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穏やかに、優しく微笑む顔を見て思った。
これが穂乃果ちゃんの、嘘偽りのない本当の気持ちなんだろうと――
でも、僕は、続けて言葉にしてしまった。
「穂乃果ちゃん。お見合い相手の女性と僕が付き合うこと……そんなに嬉しいんだね」
最低の言葉だと思った。
喜んでくれた穂乃果さ ちゃんを傷つけるような、冷たい言葉。
「恭吾さん。私は、恭吾さんが幸せになってくれることがやっぱり嬉しいです。そのお見合い相手の方は、恭吾さんのことを好きなんだと思うし、本当に幸せになりたいと思ってるはずです。女性は、大好きな人が側にいて守ってくれるだけで、それだけで……幸せでいられますから」
これは、女性なら当たり前の感情だろう。
なのに、とてつもなく僕の心に重苦しくのしかかってくる。この答えは、最初から想像できていたはずなのに。
「つまらない話をしてしまって。大事な休憩時間なのにごめんね」
「とんでもないです。恭吾さんのこと、私なりに……ずっと気にしてました。だから今日お会いできて、嬉しい報告をしてくれて……本当に良かったと思ってます。わざわざありがとうございました」
キッパリとフラれた。
次に進みたいなんて思っておきながら、実際にはこんなに傷ついてしまうんだ……
もしかして、穂乃果ちゃんから、僕にとって何か嬉しい言葉が出るかもなんて……ほんの1ミリでも期待してしまっていたのか?
だとしたら、本当に自分が情けない。
かっこ悪いよ……最低な男だ。
こんな男、お見合い相手にも失礼だ。
いくら香織さんが僕を想ってくれてるとしても、こんな僕に彼女を幸せにできるわけがない。
もう、どうにでもなれ!
僕は、本気でそう思ってしまった。
「ごめん、もう、帰るよ。僕も会えて良かった。体に気をつけて、月城さんと……幸せになって」
震える心を隠して、無理やり笑顔を作った。
2人でカフェを出て、シャルムの前で別れようとした時、僕を呼ぶ声がした。
「氷野さん」
声の方に顔を向けると、そこには月城さんがいた。
相変わらず、自分の何倍もカッコよくて、オーラをまとってキラキラ輝いている。
眩しいくらいに――
「すみません。ちょっと穂乃果ちゃんと話を……」
僕は、突然過ぎて、上手く言葉が出なかった。
「そうでしたか。氷野さん、良かったらカットしていかれますか? 僕は、ちょっと早めに来たので予約まで時間があります。いかがですか?」
月城さんが笑顔で言ってくれた。
驚いたけど、僕はお願いすることにした。
カットしてもらうのは、あの時以来、2度目。
僕は、カットしてもらいながら、月城さんにもお見合いの話をした。
「ご両親の勧めでお見合いを……それは良かったです」
「お見合いといっても、まだ何も具体的には進んでいません。これからどうなるのかも……。もしかしたら、話も無くなってしまうかも知れないです」