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雨と雷

1 - 俺は雨が…僕は雷が… 嫌いだ。

2022年03月18日

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俺は雨は嫌いだ。

僕は雷が嫌いだ。


皆さん今年から高校一年生になりますね、

高校生での青春を楽しむのは良いですが、

部活動や勉強にもしっかりと励み…


「ハァ、校長の話長すぎるだろ…」

[それなー、てか、志雨ー今日この後どうする?]

「んー俺、occursusカフェの新作スイーツ食べに行きたい」

[やっぱりお前はスイーツ好きだよなぁー]

「んだよ、悪りぃかよ」

[べっつにー]



俺は、天野 志雨今日から高1、好きなもんは、お察しのとうり、スイーツ

で、俺の隣にいるのが西条 雷善こいつとは中学からの付き合いだ。

んで、今俺達は入学式を終えて、俺の大好きなカフェ、occursusカフェに行くところだ。

occursusカフェは俺たちが住んでいる麻町

にある、小さなカフェだ。でもそこのスイーツが好きすぎて、毎日のようにこうして雷善と一緒に(半ば強引に)スイーツを食べに行く。



[最悪、雨じゃん]

「そーだな」

[お前、確か雨嫌いだっただろ?]

「まぁな」

「でも雷も落ちてんじゃん、お前雷嫌いだろ?」

[まぁねーてかずっと気になってたけど、なんで雨嫌いなの?お前の名前にも雨ついてんじゃん]

「そっくりそのままお前に返すよその言葉」

[へ〜いや、質問に答えろ?]

「やだーめんどいー」

[はぁ?]


〜お待たせしました、乙女の雨粒でございます。ごゆっくりお楽しみください。〜


「きたぁ!この新作すっげぇ食べてみたかったんだよ!」

[はいはい]

そう、俺はこのoccursusカフェの新作スイーツ

乙女の雨粒が食べたかったんだ!


乙女の雨粒は、

ケーキスポンジの上に沢山の白いイチゴと

ホイップクリームを挟んで、涙の形のように丸めて、雨空のような綺麗な色でコーティングしてあるロールケーキだ。


[お前,雨嫌いだって話した後に雨がつく

スイーツ食べるかよ、普通]

「いいの、スイーツはスイーツだから!」

[はいはい]


〜カランコロン〜

〜いらっしゃいませ。何名様ですか?〜

【2人だよ!おねーさん】

『おい、ナンパしようとすんな、すみません。2人です』

〜いえ、大丈夫です。それではお席にご案内します。〜

【チラッえ?あいつ…雷善?】

『ん?どうした優?』

[優…?]

【なんでもなーい】


[嘘だろ、優?いや、んな訳ないか]

「雷善、今食べてるから喋んな」

[あ、はい、スミマセン]

【ねぇねぇ雨彩ー】

「は?!」

『?チラッ…!』

[うわぁ!いきなり大声出すなよ志雨ー]

「ご、ごめん」

『…(志雨…?もしかして…)』

「…(雨彩?あいつな訳、ないよ、な?)」

[?おーい志雨ー]

「ハッ!ご、ごめん、食べ終わったから、

早く行こ」

[?お、おう]


【どーしたんだろーね、あの子】

『さぁな』

【ねぇ、雨彩、あの子の知り合い?】

『?!な、なんで?』

【いや、雨彩があの子のことずっと見てたから、てか志雨ってまさか…】

『分からない、あいつかも知れないけど』

『とりあえず注文するぞ、優、』

【はいよー】



「この時はまだ知らなかった、あいつが、あいつが本当に俺に……だって」


『俺はまだしっかりは分かってなかった、…が過去に、……奴だったなんて』


[俺はまだ知らんかった、あの出会いが、

二度目の幕を上げてしまうことを…]


【俺っちはまだちゃんと理解してなかったのかもしれない、あの別れが、新たな出会いを作ってしまった事を…】



その日、天野志雨は夢を見た。

10年ほど前の思い出の夢を。

雨の中、自分の手を握り、家まで一緒に歩いている少年の姿を…

「バサッ ハァハァ思い出したくないもん見ちまった…

だから俺は、雨が嫌いだ。」




その晩、西条雷善も夢を見た。

10年ほど前の記憶の夢を。

雷の色だけで光る部屋の中、自分の事を

精一杯抱きしめている少年の姿を…

[バッ はぁ、見たくないもの見ちゃった。

だから俺は、いや、僕は、雷が嫌いだ。]

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