テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
【登場人物紹介】
fu 冷酷な若き当主。syuから深夜に突然の報告を受け、側近二人の悲痛なすれ違いを知る。
rm 超天然な身代わり少年。今回はお留守番。
kz 冷静沈着な側近syuの「まっとうな未来」を奪うことを恐れ、愛していながらも最悪の嘘で拒絶する。
syu お調子者だった側近。最後の任務で本音をぶつけるが、残酷な現実を突きつけられ、fuの前で泣き崩れる。
【御堂家の作戦指令室】
コンビ解消と異動を数日後に控えた、凍りつくような沈黙が流れる室内。fuから二人に、最後の共同任務となる「敵対組織の密輸現場の差し押さえ」の指令が下された
fu「……作戦は以上だ。異動の件は受理したが、この規模の任務を任せられるのは、お前たち二人のコンビしかいない。……最後だ。完璧にこなしてこい」
kz「ハッ。御命の通り、完璧に処理いたします、fu様」
感情を一切排除した冷淡な声で、深く一礼する
syu「了解っす。……足手まといにならないよう、精一杯やらせてもらいます」
視線を一度もkzに合わせず、ただ淡々と銃の整備をしながら低く呟く
【臨海地区の寂れた廃倉庫】
激しい銃撃戦の末、敵対組織の残党をすべて制圧した二人。倉庫の中には、静寂と火薬の匂いだけが満ちていた。これが本当に、最後の共同任務だった
syu「……終わったな。お疲れ。fu様には俺から報告を入れておくから、お前は先に車に――」
怪我をした左肩を少し庇いながら、最後の敵から武器を回収し、背を向ける
kz「待ちなさい……っ!! 待ちなさい、syu……っ!!」
去ろうとするsyuの背中を見つめ、張り詰めていた理性の糸が完全に千切れる
syu「何だよ。もう任務は終わっただろ。無能な相方とこれ以上喋る必要なんて――」
振り返りもせず、冷たく低い声で突き放す
kz「無能なわけがないでしょう!!! 誰が、あなたをそんな風に言いましたか……っ!!」
これまでに聞いたこともないような悲痛な、涙に濡れた声を荒げる
syu「(驚きに目を見開き、ゆっくりと振り返る)」
kz「私が……っ、私全部悪かったのです……! あなたが気持ち悪いわけがない! 迷惑なわけがないでしょう……っ!!」
眼鏡の奥から大粒の涙をボロボロと溢れさせ、完璧だったはずの側近のプライドも仮面もすべて床に投げ捨てて、syuの胸に縋り付くように激しく泣き崩れる
syu「kz……お前、なんで泣いて……」
泣きじゃくるkzの姿に、言葉を失って硬直する
kz「怖かったのです! あなたが私を庇って死にかけて、もしあなたを失ったら私は生きていけないと気づいてしまった! 自分の想いがバレて、最高の相方という関係すら壊れて、あなたの隣にいられなくなるのが、たまらなく恐ろしかった……!!」
胸をかきむしり、涙で歪んだ瞳でsyuを真っ直ぐに見つめ、堰を切ったように本音を爆発させる
syu「っ……kz……お前……本当に、俺のことを……」
kz「だから、あなたに嫌われれば諦められると思った……。なのに、あなたが本当に私の前からいなくなって、毎日が地獄のようで、私の心は完全に死んだのです! あなたのいない世界など、私には何の意味もない……! 私は、あなたが好きです……っ、他の誰でもない、syu、あなたが一人の男として、死ぬほど愛おしい……っ!!」
溢れる涙を拭おうともせず、掠れた声で泣きじゃくりながら想いを叫ぶ
ずっと「普通の男だから」と諦め、ポケットの中に隠し続けていたkzが、完全にコンビが解消された今、すべてを失った暗闇の中でついに本当の愛を叫んだ。syuの胸の奥の絶望がすべて消し飛び、猛烈な愛おしさと独占欲が全身を駆け巡る。一歩で距離を詰めると、無傷の右手で、泣きじゃくるkzの身体を壊れるほどの強さで抱きしめた
syu「……バカ。マジで大バカ野郎だな、お前。……なんでそんなこと、一人で抱え込んで、コンビ解消なんて承諾させてんだよ。俺だってお前にずっと惚れてたんだよ! お前が完璧すぎて諦めてただけ。もう絶対に離さねぇよ。明日、異動を白紙に――」
kzの背中に腕を回し、その細い身体をこれ以上ないほど愛おしそうに強く、強く抱きしめ返す。その耳元で、涙を堪えた熱い声を響かせる
kz「(――っ、だめだ。これ以上、この温もりに溺れてはいけない)」
syuのまさかの告白に胸が張り裂けそうなほどの歓喜が押し寄せる。しかし次の瞬間、kzの脳裏に冷酷な現実が過った。自分のこの異常なまでの執着と独占欲。もし付き合ってしまえば、今度は彼のすべてを縛り付け、彼のまっとうな未来や普通の幸せを、自分の歪んだ愛で完全に破壊してしまう。それだけは、絶対に許されないことだった。kzは涙を流したまま、狂おしいほどの愛しさを押し殺し、syuの胸を両手で力任せに突き放す
kz「……っ、離してください、syu……っ!!」
syu「kz……? 何で……だって、お前も俺のことを――」
突き放され、驚きで腕をほどく
