青く青く澄みきった空。
太陽はきらきらと輝いて、眩しくて堪らなくて。
手を伸ばしたら、何かを掴めそうな気がした。
その輝きを直視出来ずに目を閉じたら。
「おっはよー!」
俺の“太陽”は、今日も綺麗だ。
隣を歩く時に、いつも思うことがある。
「それでね…」
いつだって明るい声。
真っ直ぐな言葉は、きらきらと輝いて。
俺の心に、何の躊躇いもなく飛び込んでくる。
「…と」
その手に触れてみたくて。
出来ることなら、繋いでみたいと思うのに。
いつも、勇気が足りない。
もし嫌がられたら、多分もう立ち直れない。
俺は臆病だ。
本当はあと少し、近付いてみたいのに__
「…彰人!」
「…っ!?」
怒ったような、心配しているような。
そんな瞳が、真っ直ぐに俺を見つめている。
「ちょっと、聞いてるの!?
さっきからぼーっとして、大丈夫!?」
「お、おう…」
ほんっとにもう…と呟きながら、
その瞳はふいと逸らされて。
「…やっぱり、やだ…?」
聞いたこともないような淋しげな声で、
俺の心を揺らすんだ。
「朝、一緒に学校行こうとか…
付き合ってもないのに、やっぱり迷惑だったよね…」
普段は俺の意見なんて聞きやしなくて。
自分がやりたいことに、
勝手に巻き込んでいくくせに。
こんな時だけ、弱気になるのか。
お前こそ、ほんっと__
「…ずるいやつ」
「…え…?」
小さく震えた声。
ああ、もう我慢出来ない。
お前のせいだ。
お前がそんな風に、
急に弱いところを見せたりするから__
「…!?」
抱き締めた細い身体。
冷えた手に触れて、指を絡ませる。
「…ばーか」
一体、今どんな顔をしているのか。
気にならない訳ないけど、今はそれよりも。
勘違いしてるお前に、言ってやるよ。
「嫌な訳ねぇだろ」
「…ぁ…」
もう、さっきみたいなことを言わせないように。
俺も、我慢するのをやめるから。
「好きだよ、杏」
「…っああっ…!」
太陽みたいに眩しいその笑顔も。
美しく透き通るその涙も。
全部全部、好きだから。
「わ…わたし、わたしっ…!」
その言葉も、声も、全部、受け止めるよ__
「私だけ、好きなんだって…
わ、私の、片想いなんだって…ずっと…!」
弱々しく握られた手を、ぎゅっと強く握り返す。
もう、離さないように。
不安にさせたり、しないように。
「…うん」
泣かせてごめん。
臆病な俺のせいで、傷付けてごめん。
「だからっ…!
一緒に行くのとか…ほんとは嫌なのかなって…
無理してるのかなって、思った…」
そんなことない。
俺はいつだって、お前と一緒にいれて嬉しいって、
心からそう思ってたよ。
「…彰人のばかぁ…!」
「うん…ごめんな」
泣き止んで欲しい。
傷付けたかった訳じゃないんだ。
勇気が出なくて、なんて言い訳でしかないけど__
「ずっと、好きだったよ」
「初めてお前を見た時…綺麗だと思った。
そんでバンド組んで、仲良くなって、近付いて…
いつの間にか、好きになってた。」
お前の心に、真っ直ぐに届くように。
いつだってお前がそうしてくれるみたいに、
俺も飾らない言葉で、この想いを伝えてみるよ。
「…怖かったんだ。
この想いを伝えたら、もう戻れない気がして。
今の関係を壊すのが、怖かった。
だから…逃げて逃げて、向き合うのをやめてた」
止まらない涙を、拭える権利が欲しい。
そのためには、今のままじゃ足りないから。
もう少しだけ、俺に勇気をくれ__
「…泣かせてごめん。
ずっと言えなかったけど…」
「好きです。
杏、俺と付き合って下さい」
腕の中で、誰よりも愛おしい人が泣いている。
俺の手を握り締めて、それでも真っ直ぐな声で。
「…はい…!」
今日も俺の“太陽”は、綺麗に輝くんだ。