br「きんさ〜ん!!」
kn「………」
あれから、彼はずっと俺に話しかけてくる。
クラスメイトからの視線や言葉も気にせず、普通に。
なんなら「きんさん」だなんて呼び方ができたし、他の誰よりも関わってくる。
kn「…何?どうかしたの?」
br「え?呼んだだけ」
kn「だるいって」
br「あははwww」
流石に無視できる程の頻度じゃなくなった為、今は声をかけられたら話している。
半ば強制的に会話させられているけれど。
少なくとも自分からは絶対に行かないし、まだ完全に信じた訳でも、諦めた訳でもない。
br「次移動教室だから、一緒に行こ」
kn「わかった。まだ準備できてないから待ってて」
br「きんさんの為ならいくらでも待ちま〜す」
kn「………」
彼はどこまでが本気なのだろう。
自分が所謂いじめを受けている事も知っているはずで。
それをわかって、彼も巻き込まれる可能性があることをわかった上で、関わってくるのか。
kn「…行こう、ぶるーく」
br「よし、行こ〜!」
俺の隣で楽しそうに笑う彼は、どう思っているのだろう。
わかるはずも無いが、知りたいと思ってしまう。
他クラスからの視線もざわつきも気にせず自分の隣を歩く彼は、酷く大きく感じた。
br「きーんさん?」
kn「ん?」
少年が振り向く。
無視されたり、素っ気なく返されたりする事は無くなった。
と言っても、僕が話しかけ過ぎているからだけれど。
少し強引になってしまったが、しょうがない。
br「今日一緒に帰らない?」
kn「え」
少年は少し驚いた顔をする。
それから視線を彼奴等の方へ移す。
そして、ふと思う。
つい最近話してくれるようになったけれど、それは「話したい」という気持ちある訳ではなくて。
br「…あ、なんかごめん!!急にそんな、なんか仲良い奴みたいなこと言って!!」
kn「あ、いや…」
自覚してるんだ、とか思っていそうな顔。
kn「…まぁ、いいよ」
br「え」
思いもよらぬ返答に、今度はこちらが驚いてしまった。
今の流れは完全に断られる雰囲気だったが。
br「え、ほんとに、いいの?」
kn「だからいいって言ってんじゃん」
そう言って笑う彼を見ると、何故か悲しくなった。
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