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文化祭準備の最中。クラスでは衣装の確認中。ナマエは仕方なく(ちょっと楽しい)メイド服に着替えていた。
鏡を見て、ふうとため息。
(……これ、先輩、絶対好きそう)
スマホを取り出し、ぱしゃ。
スカートの裾をつまんでポーズをとった、ちゃっかり可愛く撮れた写真。
ナマエはにやにやしながらメッセージを添える。
【うわー先輩これ好きそーですねー】
送信。
──数分後。
「おーい、ナマエ」
『……は!?ちょ、来たんですか!?変態か!!』
教室の扉のところで出水が笑って手を振っていた。
「いやだってさ、そんな写真送られたら来るでしょ、普通」
『いや、普通じゃないですよ!?てか、まさかほんとに来ると思ってなかったし!』
ナマエは頬を赤らめて、でも笑いながら両手でスカートを押さえる。
『ねえ、どう?似合ってないよね?笑うなら今だよー』
「……いや、普通に似合ってるけど?」
『え、えっ、ちょ、やめてくださいよ、そういうのマジで』
ナマエが目をそらす一方で、出水は内心、言葉を選ぶ余裕なんてなかった。
(やば……可愛すぎ)
ナマエがまたスカートの裾をくいっと直す仕草も、何気ない髪を払う仕草も全部が可愛い。
『先輩?……うわ、本気の顔してない?うっわー。え、ちょっと待って、マジで変態じゃん』
「違ぇし」
『絶対思ってたでしょ、『やばい、めっちゃ可愛い』とか』
「……まあ、な」
『うわ!素直か!?』
ナマエは笑いながらも、耳まで真っ赤になっていた。
『てか、この衣装、胸のとこパツパツなんですよねー』
ナマエが何気なくそう言って、くいっと前を引っ張ってみせる。
その一瞬、出水の視線が一瞬だけそちらに向いて──
「……っ」
『あれ、見ました? うわー、騙されたー?笑』
「お、お前なぁ……っ」
『えっちーーー先輩ってそういう目で私のこと見てたんだー?』
「ちげーし、意識したのはそっちのせいだろ」
『へぇ〜、私のせいですか〜』
「……ほんと、調子乗るなよ?」
そう言いつつも、耳までほんのり赤くなっている出水だった。