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「こんにちは…って大丈夫ですか!?」
俺は、いつものようにマジカルシークレット本部へ行った。
そしたら、殺人科教官…有栖院リリーさんが血まみれで横たわっていたのだ!!
「あぁ…蒼。いらっしゃい…ちょっと任務で転んでしまっただけでして、これは…うーん…」
いや大丈夫なのかこれ…
…いやでも、前にひらりさんが言ってた。
「リリー先輩は吸血鬼なんだ。だから夜しか活動できないんだけど、血を飲めば傷がすぐ治るのーすごいよねー」
って、軽い感じで。
「ごめん…あそこにある飲み物を取ってくれないかしら?」
「これですか…?」
リリーさんが指を指したのは、真っ赤な液体が入っている瓶。まさかこれ血液…
そう考えるとぞわってくるなぁ…うん。
「ありがと…ふぅ…」
リリーさんが血のようなものを飲み始めた。すると、顔色が良くなり、傷が塞がっていく。
「今日は私の担当だったのだけれど…かわりに千代子と言ってくれないかしら?」
「え…?」
誰かな…教官ではなさそう。
「はーい!!」
「おわっ!?」
え、何!?
いつのまに…
「はじめまして!如月千代子です!」
「あ、はじめまして…凪野蒼です」
なんだか元気な子だ…あと、動きが速い。目で追えないほど。
「じゃ、行こっか!えーと…今日は…殺人の仕事かぁ」
「えっ」
嫌だぁ…
もう殺人はやりたくないってひらりさんに言ったのに。ずっと書類整理とかやってたいんだけど。
「あれ?君殺人NGだっけ?じゃあ、ごめん、速攻終わらせてくる…」
「え?」
ヒュン
それから少し待つこと3分ほど。
「ただいまー」
千代子さんは、頭から返り血を浴びて帰ってきた。
え…速くね?動き。俺の感覚がおかしいのか、それとも魔法なのか…
「よし、じゃあこの山積みの書類に目を通そっか」
「こんなにあるんですか?」
「うん。だって、教官達は会議だし、斗癸先輩は拷問中だし、水梨ちゃんはお休みだし…頑張ろうね!」
「いやいくらなんでもこの量は無理ですって…」
「大丈夫!二人でやれば終わるー…いつかは」
いつかっていつ!?
というかこの組織ってなんか軽ーく拷問中とか言うよな…
というか、教官達の会議とか気になる…
あといつのまにかリリーさんいなくなってるし。
「ではこれから、教官会議を始めよう。全員揃ったね」
「まずは現状報告といったところでしょうか…」
マジカルシークレットのトップは西園寺都月。彼に認められた6人の者たち…それが教官である。
そして、これは教官の会議。
「そういえば、リリー先輩、今日怪我をしたみたいだね。大丈夫?」
「あなたに心配されるほどじゃないですわ。ちょっと転んだだけですの」
「はーん?お嬢様のくせに落ち着きがないんだな」
リリーに向かって岸が煽る。リリーはふん、と目を逸らす。
「相変わらず礼儀がなっていないですね、岸さんは。リリー先輩、私はあいつらの偽善がムカついてならないんですけど」
あいつら…それは、マジカルシークレットと敵対する組織…イポクリジーアのことだろう。
彼らは社会では偽善をし、闇魔法を使う異端の者たちの集まり。
それに、こちらにちょっかいまでかけてくるのである。
「まぁまぁ。けれど、この前の男は面白かったわ…私に魂を取られる寸前まで媚びて、依存して。あのときの表情はとても愛おしい…愛ってそういうものなのかしらね」
「彩…面白かったならよかったけど…ほどほどにしてね」
「はぁい…私は愛を理解するためにこの仕事を選んだんですけどね。綺麗なものに依存する姿は、どんな時代でもいっしょなのよ」
「そうなんでしょうか…まあ、生きていた頃の記憶はないので、知らないですが…」
「ま、私は可愛い女の子も好きだけどね」
「あと、あいつ。凪野蒼。あっちに攫われる前でよかったな」
「蒼は…そうですわね。私はあの子に何か特別なものを感じるの。皆様方もそうじゃなくて?」
「それは同感。私が適当に選んだのに」
「私は全く理解できない。ただの人間」
「あらぁ?私はあの子の瞳がいいと思うのよ。ねぇ?」
「私に話を振らないでください」
「私は…なんだろう。拷問したことのないタイプだなぁって」
「相変わらず物騒な」
「こっちはそれが仕事なんです」
本当に拷問科は、変わった性格が多い…ようだ。
「ま、イポクリジーアへの対策も考えなきゃだしさ。こっちは若手も育てていきたいし」
「そうですわね…あ、あと彩?潜入任務頼みましたわよ」
「はぁ?…まぁ、グロ系じゃなきゃいいけど」
「頼みましたわよ。あと岸。あなたは礼儀の勉強。淑女としてもっと上品になっていただかなくてはね」
「どうでもいい」
「彼岸花と鶫は通常通り。ひらりは若手を育てなさい。蒼に魔法を教えるとか」
「了解」
「了解」
「オッケー」
「それでは、会議を続けますわ…」