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月島side
放課後練習。
靴が擦れる音、ボールを打つ音、複数の人の足音…僕はこの体育館で行われている練習が好きだ。
けれど、最近はそう思えなくなってきた。
なぜなら、練習をする度に日向や王様の才能や技術に圧倒され、自分の存在意義が見えなくなってしまうことが多いから。
確かに彼らは僕なんかよりも努力している。そう頭では分かっているけど、きっと彼らの方が僕よりも才能があるから…と考えてしまう。
天才に凡人が努力で勝てるわけが無い。
僕みたいな凡人がいくら努力したところで、元の才能の差は埋めることができない。
仮に天才に凡人が勝てた場合が存在したとしても、それは天才が努力を怠っただけ。だから、天才が凡人と同じように努力をしてしまえば、天才と凡人の差は開くばかり。
僕と日向達は、今その状況だ。
僕よりも才能があって運動神経も備わっている。そして、何より日向達はバレー馬鹿で、僕よりも日向達のほうがバレーに真剣に向き合っている。
僕は、どうせどこかで負けると理解してしまっているから全力でなんか出来ないし。
かと言って、今までバレーをやってきた自分を貶したくないから辞めることも出来ない。
いつになったら日向達に追いつけるかすら分からないというのに、僕は今日も言い訳を並べて練習している。
僕自身にどれだけ負担がかかっているのかも知らずに。