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俺は今、この世のものとは思えないほどの大学芋を口に頬張っている。
しつこいねっとり感もないし、上品な甘さでどんどん口に放り込んでしまう。
渡辺美優紀を殺し、殺人がひと段落ついてみんなで飲み会をしているところだ。すごいことに紅上家の使用人でお菓子作りのプロであるばあやの作り立てらしい。
「どう?ばあやの大学芋」
漣斗が聞く。
「っっっっ」
「え、美味しくなかった?」
「美味しくないわけねぇだろ」
紅上も口を挟んできた。
「いやっ」
「もうめっちゃうまいです。」
「それはよかった。」
「え、」
「ばあや?」
「えっ、あーー、えーと。」
突然の登場に言葉を失う。
風格からもう違う。
「初めまして、東本くん。天菓千代だ。」
「ばあやは250年の歴史を誇る天菓家の子孫だ。」
「ばあやはなにも知らない。余計なことはなにも言うなよ。」
小声で言はれる。
「てかなんでいきなり出てきたんだ?」
「なに、久しぶりに漣に友達ができたって言うから見にきただけさ。」
友達認定されてたんだなと思うとじわる。
「漣に付き合ってくれてありがとね。」
「こちらこそ、ありがとうございますっ」
紅上にゲェって顔された。
その後もばあやのご馳走を食べて帰った。
次の日、紅上から連絡が入った。
「5日後に死体を焼くから来い。」
俺はあの地獄を思い出し、吐き気を催した。
あの焦げ臭い匂いがまだ離れない。
俺は憂鬱な気持ちで学校に向かった。