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4 - 世界が壊れる音がする(🇩🇪×🇮🇹)

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2025年09月14日

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「もうね、限界だったんだ」

 病院のベッドの上で点滴を打たれながら、フェリシアーノは力無くそう呟いた。


「この世界で、これからも生き続けることに…………嫌気が差してしまったんだ」

「フェリシアーノ…………」


「だって、考えてみなよルーイ…………今の世界が、本当に平和で幸せな世界だって思う?」


 虚ろな眼差しを俺に向け、フェリシアーノは続ける。


「自国の安寧だけしか考えない国や、欲望の赴くままに振る舞う国が増えて…………行き場のない人達や、虐げられている人達はそっちのけで…………国民も国民だよ、時に他者を傷付けることすらも厭わない、エゴイスト共ばかりでさ…………」

「…………」

「つまり、国も人間も馬鹿ばっかりの今の世界で…………この先も真っ当に生きること自体が、馬鹿らしくなっちゃったんだよ」



 だから昨日、まるまる一瓶分飲んだんだ。結局生きてるけどね────昏い笑みをたたえた彼の表情は、正直見るに耐えられない、悲痛なものだった。


「もし死んだら、あの子に会えたのかなぁ…………」

「…………っ」

「あの子に会えたら、俺…………」

「…………フェリシアーノ」


 俺は彼の手を強く握って、言った。


「俺が…………俺がいるだろう?」

「ルーイ…………」

「俺じゃあ駄目なのか?俺では頼りないか、フェリシアーノ…………」


 俺が訊ねると、フェリシアーノは「違うんだ」と、首を緩く横に振った。


「ルーイは何も悪くないよ、寧ろ頼もしいくらい。でもそれ故に申し訳なくてさ、俺」

「…………何を申し訳無く思うんだ」

「俺みたいな、賢くない癖に延々と無駄に悩むような…………そんな面倒臭い人間と仲良くなったところで…………」

「っフェリシアーノ!!」


 思わず出た叫び声に、フェリシアーノはびくりとし、目を大きく見開き固まった。


「否定なんかするな…………自分を、全てを…………っっ」

「ルーイ…………」

「そんな言葉を聞かされる、俺の気持ちを考えてくれ…………幾らこの世が絶望的でも、それでも生きるつもりでいる、俺の気持ちを…………」

「こんな時に言うのは卑怯かもしれんが…………俺はお前が好きだ…………好きなんだ…………」


 握る手が震える。頬を熱い何かが伝う。


「だからもう、向こうに逝くような真似だけは、しないでくれ…………俺はお前と共に、幸せを求めて生きたいのに…………」


 忽ち項垂れて、咽ぶ俺。そんな俺に、フェリシアーノは答えた。


「…………ごめんね」

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