〜廉真視点〜
「千夏さん、満乃様が呼んでましたよ。」
「廉真さん!私、廉真さんと1週間も会えなくて寂しかったんですよ!」
「ごめんなさい、忙しかったものですから。
満乃様が急いで来るように言っていたので早く行った方がいいと思いますよ。」
「うぅ……お母様厳しいから……わかりました……また夕飯の時にお話しましょう……。」
「そうですね、それでは。」
千夏さんは明るくて気さくな人だ。
俺みたいな無愛想な人間にも優しくしてくれる。
俺と結婚したせいで千夏さんは恋人と別れた。
俺は……その責任を重く受け止めないといけない。
でも、
_凪、まだお前のことが忘れられないんだよ。
〜凪視点〜
「凪さん、この婚約、破談にしましょう。」
「……え……?」
「正直、目の見えない、しかも耳も聞こえなくなる人と一緒にいれる気がしないの。凪さんもその方が都合がいいでしょう?凪さん、お慕いされている方がいますね。実は私にもいるのですよ。そういうことなので、この家から出ていってくださいな。」
「……わかりました、鈴音様の言う通りにします。今日か明日の間にはこの家を出ますね。」
「そうしてくれると助かりますわ。」
「はい。」
はぁ…これからどうしよう。ばあやと一緒に出ていけってことだよね。ばあやに付き添ってもらわないと実家まで帰れないし…。
「ばあや。今日中に荷物をまとめてこの家から出ることにします。」
「坊ちゃん……。」
荷物はばあやがまとめてくれた。
これでこの家とはさよならだ。
_やっと…廉真に会えるんだ。
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