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泡沫
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紫倉 紫
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아 오 _ 🐷🐶
キッチリ30万円払ってお釣りを2000円貰い、レシートを受け取ると財布の大事な経費入れの所に入れておく。これは部屋に帰ったらいつもの金庫代わりにしている引き出しに入れて、一年分、無事に経費として残しておく必要があるな。念のため、感熱紙が死んで見えなくなっても大丈夫なようにスマホで撮影もしておくか。
「今回は役に立たなかったわね……ちょっとしょんぼりだわ」
「まあ、今日に限って言えばいらんことしいだったような気もする」
そんな彩花をなだめつつ、俺の家まで帰ってきた。金庫引き出しを開けてお金とレシートを管理し、レシートをスマホで撮影して確かにこれだけの買い物をしたんだ、という証拠を残しておくと、無事にしまい込んで早速……と、その前に彩花に断っておくことがあるな。
「武器は更新した。防具についてだけど、これは購入せずにドロップ品でやりくりしていこうと思う」
「ということは、ケンタウロス倒して回るってこと? 」
「何回トライすれば済むかまでは解らないけど、一日に何回かトライして装備をそろえていく、ということになるかと思う。目標は全部揃えることだ。セットで装備すると身体能力が向上するらしいし、チャージの威力も上がるらしい。俺はチャージを覚えてないからそれについては効果はないが、十五層のドロップ品で二十層まで持たない、ということはないだろうし、物は試しに潜り込んでいこうと思う」
「ふーん、幹也にしてはちゃんと考えてるじゃない。まあ、都合よく狙ったものがドロップするといいわね」
お釣りの2000円でおはぎを買ってきてアカネに与えているので、静かに相談を聞いては相槌を打ってくれているアカネと三人で今後のダンジョン探索相談を始めているところだ。
「ズボンが三枚とか、ドロップかぶり続けたら流石に困るので、予備としてワンセット残して、それ以上に余った分は市場に流してしまおうと思う。それも収入になるだろうから……そもそもケンタウロスセットって槍抜きでも効果あるのかな?」
「そこまでは分からないわね。ただ、ドロップは槍も含めて五種類の装備品だということになっているわ」
お互いにスマホで情報を精査しながら相談を始める。
「どうやら三セットだと身体能力向上、四セットだとチャージや体当たりのスキルのレベルが上がる、五セットでランスチャージのダメージが上がる……らしい。つまり、槍を持たなくてもそれ以外の四セットをそろえてしまえばいいわけだな」
「そういうことになりそうね。目標は槍以外ってことでいいのかしら」
「それ以外にケンタウロスが槍術をドロップするのが分かってるから、槍に持ち替えてここでひたすら戦い続ける……というのもありらしいが、さっき武器買ったばかりだしな。今更サブウェポンに回して今後は槍を使っていくというのも槍の強さや重さによるか。剣では倒せない相手が出てきたら槍の出番かもしれないが、それまではこの烏丸に任せることにしよう」
「烏丸……ねえ。自分で名前つけたの? 」
「いや、刀に彫り込んであった。もしかしたら刀工の名前かもしれないし、ただ単に烏丸って地名でつくられただけかもしれないが、わりと気に入ってるのでそのまま名前ということにした」
「なるほど。続けてもらっていいわよ」
アカネは今後の成り行きよりも烏丸の方に興味があるようなので、抜き身で渡して好きなように見てもらうことにする。地蔵様が刃物に御執心というのは珍しい現象かもしれないな。
「しばらくはケンタウロスと戦い続けて、ドロップ品が揃ったら次へ行く、という形でもいいと思うんだよな。焦って深くまで潜る必要はないし、まだアカネのほうも十六層より先は出来てないみたいだ……し? 」
確認を取りつつアカネのほうを向く。アカネは烏丸から目を離すと、真面目にこちらに向いて答え始めた。
「そうね、あまり焦ってないし、学業のほうが大変そうだから今のところ作ってないわ。ただ、夏休みになったらどうせ暇になって散々潜ることになるだろうから、そのころには二十層まで作るつもりではあるわよ」
「だ、そうだ。なので今のところはうるさい十三層を越えながら十五層でケンタウロス退治。ソロの時は三層でオーク肉を集めつつ威圧のレベルアップ、それと十二層で属性魔法スクロールをひたすら集めることになりそう」
「今しばらくの方針はそれでいいと思うわよ。ただ、幹也が飽きなければ、だけど」
烏丸から興味を失ったアカネは、再び美味しそうにおはぎからエネルギーを抽出しつつ、こっちの意見に相槌を打っている。
「飽きる飽きないで言えば若干飽きはじめてはいるが、これ以上に効率のいい現金の稼ぎ方が今のところないからな……と、さて早速烏丸の威力を試しに潜ってくるかな」
「私も、と言いたいところだけどこの後予定あるのよね。だからまた今度にするわ。後で新武器の感想は聞くことにするわ。じゃあ、私帰るから」
「おう、またな」
彩花と軽くキスをしあって別れる。前は毎回ディープなキスをしあっていたものだが、体を重ねてからはその辺は大分省略されるようになってきた。きっと飽きではなく、それよりもっと満足できる行為があるのだから、そこまでの我慢は必要ないし、その気になればいつでもできるという安心感からだと思う。
