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「、、、エト」
緑色のパーカーを被った青年は、
少し戸惑ったようにこちらを見ている
「いらっしゃい、、、」
青年は少し安心したように肩の力を抜いた
「ココ、、、 あんまりヒト、こない」
声は小さく、途切れ途切れだった
部屋の中に入る
そこは古いピアノ室だった
壁際には棚があり
楽譜がいくつも並んでいる
けれど埃はあまり積もっていない
青年はまたピアノの方を向く
「ぼく、、、ココ、ずっと、イル」
鍵盤をそっと押す
ポーン
ポーン
静かな音が部屋に広がる
途中まで弾きかけて、また止まった
「、、、?」
青年は楽譜を見つめている
ピアノの前に置かれた楽譜を覗いた
一部のページが、破れていた
「ココ、、、 ナイ」
青年は困ったようにその部分を指さす
「つづき、、、わかラナい」
ふと、足元を見る
床に紙が散らばっていた
それは全て楽譜だった
何枚も、ばらばらに広がっている
棚を見ると
本来はきれいに並んでいたはずの楽譜が
半分ほど抜けていた
青年は小さく言う
「さガした」
少しだけ視線をそらす
「でも、、、ナイ」
どうやら、先に探していたらしい
床に散らばった紙を一枚ずつ拾う
どれも古い曲の楽譜ばかりだ
床に散らばった楽譜を一枚ずつ拾う
古い紙だ
指先で触れると、少しざらついている
一歩動くと
カサッ、と 足元の紙が擦れる音がする
館は静かすぎるのだ
そんな小さな音でも
やけに大きく聞こえた
青年は小さく言う
「ごめん、、、」
「ぼく、、、サがした」
床の紙をそっと拾い上げる
その時
_ポーン
ピアノの音が鳴った
二人とも動きを止める
誰も弾いていない
2人とも床にしゃがんでいたはずだ
その子はゆっくりピアノを見る
「、、、いま」
小さくつぶやく
「さわってナイ」
部屋の空気がグンッと重くなる
背中に冷や汗が伝った
その時
_ドン
館の奥から低い音が響いた
青年の目が小刻みに揺れている
そして、小さく言った
「、、、あれが」
少し震える声で
「くるッ、、、」