テラーノベル
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テレビの前で、キラキラしてる歌手に憧れた。
あの頃の私は、大好きな歌を歌うこと、それだけが世界のすべてだった。
ボイトレも、一生懸命練習した。
後ろを振り返れば、私よりも歩みの遅い奴ら、トボトボと歩いている。
私はそんな奴らを見て、心の底から見下し、鼻で笑っていた。
自分が世界の中心だと信じて疑わなかった。
なのに、一体いつの間に逆転してしまったんだろう。
気づけば、見下していたはずのあいつらは、眩い世界で注目を浴びて、私の遥か先を走っていた。
置いていかれた。
私の輝かしい夢は、一瞬で砕け散った。
「嘘でしょ……どこにいっちゃったの?」必死であいつらの背中を追いかけようとしても、自分がどこを走っているのかさえ分からない。
掴んだはずの栄光すら、塗り替えられ埋もれて消えていった。
その瞬間、私は歌を失くした。
太陽みたいに輝くあいつらと比べられるたびに、私の存在はどんどん薄くなり、ただの真っ黒な「影」になっていく。
苦しい。惨めだ。
お願いだから、もう私の声を消して。
影になってしまった私に、あたる光なんてどこにもないんだから。
待っていたのは、どん底の暗闇だった。
かつて見下していた奴らに、今は私が笑われている。
逃げる場所なんてどこにもない。
プライドが高かったせいで、泥濘(ぬかるみ)に足をとられた私は、今や全員に見下されている。
「調子に乗ってたバカな私」過去の傲慢な自分がフラッシュバックして、胸をえぐる。
その後悔が、私の世界に絶望と喪失を激しく理解させた。
大事に守ってきたはずのプライドは、ガラスみたいに粉々に割れた。
泣き叫びたいのに、流せる涙さえもう枯れていく。
何も感じない。
心も、紡ぎ出す言葉も、すべてが凍りついて消えていく。
歌を失くした私は私じゃない。
私自身も、私を憐れむ周りの奴らも、みんな、みんな、いなくなっちゃえ。
「触らないで」
差し伸べられた手を、激しく振り払う。その汚い手で私に触るな。
「大丈夫?」そんな綺麗な声で話しかけないで。あんたたちの優しさも、惨めな私への憐れみも、全部反吐が出るほどいらない。
いっそのこと、この世界丸ごと、なにもかも凍りついてしまえばいいのに。
太陽と比べられて、ただの影になるくらいなら、そんな惨めなものになるくらいなら、私をこの世界から消して。それが無理なら
――この世界から、みんないなくなれ。
コメント
3件
うわ、重たかった……。でもすごく引き込まれた。「影」っていう表現、心に刺さるね。自分が見下してたはずの人たちに追い越されて、プライドが粉々になって、最後は「みんないなくなれ」って叫ぶところ、胸が締め付けられたよ。のろさんの書く絶望感、リアルすぎて苦しいけど、ちゃんと受け止めたよ🤍🥀