「倦怠期……って感じではないわね。徐々に熟してきたってところかしら」
「さすがに体を重ねて半年経たないうちに倦怠期ってのはな。それに、その気になればこっちには秘密兵器があるからな。それを使ってどのぐらい凄いことができるようになるか試してみてからでも遅くはない。夏休みに丸一日使ってそれを楽しんでみるのも悪い話じゃないかもしれないな」
「お楽しみがいっぱいあって結構なことね。じゃあ、早速その烏丸の切断体験ということかしら? 」
「そうなるな。できれば山賊刀よりもいい動きをしてくれるといいんだけどな」
まだ腰に差している状態になじまない烏丸をぶら下げて、腰のあたりの馴染まなさに気を取られつつもアカネを連れて十層にワープポータルで直接飛び、シャドウウルフを相手にしながらまず試し切りを行う。【威圧】でシャドウウルフを張り付け状態にした後、烏丸を振ってサクッとシャドウウルフを黒い霧にして消し飛ばす。
重心は確かに変わったが、なるほど、確かに切れ味は数段こちらの方が上のような感触がある。シャドウウルフの首を切り落とすとき、骨に引っかかるような感触があった山賊刀と違い、こちらはするっと切れる。
もしかしたらうまいこと骨の継ぎ目に当たる部分に入って骨に当たらないまま斬り落とした可能性もあるので、もう何匹か倒してみて感触をなじませることにしよう。
次のシャドウウルフを探しては【威圧】をかけて動けなくしてから切る。今度は少し引っかかるような感触を覚えたが、それでもすんなり斬れてくれるシャドウウルフの首。ふむ……これは骨ごといけるやつか。
「どうなの? うまいこと斬れそう? 」
「予想よりも斬れるな、ちょっと手加減しないとこの辺りじゃ自分ごと斬ってしまいそうだ」
奥へ進むことにした。ホブゴブリンならちょうどいい感じに切れてくれるだろう。シャドウウルフではイマイチ感じ取れなかった、山賊刀との差異。これがスキルが吸収してくれている【剣術】の効果なのか、それとも烏丸の切れ味が鋭くて感覚をそのまま受け継いでくれているのかはわからない。
「ホブリンホブリンホブゴブリン~っと」
「余裕があるわね。しっぺ返しを食らわなければいいけど」
「まあ、ホブゴブリンならスキルでなんとかできる部分もあるからな。多少の無理は利く範囲ってところで狙い目にしていく。ホブゴブリンもすんなり切れてくれるなら、今まで以上に十二層も楽ちんになるだろうしな」
「ああ、もしかして骨の上から直接核が割れるかもしれないってこと? なかなかの力業ね」
アカネと会話しながら十一層へ向かい、たどり着いた十一層で早速ホブゴブリンを探す。忍び足でそっと後ろから近づいて頭から下まで斬り落とすようにして烏丸の刃筋を立てて一気に切断を試みる。
ホブゴブリンは刃が通ったその通りに頭から下まで真っ二つになり、左右に分かれながら黒い霧になって消え去る。後に残るのは銀貨と魔石とスキルスクロール。せっかくくれるなら【体捌き】あたりのほうが嬉しいが、【頑健】でもいいな。
もし【バッシュ】だと荷物置き場行きか、彩花が覚えるかしかないからな。俺が覚えてもいいがバッシュという言葉よりも今は切れ味が良くなるスキルがあったらそっちの方を覚えたいと思う。多分【剣術】かその上位互換のようなスキルがあればそれになるだろう。
あるのかな、【剣術】の上位スキル……【剣闘術】とか【剣技】とかそういう名前のスキルがあるかもしれない、戻ったら少し調べてみるか。それを手に入れるのも相当奥になりそうだし、後一年や二年で追いつくような場所にも見えないが、とりあえずできる所まで潜る、といった形になるだろう。
まあ、烏丸のおかげで十一層までは問題なく戦えることは証明してくれた。後は次の土曜日に彩花と潜る時にでもケンタウロスで切断実験をして、どこまであの鍛え上げられた肉体を思うように切り刻めるかを楽しみにしておこう。
そのまま十層から帰還して、早速スクロール鑑定をすると【頑健】が出た。痛みに対して強くなれるらしいが、まだ使ったことはなかったんだよな。よし、いっちょ覚えてみるか。痛くないとはいえ触感や当たった感覚がなくなるわけじゃないらしいし、純粋に痛覚だけを一時的に抑え込むスキルだという話。タンスの角に小指をぶつけた時に活躍しそうなので早速覚えてみた。
さて、タンスの角に足をぶつけて試して……ちょっと怖いな。代わりに、手の小指の先っぽをテーブルに乗せて、もう片方の手でこぶしを作って殴り付けて見る。骨が当たればそれなりの痛みになるはずだ。
試してみたが、確かにあたってる、という感触は残るものの、痛みはほとんどない。これが【頑健】の効果だとするなら、重ねて覚えても何ら問題はなさそうだな。
コメント
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うわっ、烏丸かっこよすぎない!?✨ 刀に名前が刻んであるってだけでテンション上がるし、切れ味の描写が具体的で「するっと切れる」って表現にめっちゃグッときた🥺 しかもアカネがおはぎ食べながら烏丸に興味津々なの可愛すぎるし、彩花とのキスが「省略されるようになってきた」って熟れた関係性がじんわり沁みる…😭💕 そして「タンスの角に小指ぶつけた時に活躍しそう」って理由で【頑健】覚えるの、あまりにも現実的でウケるw 次はケンタウロスで試すのかな?楽しみすぎる!!🔥