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二人に合流後先ほどの会話内容をサラッと伝え少し早い段階で宿に戻りゆったりとすることにした。
「……ていうことで二階堂さんと一緒に祭りを楽しみに行こうって話になったんだよね。」
「まぁ、それ自体はいいんだけど俺甚兵衛とか持ってないぞ?」
「私だって浴衣着ていきたかったんだけど?」
「別に祭りなんてそんなの着なくても行けるでしょ?」
「かっぁぁぁー!わかってないなぁリナはなほんとにな?」
「はい?」
「ああいうのは雰囲気が大事なのよ?で、そういう場所なんだからそこの合わせたドレスコートをしていくのは当然のことってわけよ?」
「会社の面接に短パン半袖Tシャツでくるかぁ?」
「いや、行かないけど……」
「要はそういうことなんだよね?」
「多分ちょっと違うと思う。」
「とにかく夏祭り行くならそういう格好をしたかったなぁって話しよ。」
「一応あの祭りにもバトルスポットが幾つかあるらしくそこで一定のポイントを手に入れると戦姫達に浴衣を着せられるみたいだよ?」
「私らが着れないとなぁ……。」
ぶつくさ言いながらもなんだかんだ楽しみなのか準備をして待つ二人と、初めての祭りにワクワクが止まらないカナとそれを眺める二人の戦姫。
しばらくして、彼女から連絡があり戦姫含めた六人で宿を出て合流する。
「それじゃあ早速いこっか!」
「こっから会場までは近いのか?」
「結構近いしかなり広いから迷子にならないように気を付けてね!」
「久しぶりに会ったと思ったら前よりも元気になって帰ってきてるじゃんフミはさ?」
「でっしょぉ?私もさらにかわいくなって元気にもなってるんだよね♪」
「この組み合わせも懐かしいな。」
「また僕たちは二人に振り回されるかもね?」
「だとしたら面倒なんで俺らは俺らで行動しようぜ。」
「久しぶりの再会なのに別行動はないでしょ?」
「でもほら、あれなんだろ?この祭りにもバトルスポットがあるらしいじゃん?」
「今や戦姫はこの国に根付いてるからね。スマホとかネットとかと同じレベルで戦姫は必要とされてるし、戦姫を絡ませればある程度の事業は上手くいくわけよ。」
「そうだけど、いざ言葉にされるとすげぇなまじで。」
「ていうことだからまぁ戦姫を持ってないフミカは暇になるじゃん?」
「確かに持ってないけど今の私はその戦姫関連の職に就くかもって考えてるから同行しても暇にはならないんだよねぇ?」
「意地でも僕たちと行動したいわけなのね…。」
「そりゃ久しぶりに会えたお友達なんだからいっぱい思いで作りたいでしょ!」
「それはそうか。」
「そんじゃあみんなで回るか。」
合流し思い出話に華を咲かせながら祭りの会場まで歩いていき、屋台を回って戦姫大戦をしてと祭りを大いに楽しんだ後少し休憩するために人気の少ない神社前の階段で一息する。
「ん〜やっぱり屋台の焼きそばって最強に美味いわよねぇ。」
「また太るぞユウナ。」
「またってなんだまたって!過去私が太ってたみたいな言い方やめろよ!!」
「この前自分で話してたろお前…。」
「僕は少しバトルスポットに行ってくるよ。」
「やる気あるねぇ?」
「いや、カナが行きたがるから……。」
「じゃあそれに私も着いていく!」
「フミカも元気に溢れてるのねぇ?」
「久しぶりに会ったんだからひとつでも多くの思い出欲しいじゃん?」
「あらヤダ純粋な子。」
「ていう事で私はリナくんとブラブラしてくるね」
そう言い残し二人は再び屋台通りにと消えていったのだった。
「残された私らどーする?」
「とりあえずさっき買った焼きそばとか食いながら二人を待っとくか。」
屋台通りに再び戻りまだ行ってないバトルスポットを巡っている時、人通りの少ない場所にあるバトルスポットに縁日には似つかわしくない姿をした大人を見つける。
「あの人は一体?」
「見た目的にはメンテナンスとかしてる人じゃないのか?」
「どちらかと言えば開発者とかじゃないか?それにしても軽装すぎる気がするけどね。」
