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夜――ぽっかりと浮かぶ月を見上げながら俺はうつらうつらと船を漕いでいた。
「よ~~し、もう夜更けだ。誰も来なかったな?」
「はっ! 誰も来なかったであります!」
「うむ! ご苦労」
「はっ!」
ぱち、と目を開ければ、甲板に謎の武装をしたウソップとチョッパーがいた。ルフィは兜かぶって釣りやってるし……この三馬鹿は何やってんだ……。
「おい、もう見つからねえよな? 捜索隊は何千人だ? 何万人か?! もうお前がドフラミンゴを脅した話聞いてから、気が気じゃねえよ、まったく!」
「そうでござるぞ、お前!」
「錦に鎧兜出してもらえたからいいじゃねえか」
「七武海やめるか四皇と戦うかなんて選択、普通どっちも嫌で私たちの方殺しに来ますって。ヨホホホッ……こわっ…」
「ふわぁ……ま、ドフラミンゴってそういう奴だろうしなー。ねむ…ロー、足組むのやめろ、お前の膝使う」
「ん」
俺は欠伸をしながら、ローの膝を枕に、再び眠気に身を任せようと思ったのだが、錦えもんとゾロが煩くて寝られやしない。
ゾロの刀のせいか。うるさいぞ、と俺がちょっと文句を言おうと思って起き上がろうとしたのだが、数名の男どもの意識がロビンと一緒に風呂に入っているというモモの助の方に向いた。
「……やっぱアホしかねえな」
俺は溜息をついてから再び眠った。
船が激しく揺れ、俺は飛び起きて烏融を抜く。雲で月が隠れ、暗闇の中、何かが俺たちを襲撃する。
「~~~~~」
「ん?」
「どうした!」
「…シーラパーンの鳴き声」
少しして、指笛が聞こえ、甲板にいた何かが海に飛び込んでいった。
「はじめまして諸君」
「誰だ!」
「ペトトトト……我が名はブリード。ペトペトの実の能力者だ」
「ペトペト?」
「なんだ? それ、スライム人間か?」
「……ペトペト……ッ、ロー! シーザーが!」
「しまった!」
甲板に置いておいたシーザーが攫われる。でもあんなの、ドフラミンゴの部下にいたか…?
……あークソ、こんなことになるってわかってたら原作買って読み込んだのに!!! もうドレスローザがどうだったとか知らねえよ! 読んでねえもん俺!!
なんて思っていると、ルフィが誰かに殴られ「痛い」と言う。ゴム人間のルフィが痛いということは覇気の使い手ということになる。
「ペトトトト……シーザーは頂いた。さらばだ」
「あいつ…」
ローがROOMを展開しようとしたのだが、大きく船が揺れた。
「ウサギ波…!?」
船が跳ねて舵が利かなくなる。フランキーが船を安定させようとしているが、上手くいかない。
「なにあれ、みんなあそこ!」
ナミの言う先には巨大な島のようなシルエットが現れる。だが頂上には海賊旗があり、それが巨大な船であることが窺える。
「すぐに追うぞ、シーザーを逃がしたら終わりだ!」
「ルフィ! シャークサブマージ3号を使え! 3人しか乗れねえが、海の中を進める!」
「わかった!」
「ルフィおれも行く! 気になることがるんだ」
「よし!」
「おれたちは?」
「サニー号を頼む!」
「よーし分かった。サニー号はおれたちに任せとけ」
「鼻屋、油断するな。ドフラミンゴが直接奇襲してくるかもしれねえ。とにかく気を付けろ!」
「ロー、俺も行く!」
俺たちは甲板から下に下りてシャークサブマージ3号へと乗った。
「ジェイデン、3人乗りだぞ、これ」
「俺細身だから大丈夫。それに、お前ら能力者だろうが!! もしもの時のために非能力者がいた方がいいだろ!」
そう言って俺はハッチを閉めた。しばらく進めていると、先ほどのシーラパーンが見える。
「よしチョッパー急げ!」
「ルフィ、あいつらラパーンに似てないか?」
「ラパーン?」
「おれの故郷のドラム王国にいたでっかいウサギだよ」
「あれはシーラパーンだ」
「知ってるのか?」
「ノースブルーにいた時に見たことある。けど……新世界にシーラパーンっているっけ?」
「いや、本来はいるはずもない生き物だが、一緒に来た理由はそれか? タヌキ屋」
「うん…って! タヌキ屋ってなんだ! おれはタヌキじゃねえ、トナカイだ! 覚えとけ、こんにゃろう!!」
「おわっ、俺の膝の上で暴れないでくれチョッパー!」
「大事なことだぞ!! ……でも、一緒についてきたのはそれだけじゃなくて、あいつ、『こんなこと本当はしたくないのに』って言ったんだよ」
「タヌキ屋、お前動物と話せるのか?」
「そうだ。おれは動物と話ができって! だからおれはタヌキじゃねえよ!」
「いでっ、だ、だから俺の膝の上で飛び跳ねるなって!!」
そんな会話をしていると、少し前を泳いでいたシーラパーンたちが先ほどの島のように大きな船の中に入っていく。同じようにシャークサブマージもその中に入った。