kz「……今のは、ただの私の錯乱です。忘れてください。言いました。ですが、付き合うつもりなど毛頭ありません。……あなたと私は、お互いに『男』同士です。あなたがいつか普通の女性と恋をして、普通の家庭を築く……その未来を、私の我が儘で潰すわけにはいかない」
激しく首を振り、溢れる涙を袖で乱暴に拭う。そして、壊れそうな心を必死に繋ぎ止め、今までで一番冷たく、乾いた声を絞り出す
syu「そんなの俺の勝手だろ! 俺はお前がいいって言ってるだろ!!」
kz「私が嫌なのです!! あなたのその、一時的な感情の迷いで、私の完璧な人生に傷をつけないでいただきたい。……私にとって、あなたのその想いは、ただの『重荷』でしかありません」
syuの言葉を容赦なく遮り、心の中で血の涙を流しながら、決定的なお別れの言葉を突きつける
syu「っ……、重、荷……? 俺の気持ちが、お前にとって……ただの、重荷なのかよ……」
『重荷』というあまりにも残酷な一言に、心臓を直接叩き潰されたように息を呑み、絶望で顔を歪める
kz「……気持ちを伝えてくださったことには感謝します。ですが、私の答えは変わりません。コンビ解消も、あなたの異動も, 予定通り進めます。……二度と、私の前に現れないでください」
これ以上ここにいたら、今度こそ自分が崩れてしまう。kzは深く一礼し、踵を返す
それだけを言い残すと、kzは振り返ることもせず、夜の闇へと足早に走り去っていった。残されたsyuは、掴みかけたはずの光を完全に失い、裏庭の暗闇の中で、今度こそ完全に言葉を失って立ち尽くした
【お屋敷の執務室】
夜が更けた静かな室内。fuはデスクに向かい、昨夜のrmとのやり取りを思い出しては、不器用な笑みを浮かべていた。そこへ、コンコンと力ないノックの音が響く。ドアを開けて入ってきたのは、裏庭でkzに拒絶されたばかりのsyuだった
fu「……おい、syu。お前、その顔どうしたんだよ。怪我の痛みが酷くなったのか?」
入ってきたsyuの姿を見て、驚きで目を見開く
syuの顔は涙でぐしゃぐしゃに濡れており、いつものお調子者の面影などどこにもなかった。床に涙をこぼしながら、震える声で fuを見上げる
syu「ふ、fu様……。すんません、こんな夜遅くに……」
袖で涙を拭おうとするが、次から次へと溢れて止まらない
fu「おい、しっかりしろ。何があった。警備部門で何か嫌なことでも言われたのか?」
デスクから立ち上がり、ただ事ではない相方の様子に焦って歩み寄る
syu「違うんす……。俺、……俺、さっき、kzに、完全に振られました……っ」
激しく首を振り、声を詰まらせながら、胸をかきむしるようにして報告を口にする
fu「っ……! kzに、振られた……?」
その言葉に息を呑み、言葉を失う
syu「あいつ、俺のこと、好きだって言ってくれたんすよ……! 俺がいない世界は嫌だって、泣いてくれたんすよ……! なのに、俺たちの未来はあいつの人生の『重荷』でしかないって……っ、二度と前に現れるなって、そう言って、俺のこと突き放して走っていっちゃったんすよ……っ!!」
ボロボロと大粒の涙を流し、絶望に顔を歪めて泣きじゃくる
昨夜rmがkzを抱きしめていた本当の理由、そして側近二人がお互いを想い合っていた事実にようやく気づき、胸を強く締め付けられる……そうだったのか。kzのあの涙は、お前を失う恐怖の涙で、……お前がrmに嫉妬したのも、kzを本気で愛してたからだったのか……っ
syu「あいつ、俺の普通の幸せのために、わざと悪者になって、嘘ついて断ったんすよ……! 分かるんすよ、あいつがどれだけ無理して冷たい顔してたか……っ! だけど、俺、重荷だって言われたら、これ以上何も言えなくて……っ、何も掴めなくて……っ、本当にコンビ、終わっちゃいました、fu様……っ!!」
fuの服の袖をすがるように掴み、子供のように声を上げて泣き崩れる
掴みかけた最高の幸せを、相手の優しすぎる自己犠牲によって粉々に砕かれたsyu。その激しい動作(※大泣き)が、静まり返った執務室にいつまでも切なく響き渡っていた。fuは何も言わず、ただ深く傷ついた大切な相方の肩を、静かに、力強く抱きしめることしかできなかった
実はですね、私書き溜めて置くタイプなんですよ。
今、6話じゃないですか
12話まで書き溜めていたんですけど、このペースで行くと間に合わなくなるかもなので
次回から文字数を勝手ながら減らします
ご了承ください
次回=♡200
#いんくBL
𝕐𝕌𝕀
4,666
コメント
3件

私語彙力ないんですが、これはいえます。神作品です!
わあ……第6話、読み終えました。もう、胸がぎゅっとなりましたね……。 kzが「重荷」って言い放った瞬間、syuの絶望が手に取るように伝わってきて、こっちまで泣きそうになりました。お互いを想えば想うほど嘘で傷つけ合う、その構造が切なすぎる……。最後にfuがただ抱きしめるしかなかったシーン、あれが一番刺さりました。言葉がいらない場面ってありますよね。 それと、書き溜めの事情、了解です。文字数が減っても世界観が続くなら、私は嬉しいですよ。次回も楽しみにしてますね。