tr視点
「づがれだ…」
出す声はガサガサのカスカスだった。
もう見られてないところはないんじゃないかくらい、隅々まで見られて触られて、口に出すのも恥ずかしいようなことをされた。
「こし、いだッ…」
置かれている水を飲むと、ひりつく喉が少しだけマシになる。
「はぁ…ッ」
見知らぬ男に触られた感触は消えていた。
消毒され書き換えられ上書きされた。
果たしてあの男の人はどうなったのか。
しにがみさんやクロノアさんは物騒なことを言っていた。
ぺいんとは懲らしめたと言っていたが、生きてるのか死んでいるのか。
俺にはもう関係のないことだし、思い出したくもない。
俺の知らないところでぺいんとたちが何かをしてるのは何となく気付いている。
けど、それを悟られないようにしているから俺は知らないフリをする。
お互いに知らないフリをして。
ただ、ホントに何をしてるかまでは俺は分からない。
「っ…」
隣で寝る3人を見て、笑う。
すごく恥ずかしかったし、でも満たされた感じがして気持ちよかった。
「幸せ者だな、俺って」
それまでのことを思い出して熱くなる体を冷やすため、痛む腰を押さえ、服を着て外に出た。
「暗いとは思ったけど…真夜中か…?」
あれからどのくらい経ったのかよく分からないが、下手をすれば1日経過してるのかもしれない。
月が真上で輝いているのを見てそう思った。
階段に腰掛けて、先程の行為を思い出す。
「ッッ…」
こんなに愛されてるとは思ってなかった。
「(何となく3人と俺、って思ってたからな…。だから、あんな顔するみんな見て驚いたけど、…まぁ、やっぱ嬉しいな…)」
熱を帯び出す顔を冷えた風が冷ましてくれる。
「(あんなこと、3人以外にされるなんて思いたくもないな…めちゃくちゃ恥ずかしいけど…)」
お腹がじわりと鈍く痛んだが、嫌な痛みではない。
「……」
あんなに膨れていたお腹は今は、自ら掻き出したため凹んでる。
すごく見られながら。
結局、またベッドとこんにちはをすることになってその後もたくさん出された。
それは今度はみんなの手によって掻き出されて。
「別に、よかったのに…」
痛くなることさえも嬉しいと思うから。
下腹部を撫でていると不意に腕を引かれた。
「ぅわっ⁈」
慌てて振り向くと3人がすごく焦った顔をして立っていた。
「どっか行ったのかと思った…」
「急にいなくならないでくださいよ…心臓に悪い…。誘拐されたのかと思うじゃないですか…」
「起こしてくれたらよかったのに…」
どうやらクロノアさんに腕を引かれたようだ。
「いや、ごめんなさい。ちょっと風に当たりたくなって…」
焦った顔の3人に素直に謝る。
「体冷えてる」
クロノアさんにほっぺを撫でられる。
「え、ホントに?」
「うわ、すげぇ冷たくなってじゃん!」
ぺいんとにほっぺを摘まれる。
「中に入りましょう」
「そうだな」
「ほら、トラゾー」
腕を掴んだクロノアさんに引かれながら、ふと足を止めた。
「あの、」
拠点の中に入ろうとする3人に声をかける。
止まって振り向くみんなは首を傾げていた。
「みんな、愛してます」
改めて言うと恥ずかしすぎて、クロノアさんの手を振り切り3人の横を痛む体を無理して突っ切る。
でも、伝えたくなったから。
きちんと、ちゃんとした言葉で。
隠れるようにベッドへ潜り込んだが、防御力の低いそんなもの3人がかりの手によってあっさりと破られるに決まっている。
満面の笑みの3人。
何となく逃げないといけないと本能的に感じ取ったが、勿論逃げ場なんてない。
「ぇ、ま、まさか…?」
「そりゃあ、あんな告白受けて何もしないなんて男が廃るよな」
「いやホント、トラゾーさんは欲張りだなぁ」
「そうだね、まだまだ足りなかったみたいだ」
「ち、違っ…俺はただ…」
俺が抜けててたまにポンコツって言われるのはやっぱり納得いかないけど今回はやらかしたと、焦り始めた。
ジリジリと距離を詰められて、眼前に狼三匹。
「も、もう無理ぃ…!」
「「「俺(僕)も愛してる(ます)」」」
「に゛ゃぁあ…!」
こうしてまた、夜が更けていくのだった。
おわり
コメント
2件
ありがとうございます! 好きな子を泣かせたら容赦ない攻めたちが好きなもので…。 だから定期的に推し(受け)を色んな意味で泣かせてしまう悪癖が出てしまって…(๑❛︎ڡ❛︎๑)☆︎
トラゾーさん可愛いし文面好きだしクロノアさんたち怖いけどなんか共感するし最高で最強ですね!(ちょっと言葉がおかしいのは内緒で)