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3 ◇お義兄さんは私がもらう
温子の放った言葉にすぐさま反応し、急いで飛び起きズボンを穿き始めたのは
哲司。
しかし妹の方はというと、最初こそ狼狽えていたもののすぐに体勢を
立て直し、居直った。
「何よ、いきなり声もかけずに人の部屋に勝手に入ってきて。
お義兄さんに淋しい想いをさせてる姉さんが悪いんでしょ。
これからも私がお義兄さんを慰めてあげるから、姉さんは
安心して仕事に邁進するといいんだわ」
温子は妹の凛子の言い草に腹がたち、布団に座る凛子に素早く駆け寄り
思い切りその頬を平手打ちした。
「あんたって子は……」
それに対し、凛子は反抗的な態度で唇を噛み締め部屋から出て行こうとした。
だが、そんな凛子がすんなりと大人しく出て行くわけもなく、出て行く間際に
温子に対して捨て台詞を残して出て行ったのだった。
「お義兄さんは私がもらうから」
部屋に佇む温子に向けて言い放つ。
『お義兄さんは私がもらうから』
正気では考えられないような台詞を口にする妹。
このような形でその夜、温子は妹の凛子から宣戦布告されたのだった。
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