玄関先に着くと、ちょうど亮がドアを開けて出てきた。
「おー、二人一緒か。雨に降られたんだろ?」
悠真が苦笑しながら傘をたたむ。
「まあな。途中で雨宿りしてた」
「妹を濡らさず帰すとか、さすがだな悠真」
亮がにやりと笑う。
「ち、違うから!」
咲は思わず声を上げ、視線をそらした。
悠真は「また来る」と短く言い、軽く手を上げて背を向ける。
濡れた背中が夕闇に溶けていく。
その姿が見えなくなるまで――咲は、胸の奥の高鳴りを押さえきれずに立ち尽くしていた。
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玄関先に着くと、ちょうど亮がドアを開けて出てきた。
「おー、二人一緒か。雨に降られたんだろ?」
悠真が苦笑しながら傘をたたむ。
「まあな。途中で雨宿りしてた」
「妹を濡らさず帰すとか、さすがだな悠真」
亮がにやりと笑う。
「ち、違うから!」
咲は思わず声を上げ、視線をそらした。
悠真は「また来る」と短く言い、軽く手を上げて背を向ける。
濡れた背中が夕闇に溶けていく。
その姿が見えなくなるまで――咲は、胸の奥の高鳴りを押さえきれずに立ち尽くしていた。