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「敵のアジトだ。くれぐれも慎重に…」
「おーい! こっちが明るいぞー!」
「叫ぶな馬鹿! 話を聞け!」
「そうだぞルフィ、ちゃんと話を聞けよ」
「く、暗っ……俺あんまり暗闇好きじゃねえんだよな……」
俺とチョッパーがローの服をギュッと掴みながら言う。
それから進んでいくと、まるで海の中にいるんじゃないかと錯覚するほどの大きな水槽があった。
「見ろよチョッパー、天井も水槽になってるぞ」
「おい麦わら屋、遊びに来たんじゃないぞ」
「見ろよチョッパー! キラキラエビだ!」
「おおすげえ!」
「それはそれとして…」
――ガシャンッ!!
「大量のシーラパーンやその他海獣たち……そんでもって俺たちへの敵意……戦闘だな、こりゃ」
「え~っ!?」
「ひひっ、よし、勝負だ!」
4人で蹴散らせば案外早く収束する。束になったら怖いが、明るいところで戦えば意外とそうでもないな…。
「どんなもんだい、ひひひっ!」
「夜明けは近い。先を急ぐぞ」
「ッ、待て!」
俺たちの元に、覇気を纏った生物が飛んでくる。思い切り床がめり込んだ。あれ食らったらひとたまりもねえな…。
「クンフージュゴン……」
「チッ」
そのクンフージュゴンと戦うのはルフィらしい。俺たちは少し下がって様子を窺っていたのだが、勝ったのはルフィだった。
また挑んでくるかと思いきや、クンフージュゴンはキラキラと目を輝かせてルフィに頬擦りをする。
「どういうことだ?」
「『師匠、お久しぶりです』って……あっ! お前もしかして、アラバスタでルフィの弟子になったクンフージュゴンか!」
「あ~……」
そういや原作であったな。そんなの。
ルフィもそのクンフージュゴンのことを思い出したらしく、手を取り合っていた。馴染むの早すぎ。
「アラバスタでなんかあったのか?」
「ああ。あいつはアラバスタ王国でルフィが仲良くなったクンフージュゴンなんだ。クンフージュゴンは武闘派で誰にでも戦いを挑むんだけど、でもルフィが勝っちゃって、勝負に負けたら弟子入りするのがクンフージュゴンの掟なんだ」
「ふーん……」
「なるほど。で、あれは何をやってんだ?」
「教えてるんだろうなぁ……。でもアラバスタにいた奴がなんでこんなとこにいるわけ?」
「おれたちの大事な人質まで掻っ攫ってな」
「あーこらこら、凄むな凄むな。ごめんな、お前たちが攫った奴、俺たちにとって大事な奴なんでちょっとピリついてんだよ」
クンフージュゴンを撫でてから、俺はローの頭を軽く叩く。
それからクンフージュゴンが話し始める。もちろん通訳はチョッパーだ。アラバスタでルフィと出会い、海賊に憧れて大海原に飛び出したらしい。それから数々の困難を乗り越えて海獣海賊団とやらを結成したクンフージュゴンは新世界まで来たらしい。
「行動力すげえな……」
「後ろの奴らはその海獣海賊団とやらか」
「っぽいな」
そんなこんなで新世界を航海していたところで、あの男、ブリードが現れたという。ブリードの能力で、彼らは奴隷も当然。シーザーを攫ったのもブリードの命令。
「ブリード……あいつが黒幕か」
「なぁ、ドフラミンゴは関係なさそうじゃないか?」
「そうだな……だが、油断は禁物だ」
「でもわっかんねえな。お前そんだけ強えのになんであんな奴の言いなりになってんだよ?」
「クオッ……」
「『それは……』」
――整列だ。てめえら
スピーカーから声が聞こえる。
クンフージュゴンの目が潤み、切実な声で鳴き始めた。
「クオッ、クオン、クオッ!」
「『早くここから逃げてくれ』?」
海獣たちが呻き声を上げ始めたかと思えば、綺麗に整列する。
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