テラーノベル
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「はぁ….」
僕はとても憂鬱だった。
手順を間違えた、急ぎすぎたのだ。
意識はしてもらえただろうか?
だが確実に、手順を間違えた。
「恋は盲目…とはこのことか…」
僕はそう独り、深夜のオフィスで一人呟く。
僕は朱里さんに恋をしてる。
それは向こうも理解してるはずだ。
だが、朱里さんは夢さんに恋をしていそうな感じがする。
「どうにかして、僕の方に近づけさせなきゃ…..」
そう決心し、どうするかを考え始める。
朱里さんはあのバーを気に入ってる。
では、あのバーから注意を逸らせばいいのではと思った。
だがどうする?僕はカクテルが作れるわけでもないし、カクテルで戦えば確実に負ける。
向こうはプロのバーテンダーで、こちらはド素人のペーペーだからだ。
「…まぁ独りで考えても仕方ない、彼女に幾つか聞いてみよう」
そう呟き、僕はあのバーに出向いた。
「いらっしゃいませ、今宵もお待ちしておりました」
相変わらず美しい声と容姿をしているなと思いつつ、僕も言葉を返す。
「あぁ、どうも。夢さん」
「光輝様ですね、奥の席へどうぞ」
そう言われ、僕は席に着く。
「ご注文はお決まりでしょうか?」
「では…ビトゥイーン・ザ・シーツを」
僕はそのカクテル名を出した。
すると夢さんは少し微笑んだ。
「ここの所、二人とも恋にまつわるカクテルをご注文されることが多いですね」
そんなことを夢さんは言った。
「え?2人って…朱里さんも?」
なんとなく、軽い演技を入れてみる。
実際は大体の事はわかっているが。
「はい、まるで二人から狙われてるような感じがしますよ」
思わず心臓が少し跳ねた。
狙ってることは、事実なのだから。
「そ、そうですか」
「お待たせしました、ビトゥイーン・ザ・シーツです」
そして僕の前には、カクテルグラスに注がれた淡い黄色の液体が置かれた。
「では、頂きます」
そう呟き、それを一口飲む。
「美味しいですね…これの材料は何ですか?」
僕がそう聞くと、夢さんは口を開いた。
「ビトゥイーン・ザ・シーツはブランデー、ラム酒、トリプルセックをシェイクしたもので、アルコール度数は高く、口当たりはスッキリとしており、程よい酸味と甘みが楽しめますよ」
そんな説明を受けた。
確かに、僕が好きな味だ。
甘すぎず、かといって酸っぱすぎず。
「そうだ、夢さん」
少し酔ってきたところで、僕は話を切り出す。
「なんでしょうか?」
「朱里さんとは…どんな関係ですか?」
僕はその質問を繰り出した。
「ふむ…難しい質問ですね」
幸いこの場には二人きりだ。
だからこそ、このような話も話題に出せる。
「黙秘権は…行使できますか?」
「出来れば行使しないでください」
そう言うと夢さんは口を開いた。
「以前リナリアの花の髪飾りを頂きました。同時にいい友人になりましたよ」
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