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マフィアの本部に連れてこられた其の日。私が案内されたのは、もちろん豪華な部屋でもなく、普通の部屋でもなく。地下の謎の場所に投げ入られた。
取り敢えず、明日の朝までは此処で待機だそうだ。あの帽子の人にそう云われた。
「酷い。幾らなんでも、こんな場所で一晩明かせなんて信じられない」
そこそこ歩き回れる位の広さはあるが、其れが逆に怖い。別に、暗い処が怖いとか云う訳ではない。そんな子供ではない。
では何故か。其れは、周りに処狭しと並んでいる、昔よく見た物達の所為だった。まあ、見ていただけで、迚も触れたいとは思ったことは無かったが。
「此処、如何見ても拷問部屋·····」
真坂。
「起きたら、縛られているとか?」
其れだけは勘弁していただきたい。が、此方の要望なんて聞いてくれないだろう。なら。
「うーん。壁って壊せるのかな」
と云う訳で、此処から脱出すべく、ナイフにありったけの力を込めて壁を抉ったり、銃で撃ちまくったりしてみた。
ガンガン、バンバン。流石に遣り過ぎたらしい。
「おいっ!うるせえな!」
ばれてしまった。
「手前、何してんだ?夜中もずっと五月蝿くしやがって!」
夜中も?と云う事は、気付かぬうちに朝になっていたのか。此処は、窓なんて存在しない為、時間の感覚が無くなるようだ。
そんな事よりも、何か云わないと。でも、脱出しようとしたなんて云えば殺されるかもしれない。けれど、云い訳も思いつかない。
「·····脱出、ですね」
「·····おい、」
「ちゅーやっ!何をしているんだい?」
「!」
「げっ、太宰·····」
本当の事を云ってやばいかな、と思った処に、昨日の怪我だらけの人がやって来た。取り敢えず助かった、のかな?
「一寸其の子、貸してくれない?」
そう云って、帽子の人の返事は待たず、私を連れて其の場から立ち去った。