遠目で見ているとこちらに気がついたのかその人物は腰を上げてこちらに近づいてくる。暗がりでよく見えなかったがどうやら機械を弄っていたのは男性で顔はこの祭りで買った狐の面を付けていた。
そしてその男性がリナの元まで来ると顔をじっと見つめられその後考えるような仕草をしたのち、口を開く。
「君に少し質問してもいいかな?」
「えっ?」
「あぁ大丈夫そんな怪しい質問をするわけじゃない。戦姫大戦について聞いてみたくてね。」
「は、はぁ?」
「それじゃあまず一つ…。君は戦姫大戦が好きかな?」
「見るのは好きですけど自分が持って戦わせるのはあんまり好きじゃないんですよね。」
「その割には君戦姫を持ってるじゃないか?」
「まぁ、こいつはちょっとわけありというかで友人に勧められてその圧に負けてね?」
「昨今は戦姫が日常に溶け込んでるからね。それを危惧してご友人は勧めてくれたのでしょう。」
「どーですかねぇ?単に相手が欲しかったとかありますけどね。」
「かもしれないね。では、次は戦姫についてどう思う?」
「どう思う、と言われてもちょっと抽象的じゃないです?」
「まぁ本当になんでもいい。君の感想を知りたいんだ。」
「そうですねぇ…。あくまで僕個人ではありますけど戦姫は良くも悪くも人に近いが故に困ることはあります。」
「へぇ?例えばどう言ったところですか?」
「簡単に言えば情が移りやすいとこですかね。ペットとかも長くいると情が湧き死別が悲しい事はあると思います。しかし犬猫などのペットは長い時間を掛けたからこそ情が湧きやすいですが、戦姫は人と変わりないので『言葉』を通じてすぐに絆されます。それ故に何かあった時無駄に心配とかしちゃうじゃないかなって。」
「なんだリナ?私のこと大好きなのか!」
「おまえは例外だよばーか。」
「おいゴラァ!?」
「……そうですか。確かにそういった側面がありますね。事実ご老人にも人気があり話し相手としても活躍してるとお聞きしますからね。
では、最後の質問をしたいのですが。」
「はい、どうぞ?」
「あなたは戦姫が『競技』ではなく『戦争』に使われると考えたことはありますか?また、そういったネットの噂などを目にしたり耳にしたりしたことは?」
「戦姫を戦争に使うって…無理じゃないです?彼女らはバトルスポットと言われる専用の空間でしか重火器を使うことが出来ないように設計されてるから考えたことも…」
「ですがつい最近のニュースをご存知ですか?」
「……最近のニュース?」
「とあるショッピングモールにて新たな商品のテストを突然行った。そのテストとは通称SFCと言われるどこでも戦姫大戦が可能となるものらしいんですが、どうやらこの商品欠陥品でして近くにいた人間も戦姫と同じ空間に閉じ込めるんです。つまり持ち主である人も戦姫による攻撃を受ける、言ってしまえば実弾が飛んでくるという状況になるんです。
もし、この技術を戦争に使われたらどうですか?15cm程度の機械人形が大勢の人を殺める可能性があるんです。前までは箱の中の戦闘だったのにSFCという物がテレビで流れた事でこれを悪用する人が出てきたら?」
「………。」
「そう考えた時怖くないですかその戦姫が。」
「…怖いのは戦姫じゃなくてそれを利用しようとした『人間』だと思います。」
「……そうだね。確かにその通りだ。こんな楽しい日に変なことを聞いてごめんね。それじゃあ私はここのメンテナンスも終えたしそろそろ行くよ。」
「はい。さようなら。」
軽く手を振って人混みの中に消えていく謎の男。それと入れ違うようにフミカがやってきた。
「よーやく見つけたリナくん!あと人混みに紛れて別れちゃって探したよ!」
「いやー、ごめんね?バトルスポット探してたらそのまま流されちゃって……。」
「それより今の人は?」
「さぁ?なんかバトルスポットをメンテナンスしてたんだってさ。ほかの場所は知らないけどこのバトルスポットは点検終わったみたい。」
「そうなんだ。それじゃあ早速そのバトルスポット使ってみようよ!」
「元々バトルスポット巡りが目的だからね早速やってみるか!」
「よーし!リナ、久しぶりにオールラウンダー装備で暴れてもいいか?」
「存分に暴れて来い!」