テラーノベル
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「広いな…洋品はあっちか」
無マーク良品の店内を、当たり前に手を繋いで歩く篤久様に、私は買い物に連れられた子ども状態だ…
「あ、これ、知ってる」
途中で足を止めた彼は、意外なものを手にした。
「食べたことあります?」
「大学の時、これと同じかは分からないけど、こういうの食べたことある」
フリーズドライのスープやお味噌汁を知っているようだ。
「お菓子も多いな…好きなのある?」
「えっと……これ」
「クッキー?え……この価格なのか?」
リンゴジャムの挟まったクッキーの袋をひっくり返して、値段を確かめる篤久様が可笑しい。
「カゴ、どこ?」
彼の声に、私はキョロキョロっとカゴを探すと
「どうぞ」
見知らぬ女性が、篤久様にカゴを差し出した。
「いえ、探しますので結構です」
彼は軽くカゴを押し返してから、私を抱えるようにして女性のいない方へ歩く。
「あった」
そしてサッとカゴを手にした篤久様は、もう一度私と手を繋いで、誰もいなくなったさっきの場所に戻った。
「えっ?3つも?」
「小さい袋だからいるだろ。他は?これ、人気って書いてあるな」
ポイポイ……私の手を放した篤久様は、お菓子の爆買いを始めた……人気って書かれたバームクーヘンを全ての味とか、ドーナツもミルクとココアとか、おせんべいにドライフルーツからナッツまで…
「こんなに…どうするんですか?」
「真奈美さんの部屋に置く?」
「へっ……食べきれない…」
「じゃあ、ダイニングに置いて、真奈美さんも広瀬さんもいつでも好きに食べればいいと思うけど、どう?田中さんも。俺と父さんだって、つまみになる物もあるし」
「…第一家事室にも置いていいですか?あそこだと、渡辺さんも食べてくれるかもしれない」
「もちろんいい。真奈美さんは会社に縛られることもないから、うちで何をやるのも自由だよ」
嬉しそうにそう言った彼は、私の頭を撫でてから移動を始める。
エプロンは篤久様の気に入るものが無くて決められなかったけれど、毎日の服は黒に決まった。
パンツはいろいろな形と長さのイージーパンツっぽい楽なもので4着。
黒ポロシャツ3着と黒ブラウス2着。
黒いワンピースも2着……多いな……
「これに白いエプロンな」
そう言った篤久様は、お昼ご飯を食べに入ったパスタ屋さんで待つ間に、白いエプロンをどこかの通販で買ってしまった。
「相談したいことがあるんだけど」
パスタが運ばれて来たあと、篤久様は私に相談があると言う…
「はい……私に分かることですか?」
「うん、真奈美さんにしか分からないこと」
何かな……
「今、2階の2部屋を空けたのは知ってるよね?」
業者さんが絨毯まで全て持ち出して改装するのは知っている。
その作業中だから、渡辺さんのように誰かが中園邸にいないといけない。
「どちらかにミシンを置いて、真奈美さんが好きに使えるようにしたい。どっちに趣味の部屋を作るのがいい?」
コメント
10件
篤久さまは真奈美ちゃんしか見えてないからー( *¯ ꒳¯*) しかしネットでさっさと自分好みのエプロン注文しちゃったりして仕事が早いわwシゴデキスパダリ篤久さまに脱帽ですぅ
白エプロン〜男の浪漫かなぁ❤️篤久様の拘りが🤣🤣🤣 趣味部屋〰着々と囲ってきてますね〰😍
2階の部屋の使い方の提案って篤久さんの脳内では真奈美ちゃんが自分の奥様になった想定で言ってるよねー🤭🤭🤭