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「ここなら安心よ。それと、恵ちゃんがここにいるって感じたの」
血の気が引いているが、何かの自信を持っている顔の呉林が安浦のことを言った。
どうやら、安浦もこの世界へ来ていたようだ。
けれど、冷静に考えれば倉庫のスチール製のドアは薄く脆い。大き目のハンマーで力一杯殴れば、すぐにぐちゃぐちゃになってしまう。
「これから、どうするんですか呉林さん?」
渡部がダンボール箱をどかして、震える唇で隣の呉林の顔色を見つめた。その隣には真っ青な顔でブルブルと震えている安浦が無言で佇んでいた。
「少し待って……」
天井が低い。そして、広い倉庫には至る所にダンボール箱が山積みされ、息苦しい。鬱屈しそうな呼吸が所々に響く。
「もうすぐよ」
呉林は低く呟く。
体格のいいテレビ頭の走る音がドア越しに聞こえてきた。テレビ頭のハンマーがスチール製のドアを打つ。
ガーン! という大音響のあと、ドアの上部がひしゃげてしまった。
「きゃあ!」
安浦が悲鳴を上げた。
テレビ頭はやはり、ひしゃげたスチール製の扉から、こちらに無理矢理に這い出してきた。
「この!」
角田がテレビ頭のテレビを足で、思いっきり蹴飛ばした。テレビ頭が派手に後ろに倒れたが、角田の足を掴んでいた。
「ひっ!」
「角田さん!」
私は倉庫の金属製の棒に手を伸ばす……。
「オラー!」
掛け声とともに、作業場に倒れたテレビ頭に金属棒を突き刺していた。32インチのテレビがヒビが入ったかと思うと同時に、火花と血飛沫を上げながら一部が壊れた。
「きゃあ!」
安浦がまた悲鳴を出した。
私はもう一度、大量に出血をしているテレビに金属製の棒を刺した。一際、出血する。
「やったのか。俺」
私は相手の状態を確認して、肩を上下させながらテレビ頭の巨体を覗き込んだ。
テレビ頭はテレビから大量の血を流して、角田の足を放した。
「すごいな……」
左足を摩りながら、はずむ息をしている角田は、私の名前を言おうとした処で、テレビ頭のテレビの火花で口を噤んだ。渡部と安浦は、あまりにもショッキングな出来事に茫然としていた。
「赤羽くん。君って奴は」
「どう? 凄いでしょ」