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はい、時と場所が変わりまして、放課後の美術室です。
ミーは美術部だから、放課後は美術室で部活なんだ。
今日はアイドルことエレナの誕生日パーティーがあって、部員はミーひとりしか来てないけどね。
ふと顔を上げると、空は夕暮れに染まっていて、ミーはどうやら忘れ去られたらしい。
うわ〜悲し。周囲に言わせると結構ビジュが良いミーが忘れられるとは…。
「…あの、何してるんですか?」
「っっふゃあいっ!?」
こっっっっっわ!誰誰誰!?ミーのこと殺す気!!?
「どっどどどどどっ、どなたデショウカ…」
やばいやばい心臓バックバク、脳みそ溶けそう。動揺して死んじゃうって。
「あはは、驚きすぎですよ。大丈夫ですか?」
…あれ、よく見たらこのひと、バーチャルアバターじゃん。気づかなかった。
そういえば、さっきボカロのライブ見てたから、オプションモードオンにしたままだったのか。
じゃあ、この学校の生徒じゃないよね。ほんとに誰だろ?不法侵入?
「コイツ誰?って思ってるでしょうから自己紹介しますね。俺はナカムです」
「ナカムさんか、よろしくね!ミーは早蕨 柚寿。めんどい名前だし、好きに呼んでね。ところで、なして美術準備室に?」
「一番居心地がいいからです。まあ不法侵入ですが。ところで柚寿さん、もう遅い時間ですが帰らなくていいんですか?」
「…あっそうじゃん、やばい!ナカムさん、明日もここに居る?」
「…?はい、居ますよ?」
「良かったぁ!じゃあまた明日ここで!」
ナカムさんは手を振って返してくれた。
じゃあミーはダッシュで帰るとしますか。腹減って死ぬ〜!
「……また明日、か…」
はい、またまた日付が変わりまして、翌日の放課後、美術準備室でございます。
今日も部員はなぜかミーひとりだし、ナカムさんとお話ししまくるぞ!
「…ってな感じで、もうマジで親友が尊い。そしてナイトガールズが可愛すぎて困る。可愛いけどミー達より尊ばれてるから複雑なんだよなぁ」
今日はとりあえずミーのイケメン過ぎる親友達と、ナイトガールズについて話しまくった。
話を聞いてくれるバーチャルアバターと初めて会ったから嬉しすぎて、ナカムさんについて 聞くはずだったのに気づいたら自分のことばっかり話してる自分が憎いよ…(泣)
バーチャルアバターはヒューマンとの差別が多いから、ミー達の話をあんまり聞いてくれないんだよね。
「そういえば、ナカムさんって綺麗なピアスしてるよね!羨ましいなぁ…」
ナカムさんの片耳についた、トランプのクラブの形をしたチャームからタッセルが揺れる、素敵なピアスを見て、思わずそうこぼす。
そして言った瞬間、自分の発言の矛盾に気がつく。
案の定、ナカムさんは吹き出した。
「……ふっ…、あははは…すみません、バーチャルアバターにそんなこと言うひと初めて見たから、面白くって」
確かに、バーチャルアバターの姿は本当にそうという訳では無いから、こんなことを聞くのはおかしいんだよね。言ってから気づいたわ☆
「…ねえ、ナカムさんはなんでここに居るの?いつまで居るの?」
「そうですね、自分に出来ないことが出来るひとを見つけるため、です。そのひとが俺の願いを叶えてくれるまでは、ここに居ますよ」
そうなんだ。バーチャルアバターのひとは基本、事故とかで体を失ったひと達だから、ナカムさんもなんか未練があったのかな。
「ちなみに、そのひとって誰なんだいっ?」
「柚寿さんですよ」
「………?????」
はい???なんて?え、ミー!?なんで!??は!?いや訳わからん、どういう展開これぇ…。
「俺の願い、叶えてくれますか?」
「……ふぁい…///」
ふぇぇぇ。イケメン過ぎて断れないよぉ。ワイテルズに通じるキラキラ感があるって。
やばいやばい、何頼まれるのミーは!!?
「ヒューマンだった頃に聞いたんですけど、柚寿さんってレコーディングとかに使う機材の研究とかしてるんですよね?」
「ゔっ……ハイ…ソウデスガ…今も依頼溜まりすぎて死にそうだけど…」
「じゃあ、こんな機材も作れますか?」
ナカムさんはニコッと笑って、こんなことを口にした。
「――恋が叶うヘッドセット。」