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「ごめんね幡中さん、やっぱ俺大丈夫だよ、幡中さん一人で使って」
「いいよ、こっちも気遣うから」
そう言うと佐倉くんは前に進み出した。
「、、最近、部活どう?」
「いつも通りだよ、あともう少ししたらみんな大会意識し出すと思う」
「そっか、大会夏休み始まってからだもんね」
次の大会は夏休みが始まってすぐにある。
「幡中さん、今度はダブルス?」
「うん、ダブルス」
6月上旬にあった前回の大会では、ダブルスのペアの子が家の事情でどうしても大会に出られず、私はシングルスで出場した。次はその子とダブルスで出られる。
「俺もダブルス、いい結果残せるといいね」
「うん、頑張ろ、お互い」
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いつもなら10分で着く道を雨のせいで15分ほどかけて駅の近くまでたどり着いた。
「若干雨弱くなったかな」
「うん、ちょっとだけ」
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「あっごめんなさい」
「すいません」
横を通ろうとした人と傘がぶつかった。
「あれ、宇治」
まさかの宇治。今日も部活してたんだろうか。
「あ、佐倉」
宇治と目が合った。
「ごめん、濡れてない?」
佐倉くんが宇治の制服を気にしながら言った。
「うん、そっちも濡れてない?」
「大丈夫、ごめんな」
宇治は軽く頷いて、俺もごめん、と言って駅に入って行った。
「かばんとか大丈夫?」
佐倉くんが傘を閉じて言った。
「大丈夫、ありがとう本当」
「ううん全然、電車降りた後も大丈夫?」
「うん、バス乗って帰るから」
私とは逆方面の電車だから気遣ってくれたのだろう。
改札を通ると同時に電車の行く音がした。
「あ、幡中さん電車 」
「今行ったっぽいね」
「ごめん、ゆっくり歩き過ぎたよね」
「いやいいよ、何分か待てば次来るし」
佐倉くんは困ったように笑った。
「じゃあ、また学校で」
「うん、またね」
軽く手を振って佐倉くんと別れた。