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私は
私たちに元気をもらっている
と言ってくれたスーツの人からもらった有名店のクッキーを見つめながら、何度も何度もシミュレーションを重ねる…
でも、いくらシミュレーションを重ねてもあの子からの返事がどんな内容なのかは私には分からないまま、段々と日が過ぎていく。
クッキーと言っても賞味期限はあるだろうし、時間を空ける程、あの子に言いにくくなることも分かっているけれど…
そんなことを考えながら私はクッキーの賞味期限を確認する。
どうやら、クッキーの賞味期限は3月いっぱいらしい。
今日は3月10日だから早くしなきゃな…
そう思いながら、いつもなら見ない紙のカレンダーにふと視線を落とす。
今はスマホがあれば日付なんて分かるし、吉日とかの意味も良く分かってないから紙のカレンダーになんて目を向けるのは久しぶりだったけれど、とある日が目に飛び込んできた。
私はその時、『この日に渡すしかない!』そう思った。
それに、この日にクッキーを渡せば言葉に出来なかったとしてもあの子は気付いてくれる
そういう確信もあった。
ー当日 『3月14日』ー
その日は土曜日だった。
部活があるから私たちに休日なんて関係なくて、だから私はあの子に個人ラインをして少し早めにテニスコートに来てもらうことにした。
あの子が私のLINEをブロックしていてメッセージが届いていなかったら…なんてことは微塵も考えずに、送ってから不安になったけど、既読という文字がついて安心したのを覚えてる
あの子が段々と近づいてくる…。
それに応じて私の心臓は早鐘を打つ…。
緊張していた私はあの子にちゃんと言葉で伝えられたか分からないけれど、私が掴んでいたクッキーの箱の重さがなくなるのがわかった
『可愛くない』とずっと1人で閉じこもってたら見えない景色が目の前にあった。
これから、彼女に私がクッキーを渡すまでの経緯を、助けてくれた今まで話したこともない恩人の話をしてまた関係を作っていこう。
そう決意して彼女の表情を焼き付けようと顔をあげたけれど私の視界はボヤけて前がちゃんと見えなかった。