テラーノベル
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精霊たちと出会ってから三日が経過し、連休も明けて登校日となった。ネスメラが学校に着くと、突然強い風がネスメラめがけて吹いてきた。ネスメラが後ろに転ぶと、その衝撃で目の前にぽっかり大きな穴が現れた。落とし穴だった。唖然としていると、遠くで微かに
「チッ(舌打ち)。運のいい奴め。」
と聞こえた気がした。
教室に着くと、ドアを開けた瞬間仕掛けられていた水入りのバケツがネスメラめがけて落ちてきた。辺りはびしょびしょになったが、本人は全く濡れてなかった。周りが驚いていると、ちょうど担任が教室に入り、その様子を見て怒っていた。
「教室に水入りのバケツを仕掛けた人は放課後正直に職員室に来なさい。今朝の落とし穴を作った人もだ。」
朝のホームルームで冷たく言い、教室を出た。
落とし穴の影響で一限目の体育は保健になった。
授業を受けていると、後ろから何かがぶつかってきた。後ろを振り向くと、いじめの代表格が紙飛行機をネスメラめがけて投げてきた。紙飛行機を開くと、ネスメラへの悪口が書かれていた。
「アイツら(心の中の怒り)。」
代表格がまた紙飛行機を投げると、ネスメラの周りで気流が乱れたかのように紙飛行機が綺麗にネスメラを避け、先生の頭にぶつかった。 先生がそれを拾い上げると、紙飛行機が開き、たくさんの悪口を見てしまった。先生は徐々に怒りだし、
「今投げた奴誰だ!名乗り挙げろ!」
クラスは静かになり、いじめの代表格は冷や汗をかきまくっていた。最終的に代表格が弱々しく名乗り挙げ、先生から
「後で職員室に来い。」
と言われてた。
ネスメラは精霊たちのおかげだと思い、指輪に向かって小さく
「ありがとう。」
と言った。指輪は一瞬だけ輝いた。
四限目が終わり、昼食の時間になると突然、
ドシーン!ドシーン!
とまるで巨大生物が歩いているような揺れが発生した。慌てて外を見ると、そこには三本角の生えた巨大なクモが住宅地やスーパーなどを踏みつぶしたり、噛みついたりしながら暴れていた。気がつくころには揺れで高校も一気に倒壊した。幸い多くの生徒や先生はは外や食堂にいたため、死亡者はいなかった。
逃げ遅れたネスメラが瓦礫から抜け出すころには全員が避難してしまい、気づけば巨大グモに見つかっていた。どうするか悩んでいると、
「私の力を使ってください! 」
火属精霊メレムの声が聞こえた。そして、ネスメラの体が赤い炎に包まれたかと思うと、とてもかっこいい鎧が身についた。そして、両手には朱色の刀を持っていた。
「メレム!これは一体どういうことだ!」
ネスメラが聞くと、メレムは
「元々封印されていた私たちは、前よりも衰えてしまい、今の力ではあの巨大グモを倒すことはできません。しかし、特別な力を持つネスメラ様なら倒すことができると思います。私の力も借りて、あの巨大グモを倒して下さい!」
と応え、ネスメラの鎧の胸元にある石に吸い込まれた。
「こうなれば、巨大グモを倒すしかない。」
と言い、巨大グモに向かって大ジャンプをした。
戦いは高難易度だった。素早く放つクモの糸を避けながら攻撃するのだが、何度やっても傷一つつけることすらできなかった。
「こいつの身体硬すぎる。どうやったら倒せるんだよ。」
そう言いながら攻撃を続けると、ある場所ですごい大きな手ごたえがあった。その瞬間、
ヴグォーーーーーー!
と巨大グモが唸りだした。角の一本が切り落とされたからである。
「こいつ角が弱点だったのか!」
気づいたネスメラは、二本目、三本目と全ての角を切り落とした。
ヴゴォォォォォーーー!!
巨大グモは大きな唸り声をあげ、最終的に塵となって世から消え去った。
「終わった。俺本当に倒しちゃった。」
気づけば刀や鎧が消え、近くにメレムがいた。
「ネスメラ様。とてもかっこよかったですよ。必死に戦う姿を見て、ネスメラ様の力になれて本当によかったと思いました。」
いつぶりだろう。最後に褒められた日なんてもうとうの昔に忘れていた。だけど、久しぶりに頑張りを褒められたのか、涙をこらえることもできなかった。ポケットに入っていたハンカチで涙を拭くと、
「家に帰って昼ごはんでも食べるか〜。」
と言いながら、家へと歩いていった。幸いにもネスメラの家は無事だった。
後日ニュースでも話題となっていた。何者かが巨大生物を倒す姿がSNSで拡散され、世間から救世主が現れたといわれるほどになった。政府が各地方から募った募金で街の再建も行われ、高校も三ヶ月程で建てなおされることになった。しばらく高校はオンライン授業になったが、いじめの心配がなくなり、ネスメラは一安心した。ちなみに落とし穴と水入りのバケツの件はクラスのいじめの代表格が犯人だったそうだ。
しかし、ネスメラは一つ気になったことがあった。
「そういえばあいつとの戦いのとき、黒服の男が上に乗っていた気がするな。もしかして、あの巨大グモは黒服の男の仕業だったのか?」
(続く)
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