テラーノベル

テラーノベル

テレビCM放送中!!
テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

若き覇王に、甘くときめく恋を

一覧ページ

「若き覇王に、甘くときめく恋を」のメインビジュアル

若き覇王に、甘くときめく恋を

125 - 第四章 永遠の愛を、二人で EP.4「それは、不意なサプライズ」⑨

♥

27

2025年04月04日

シェアするシェアする
報告する


程なくして彼が私の部屋を訪れると、


「……君に、会いたかった」


着ているスーツから、あのオリエンタルなフレグランスが、ふわりと匂い立った。


甘い香りがこうをくすぐって、


「……私も、会いたくて」


高ぶる気持ちのままに、ワイシャツの胸に頬を寄せる。


「そう抱きつかれては、私もセーブができなくなってしまう……」


「いいの、セーブなんてしないで」


胸元に顔をうずめ、スーツの背に腕を回すと、


「……彩花」


彼の切なく掠れた呼び声とともに、ギュッときつく抱き寄せられ、勢い余って玄関の壁際に身体が押し当てられるかっこうになった。


「貴仁さん……、ん……」


その黒く濡れたように煌めく虹彩こうさいを見つめ、名前を呼び返した刹那、


息を継ぐ間も惜しむようなキスが、私の唇を塞いだ。



「こんなにも抑えが効かないほどに、私は君が好きで」



彼の言葉はいつも甘く蜜のように、私をとろかせて……。


「……貴仁さん」


熱に浮かされ、もう一度名前を呼ぶ。


「うん?」


唇を離して応える彼を、私の方から誘惑したくもなる。


ただ、れて駆り立てられるような心に、せめてもの余裕が欲しくて、


なんとか気持ちをとどめ、「どうぞ、部屋へ」と、彼を中へ招き入れた。


テーブルに着いてもらって、胸の奥でくすぶる想いを、どうして落ち着かせたらと頭を巡らせていると、ふと浮かんだことがあり、「あの、」と、口に出した。


「あの、ワインをいっしょに飲んでくれませんか?」


唐突な私の問いかけに、「ワインを?」と、彼から訝しげに聞き返される。


「ええ、特別な日に飲もうと思って、前に買って置いといたものがあるんです。それを今日、飲みたいなって」


「今日で、いいのか?」


彼に、「はい、せっかくなので」と、返して、初めてのボーナスで買った自分の生まれ年のヴィンテージワインを、棚から取り出した。

loading

この作品はいかがでしたか?

27

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