていた。
だから、早く効いてくれ。お前がそう言って作った薬だろ。
「…そうだ、回復ポーション…」
同じように、彼に口移しする。
かすかだが、確かに息をしているのを感じた。
「…ありがとな、スマイルを守ってくれて。」
スマイルの頭を背に乗せたオオカミは、静かに頷くような仕草を見せた。
この子も、毒に侵されているかもしれない、そんな考えが脳をよぎる。
「…どう飲ませればいい?」
伝わらないだろうが、目の前でポーションの瓶を軽く揺らしてみる。
すると、何かに気がついたようで、口をぱくぱくとしだした。
「あ…そういえば……」
この子が守っていたであろうスマイルのリュックのポケットから皿を取り出す。
オオカミの水分補給のためのものだ。
俺はそこに解毒薬を入れ、水と混ぜた。
「はい」
口元に皿を持っていくと、少し匂いを嗅ぎ、すぐにぺろぺろと飲み込んだ。
それを見届け、俺はスマイルの身体を背負う。
「急がないと…」
俺は来た道を、全速力で戻った。
「はぁ”…ぜぇ、っ、は…」
気絶した男一人を背負って歩くのは容易じゃない。
なんとか家に到着し、開け放たれたベランダの窓から靴のまま家に入る。
py「…!お母さん…!……っ、部屋に行きましょう!」
ピヤノに先導してもらい、なんとかスマイルの部屋に到着した。
ゆっくり彼を寝かせ、服のボタンを外して上裸にさせる。
「Akira!ピヤノ!外にスマイルのオオカミがいる!飯とか治療とかしてやってくれ!」
Ak「わかった!」
py「わかりました!」
2人がドタドタと階段から降りていくのを聞く。
2人が準備してくれた薬湯やタオル、さっきと同じ解毒薬などが乗ったお盆をサイドテーブルに置き、スマイルの状態をよく確認する。
はく、はく、と不安定な呼吸を繰り返す彼の姿を見て、嫌でも最悪な未来を想像してしまう。
俺は彼の口にそっと自身の唇を当て、呼吸を促すように人工呼吸をする。
「はぁ…っ、スマイル…スマイル……」
彼の左手に、自身の手を絡ませる。
そっと、彼の薬指の銀色を撫でた。
「頼む……行かないでくれ……」
薬湯のタオルで顔や上半身を優しく拭く。
「スマイル……」
止めたいのに、涙が溢れ出る。止められない。
「死なないで……っ……」
薄くて白い腹に、額を乗せるように俯く。
少し冷たいそれは、確かに鼓動を続けている。
「……」
もう暗くなった空は、月すらも見せてくれなかった。
あれからどのくらい日が経ったのか。
??「……さん…」
スマイルはまだ起きなかった。
??「お……さん……」
お粥などを食べさせてはいる。でも、怖いくらいに痩せてしまった。
俺はずっと、細い左手を握りしめている……
??「お父さん!!」
「ぁ……」
振り返る。息子たちがご飯を持って俺の方を見ていた。
Ak「パパ…ママが心配なのは分かるよ。でも、ご飯食べないとダメだよ…」
「……すまん。そこに置いといてくれ」
py「ダメです。ちゃんと食べてください。食べるまで僕たちは離れませんよ」
「……わかった」
俺は笑う。いや、笑えているのだろうか?
py「僕達だって、お母さんの事が心配です。…心配で心配で仕方ないほどに。」
「……」
py「でも、お父さん。お母さんは、起きてすぐに、やつれたお父さんを見たいと思いますか。」
「……」
Ak「ね、パパ。そんなに背負い込んでるとママ悲しんじゃうよ?だからさ。」
「そう、だよな……ごめん、ありがと。」
py「はい!みんなでここで食べましょうよ」
Ak「えっへへ、持ってきたんだ!じゃーん!」
「…ww」
Ak「あ!笑った!」
py「さ、食べましょ〜」
Ak&py「「いただきます!」」
「…いただきます」
py視点
お父さんは食料のために、森に入っていった。
Akiraさんは、お母さんのバディのわんちゃんを診てくれている。2匹とも、傷も毒も軽症におさまっていて、お母さんを守ってくれた1匹は、お母さんの部屋の窓の方を見上げてぼんやりしている事が多い……とAkiraさんが言ってた。
僕はお母さんの状態の確認と、身体を拭いてあげるために階段をゆっくりとのぼる。
(もう3週間…ですか…)
あの日からもう3週間も経った。救助されてすぐの時より血色は良くなり、今はすやすやと眠っているようにも見える。
いつ起きてもおかしくないのに、その目は開かなかった。
「お母さ〜ん…」
部屋の扉をゆっくり開ける。カーテンの隙間から差し込む夕日が、安らかに眠る顔を照らした。
窓を開ける。入ってきた風と一緒に病人特有の匂いがした。
「今日はみんなで温室の掃除をしました。Akiraさん、棚の薬剤を落としそうになったんですよ?お父さんがキャッチしてくれましたけど…Akiraさんすごくびっくりしてました」
桶を持って、サイドテーブルに置く。
「失礼します」と小声で心ばかりの許諾を得てから、お母さんの上半身を優しく拭く。
汗で少し湿った肌が、夕日を受けて艷めいた。
??「…あきらは、ぶじ、なんだ…?」
「はい。怪我はなかったです…っえ、え?」
僕は今誰と会話した?
