これは、まだ私が小さかった頃のお話。記憶なんて鮮明になくて、思い出したくもない………………いや、"思い出せない"記憶だ。
??「 何してんの? 」
急に声をかけられた。白いふわふわの髪の毛で、口元と片目が隠れていたから、とてもびっくりして怯えたのを覚えている。
もしかしたら怒られるかも。ため息をつかれるかも。謝らないと、謝らないと………!
??「 ああ、ごめん。怖かった? 」
私が声を出すよりも先にそう呟いた目の前の白い人は片目と口元を隠していたマスクを下げて表情を露わにした。怒っても呆れてもいないような表情でこちらを心配そうに見つめてくれていたのを覚えている。
??「 こんなとこでどうしたん?家族は? 」
「 っぇ、ぃません…… 」
"家族"という単語を聞くのは久しぶりだった。むしろ、人とちゃんと対話をするのが久しぶりだった。あんな心配そうな瞳を向けられたのは"初めて"だろうか。私が声を出したのは、いつぶりだろうか。人に助けを求めたのは、"初めて"だろうか。
??「 おらんの?襲われた、とか………かな。 」
こんな薄暗い路地にあんな大きな怪物は来ない。そんなことを口にするには私にはハードルが高かった。白い人は誰かと通信をとるようにぼそほそと何かを呟いた後、私に手を差し出してきた。
??「 ほら、連れてったるから立って 」
なんのことかわからず戸惑っているとそう声をかけられた。私、どこに連れて行かれるんだろう。こんな優しい見た目でもやっぱり怒っているのかも。そう思うと伸ばしかけた手を胸の内に秘めてしまう。
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誰なんだ ? ?? 彡 は … !