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いつも、同じ夢を見る。
夢の中で、俺はこの屋上に立っていて、柵に手をのせている。
気づいたら俺は、柵を飛び越えて、力を抜いて落ちていく。抵抗もせず、ただ、そのまま、落ちていく。
気付いたら、夢から覚めている。
ピンポーン。
インターホンの鳴る音。きっと、今日も__
「絵斗~、いるかぁ~?」
「おーい」
家の向こうから、俺を呼ぶ声が聞こえる。【出たくない。】俺の本能みたいなものが、そう訴える。
「学校、なんで来ないんだよ」
「みんな、お前の事待って……」
枕で耳をふさぐ。不愉快だ。カーテンの隙間から降り注ぐ日光すらも、不快感を俺に与える。
「いった、か…、 」
「はあ…」
もう、学校には行けない。今更……
もう、遅い。
俺の居場所は、ネットしかない。
ネットだけが、俺の心の拠り所だ。
パソコンの画面をじっと見つめる。見慣れた光景が、そこにはある。
ネット友達の「クロノア」さん、「しにがみ」、「トラゾー」。
3人が、3人だけが、俺の唯一の、
「仲間」。
テレビの音がリビングから聞こえる。
階段を降りて、リビングに向かう。
「母さん、テレビ着け忘れたのかな…」
テレビを見ると、ニュース速報をやっていた。すぐに消そうとしたが__
「速報です!今、巨大な隕石が、地球に向かっているとの情報が入りました!」
「地球すらも滅ぼしてしまうほどの威力を持っており、突撃するのは一週間後との事です!」
「いんせき……」
隕石?地球が滅びる?死ぬってこと?
みんなが、?全員、地球が、丸ごと?
「……は、はは」
俺の口からは、乾いた笑いしか出てこなかった。
恐怖するでも、面白がるでも、何かしようとするでもない。
ただの、「虚無」だ。
今更地球が滅びたって、何も感じない。前だったら、もっと何か思ったかもしれないが。
今は、何も失うことなんて無いし、失ったって何も思わない。感じない。
「これで、よかったのかもな」
俺として、天野絵斗として、何をすべきなんだ?
地球が滅びる。そのニュースを聞いたのは、帰ってからすぐだった。
今日はテストが返ってきたから、早く帰っていた、その途中で。
ビルのモニターで、ニュースをやっていた。その内容は、一週間後に地球が滅びる。
その事実は、自分の頭の中で、他人事のように、作り話かのように。
とにかく、現実感が沸かない。実感が沸かなかった。
「聞いた?地球滅びるって!!」
「あー、聞いたよ。実感沸かないけど… 」「俺も!クロノアもそうだったんかー!」
一週間後に地球が滅びるとは思えないほどの、平和な会話。それが、心地好かった。
家が近い。
家のドアを開ける。
玄関から廊下を渡り、リビングの扉を開ける。
「あら、おかえり。早かったわね」「一週間後に地球がなんとか…まあ、デマだとは思うけどね」
「それより、テスト。今日、どうだったの? 」
「あ、ぁ、それが…」
俺は、黒井乃亜として。どう生きれば良いんだろう。
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こんにちは~、じにんです
反復夢、見てくださってありがとう!
今回は、pn視点とkr視点でしたね。
次はsnさん視点、tr視点で書きます!
ではまた!
次回 ♡20