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ウォルトもサンズも、持ち場へと戻っていく。
一人残されたジークハルトは、ジャケットの内ポケットからハンカチを取り出した。
怪我をした自分の腕にアンジェリカが巻きつけてくれたハンカチ。
返す機会を失って、お守りのように持ち歩いていたものだ。
（アンジェリカ皇女殿下……）
ジークハルトはそれをジッとみつめ、静かにそっと口づけた。
アンジェリカと過ごした僅かな時間。傷に結わえられていたハンカチは几帳面に折りたたまれていて、結んだ時のシワひとつ残っていない。
（あの日からこのハンカチは私のお守りになった）
アンジェリカ手ずからの刺繡を見ると、彼女が少しでも自分を想ってくれたという事実を感じられる。
（これが幸運を運んでくれるように思えて、肌身離さず持ち歩いて＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
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