長らく聞くことの出来なかった心地の良い低い声。
「…お母さん…?」
sm「ん…おぁよ、ぴやの…」
「っ…お母さん…!」
お母さんに抱きつく。涙が止まらなくて、お母さんは困惑しつつも、優しく僕の頭を撫でた。
sm「な、え、どうした…?泣かないで、」
「ぐすっ、ぅ、よかったぁ…よかったぁ…!」
僕が泣き止むまで、その大きくて細い手は僕の頭を撫でていた。
「だって、お母さん…3週間も寝てたんですよ…」
sm「さんっ…え…俺そんなに…」
「あぁ…よかったです本当に…Akiraさん呼んできますね。」
sm「シャークんは…?」
「お父さんは食料調達で森に行ってます…すぐ帰ってきますよ」
sm「…そっか」
部屋から出て、階段に向かって大きく叫ぶ。
「お母さんが起きましたよー!!」
すぐにドタドタと音が聞こえ、雷形のアホ毛が見える。
Ak「ピヤノ!ママは…!」
sm「おはよう、Akira。」
Ak「…!ママ!」
sm「うお…っ、はは。ただいま、Akira。」
Ak「ママ!よかった!生きてる!!ママぁ〜!!」
sm「よしよし。…心配かけてごめんね、2人とも。」
Ak「はぁ〜!嬉しいっ!よかったママ…」
「そうですね!…あ、そろそろお父さん帰ってきますよね」
Ak「あ、そうじゃん……そうだ!ねぇママ!パパをお出迎えしようよ!」
sm「したい、けど…身体が…」
「大丈夫です、僕たちが支えますから。」
sm「…じゃあ、頼む」
前をきっちり閉めて、お母さんの身体を支える。
3週間ぶりに動かすその脚は、耐えきれないと言わんばかりに震えている。
僕とAkiraさんでその身体をゆっくり、急かさないように導き、なんとか玄関に到着した。
ワン!わふ…
お父さんのオオカミの鳴き声が聞こえる。
3人でその帰還を待つことにした。
sh視点
「連れ回しちゃってごめんな…」
2匹のオオカミの頭を両手で撫でる。
ワン!わふ…
今日獲れた鶏肉を地面に置くと、待ちわびていたかのようにそれにかぶりつく。
平原に行ったから、かなりの量の肉が獲れた。しばらくは困らないだろう…
「はぁ…」
ケープを脱ぎ、腰のポーチを外す。
ずっとずっと、スマイルのことが気がかりで、何事もうわの空になっていることは自分でも分かっていた。
今日はどんなことを彼に話そうか、いつか返事をしてくれるだろうか…
「ただいま〜…」
py「おかえりなさい」
Ak「おかえり!パパ!」
2人が出迎えてくれる。俺は返事を返そうとした……
sm「おかえり、シャークん。」
「……ぇ…?」
ベッドの上で横たわり、封じ込められていたアメジストが光る。
夢でも、見ているのか…?
「す、まいる…?」
sm「さっき起きたんだ。……おまたせ、シャークん。」
「…っっ!!!」
彼の身体を精一杯に抱きしめる。
ああ、なんて言葉をかければいいかな。さっき考えていたのに。
言葉じゃなくて、涙がこぼれ落ちる。
ずっとずっと待っていた。その身体がもう一度動くのを。
数え切れないくらい願った。まだ行かないでと。
抱きしめ返すその腕は、弱々しくも懸命に俺に応えてくれた。
彼の口からずっと聞きたかった言葉が、ゆっくり紡がれる。
sm「ただいま、シャークんっ…」
「っ…おかえり、スマイル……」
はっぴーなのが好きなんだ。
コメント
4件
神作すぎます! ありがとうございます! 感激ですー!とても素敵です! とにかく本当にありがとうございます!
えっ、、、神すぎません、、、??? ちょっとぴやのさんが弱ってるのを見たいと思ってしまった………((笑 リクエスト良ければピヤノ彡がよく分からん菌を貰ってきて長め(一週間以上)の高熱を出すみたいな、、出来ますかね! 出来れば嘔吐とか、、腹痛を入れてください………((性癖やばいっす)) マジで出来たらでいいですっ!